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学校における「努力至上主義」について思うこと

全ての学校に当てはまるとは思いませんが、いくつかの学校で見られる「努力至上主義」について、今日は考えたいと思います。

ざっくりいうと、結果に関係なく努力する生徒は素晴らしいと認識され、努力しない生徒は認められないという学校独自の制度のことです。

学校ではテストや部活動など、目に見えて結果が伴うものがいくつかあります。その環境下では、大きく分けて4パターンの生徒に分かれることになります。

・努力した上に結果が出た生徒(結果○努力○)
・努力したけど結果が出なかった生徒(結果×努力○)
・努力しなかったけど結果が出た生徒(結果○努力×)
・努力しなかったし結果も出なかった生徒(結果×努力×)

それぞれのパターンについて、よくある学校での対応(あるある)と、私が思うことを書きたいと思います。上で羅列した順番と異なりますが、読み手が理解しやすい順番で進めていきます。

1. 努力したけど結果が出なかった生徒(結果×努力○)

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<あるある>
この生徒は日本では褒められる傾向にあると思います。結果が出なくても、頑張ったのは素晴らしい!と声をかける人は保護者にも先生にも多いと思います。こういう生徒を「かわいい」という先生もいます。生徒からしたら褒められるのは嫌な気分ではないと思うので、また次も頑張ろうと思うかもしれません。

<私の考え>
努力したことは素晴らしいです。大人が見ていて気持ちいいのもわかります。しかしながら、努力することだけに魅力を感じるという人を作ってしまうのは大変危険だと私は思います。こういう生徒は努力を褒められることによって、結果どうこうではなく努力することだけが目的になってしまうことがあります。しかしながら年齢を重ねるごとに、努力しているのに結果が出ないことに対して次第にストレスを感じ、大人になると「努力してるのになぜ結果が出ないのか」「自分はこれだけ頑張ってるのになぜ周りはわかってくれないのか」という思考が生まれる可能性があります。例えば子育てで、「私はこんなに愛情かけて一生懸命育ててるのに、なんでわからないの!」と子供に言ってしまう親もいますが、努力に魅力を感じてしまっている人の典型的な例だと思います。結論、努力の大切さを認めつつ、手放しに褒めるだけではなくこれからどう改善していけるかを考えさせる声かけを大人はしないといけません。

2. 努力した上に結果が出た生徒(結果○努力○)

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<あるある>
「こんな成績が取れて素晴らしい!」と、手放しに結果を褒められる傾向にあります。先生からも三者面談などで「〇〇さんはとても優秀です」と言われたり、周りの友達からは「〇〇は天才だ」など言われるようになり、秀才キャラが定着します。

<私見>
この生徒はどちらかというと結果を褒められがちですが、こういう時こそ具体的な努力(過程)を褒めてあげるべきだと思います。つまり、こういうことをしたからこういう結果が出たという風に、何が良かったのか自己分析して理解できるように声かけをしてあげることです。それに加えて私が思う大事なことは、いかに上手にサボるかを見つけることです。つまり、この生徒は努力を減らして同じ結果を出す方法を探るべきです。この生徒が将来効率よく人生を送っていくためには、時間を有効に使っていく術を学ぶことが大事だと私は思います。

3. 努力しなかったけど結果が出た生徒(結果○努力×)

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<あるある>
4つの中では最もレアなケースではありながら、クラスに数人こういう生徒はいます。この手のタイプは、大人から嫌われる傾向があります。例え結果が出ても、「努力してないしねぇ」と言われたり、先生たちからも認められないケースがあります。まさに「努力至上主義」の中では生きにくい人たちです。

<私見>
私個人の考えでは、4パターンの中でもっとも伸び代のある面白い生徒だと思います。努力しなかったと言えば響きは悪いですが、最も短時間で効率的に結果を出したとも言えます。私はこの手の生徒は、もしかしたら教員や一般の大人よりスキルが高いかもしれない、と思います。その質や才能を維持しながら、更に努力する力を身に着けることができれば、この手の生徒は大きく成長するはずです。いかにモチベートできるかが教員の課題になります。

4. 努力しなかったし結果も出なかった生徒(結果×努力×)

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<あるある>
この手の生徒は当然のように先生から怒られ、認められない傾向にあります。特に言われるのは「努力が足りないから」「もっと頑張らないと」という台詞ではないかと思います。

<私見>
このタイプの生徒は、ほとんどの場合モチベーションがない生徒です。そのモチベーションのない生徒に叱ったところで更にモチベーションが下がるだけです。または、そもそも何をすべきかわかっていない場合もあります。私も教員なのでその生徒に対して歯痒い気持ちになることはよく理解できますが、大事なことはその生徒がやるべきことを理解し、やる気を出すことです。そのきっかけは何でもいいと思うのですが、それは教員や大人が無理やり出させるのではなく、生徒が内発的にやる気を出せることが理想です。そのための仕掛けはとても難しいのですが、教員としては努力してないからダメな生徒だと決めつけずに、この生徒が今どういう状況であるかを理解しようとすることが大事だと思います。理解した上で厳しい声をかけるのと、結果だけ見て厳しい声をかけるのでは効果が全く違います

まとめ

努力することは素晴らしいことではあるものの、努力できないからダメな人間では決してない。それは私の持論ですが、学校教育では少しズレを感じます。前に明るく元気なクラスに対する違和感でも書きましたが、クラスは教員の理想国家ではない。教員の価値観を押し付けるのではなく、生徒個々の特性が生きるクラスを作っていくべきだと私は思います。

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