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君は『ポケットじまん』という神ゲーを覚えているか?

こんにちは、私は「だるかれーしらぽん」を名乗って公私共々せっせとゲームを作っている者です。

プログラマーとしてゲーム業界に入って10年ほどになりますが、ふと自分のゲーム制作の原点は何かと考えてみると、件の『ポケットじまん』がその一つとして思い浮かび、思い出話がてら書いてみることにしました。

『ポケットじまん』ってなに?

『ポケットじまん』は2000年に当時のSCE(ソニー・コンピュータエンタテインメント)が発売したプレイステーション向けのゲームです。

いわゆるRPGツクールのように「ゲームを作るゲーム」で、作ったゲームはポケットステーションという小型端末で遊べます(PSのみでも遊べます)。作れるゲームジャンルは主に「ADV」と「RPG」でしたが、ADV→RPG→ADVとつなげることも可能でした。

ポケットステーション向けにゲームを作る都合上、作れるゲームの解像度は32x32ドットで色調は2色の白黒のみです。

最近になってプレイしてみました。

『ポケットじまん』の思い出

正直、何を通してこのゲームを知ったのか思い出せません(電撃PSだったかな?)。当時、小学生だった私はこのゲームの存在を知っていましたが、同級生の家でこのゲームを始めてプレイしてその面白さに触れて親に買ってもらいました。

何が自分の琴線に触れたかというと、RPGパートでダンジョンが作れるのですが、壁やドア、敵を配置するだけでも楽しいし、敵やアイテムを自分で描いてゲーム上に登場させられるのが子供心に刺さりました。

とにかく「自分のゲームが作れる」というのが新鮮だったんですね。初めて触れたコンストラクションツールということもあって、自分の考えが反映されるゲームは、物作りに興味のあった私を惹きつけてやみませんでした。

ただ、子供なので作ったゲームは本当に脈略のない仕上がりだったと記憶しています。ストーリーなんてあってないようなものだし、敵キャラに「ボルボックス」とか理科の授業で出てきた生物をチープな絵で登場させたりしていました。

そして、年月が経って大学生になった時に再びこのゲームを引っ張り出して遊びました。さすがにその年齢になるとストーリーも考えて、グラフィックもそこそこ凝ったものを描いています。内容は怪盗少年が依頼された宝物を盗みに行くもそれは罠でダンジョンから脱出するストーリーのRPGでした。ポケットステーションが壊れていなければ今でも遊べるはずです。

『ポケットじまん』はなぜ神ゲーなのか

答えを先に言うと、私をゲーム業界に導いてくれたゲームの一つだと思っているから。

まず、私にドット絵の基本技術を教えてくれました。小さいキャンパスサイズでいかにすればそれっぽく見せられるかといったテクニックを手前味噌ながら身につけられたと思います。当時、ゲームが遊べない間は買ってきた方眼紙にドット絵を描いてましたね。まあ、デザイナーじゃなくてプログラマーになったんですが、自分の絵があるとゲーム作りのやる気出るよね。

また、32x32ドット2色というような制約がある中でゲームを作るというのは自由度が低いようにも感じますが、むしろそのおかげでゲーム作りに集中できるという面もあります。自由度が高ければ高いほどやらなければならないことが増えて完成が遠のくものだと思います。このゲームはそこまでかしこまらずにゲーム作りが体験できて、エタる(エターナる=創作で完成しないこと)心配が低いのもポイントが高いです。

良く聞くように、ゲーム開発はクソゲーでも完成させるの重要。

余談ですが、確か横井軍平さんが初代ゲームボーイをカラーではなくモノクロハードにしたのはバッテリーやコストの面もありますが、モノクロにすることでゲーム開発をしやすくしたい意図もあったと記憶しています。

さらに、試行錯誤するのが楽しいと思わせてくれたのも重要だと思います。これも良く聞くように、ゲームクリエイターになりたいのなら「プレイするのが楽しい」のではなく「作るのが楽しい」と思えなければならない、このゲームは試行錯誤して作るのが楽しいと思わせてくれるゲームだと思います。

例えばADVパートならどうやって分岐をつなげるか、どうやってメッセージ・グラフィックマスを無駄なく埋めるか、RPGパートなら鍵扉をどう配置するか、ワープはどう配置する、プレイヤーのレベリングをどうコントロールするか……。

シンプルなゲームだから試行錯誤も苦にならなりませんでした。

色々と書きましたが、そんな風に私をゲーム業界に導いた要因の一つとしてこのゲームがあり、それ故に『ポケットじまん』は私にとって神ゲーなのです。

ちなみに、『ポケットじまん』はゲームアーカイブスで配信されています。『ポケじま』やろうぜ!

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