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連載「差押えコラム。未払金を取り返せ!㉑」 ー 債権回収を終えて ー

※当記事は連載「差押えコラム」の第21回です。第1回から読む方はこちらです。

こんにちは!筆者の渡邉です。このコラムは、私がある会社から、未払いとなった業務委託料を回収するまでの軌跡を記録したものです。初noteでいきなり生々しい体験談ですが、記憶が新しいうちに共有できたらと思い、筆を取らせていただきました。
私のように「会社から給料が払われない」「クライアントがギャラを振り込まない」といった被害にあわれている方にとって、少しでも問題解決の手助けになればという思いで執筆します。
現在は無事に未払金を回収し、元同僚と新たに「合同会社Mauve(モーヴ)」という会社を立ち上げ、アプリケーションやWEBサイトの受託開発を行っています。
※Mauveでもnoteにてコラムを掲載しておりますので、よろしければご覧ください。
https://note.com/mauve_0210/

登場人物の紹介

私は2020年末から、アプリケーション等の制作会社(以下、A社)で、バックオフィスの仕事を業務委託で請け負っていました。

登場人物2

2021年9月14日 ― 未払い金の受け取り ―

この日私は、銀行へ差押手続きに行きました。

「差押え」というぐらいのことですから個室に呼ばれて、もしかしたら銀行の方が「大変でしたね」や「ご足労頂き申し訳ありません」くらいの言葉は添えて労われるのかと思いきや、一般窓口で普通に自分の預金口座からお金を引き出すぐらいの気軽さで、お金を渡されて終了しました。

これまでの半年以上に及ぶ面倒な手続きや苦労を考えると、その最後はあまりにも呆気なく終わった印象です。まあしかし考えてみれば、銀行ではこの手の差押えの話は日常茶飯事なのでしょう。

最後はあっさりと返ってきた未払い金ですが、その重さは私自身がよくわかっています。

2021年9月17日 ― T社のその後① ―

自身が差押えをしてから3日経ったこの日、T社からA社に差押え手続きを行うとの連絡がありました。
T社も、私や栗田同様に未払金が全額回収できるよう心から祈るばかりです。

2021年10月11日 ― 差押えの報告 ―

差押えが完了すると、最終的に裁判所へ報告が必要となります。

以前、送られてきた債権差押命令の書類には返還書というものが同封されており、こちらを裁判所へ送付することで差押え完了の報告となります。この報告をすることで、後日、使用しなかった切手の返還も行われます。

差押えが完了することでほっと一息ついてしまいますが、最後の報告まで忘れずに行いましょう。

2021年12月7日 ― T社のその後② ―

差押え債権の回収から3ヶ月が経ち、T社より全額未払金の回収ができたとお礼の電話がありました。
長い長い戦いでしたが、T社も願った通りの結果を得ることができて本当によかったと、私も栗田も心から安堵しました。

エピローグ

2021年12月、長きに渡ったA社の未払金回収は完全に終了しました。
長期間の連載をご覧頂き感謝いたします。ありがとうございました!

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今回の事案では私と栗田、T社は全額未払金が回収できましたが、山本や野原のように未払い金が少額のため諦めざるを得なかった者もいます。このことは本人たちも私たちも悔しい結果でしたし、忘れてはいけないと思っています。

現在、栗田と二人、Mauveという会社を立ち上げて事業を進める中で資金繰りに困ることはゼロではありませんし、この先も事業を続けていくなら避けられないことだと思っています。

ただ今回の事案を通じて、不誠実な行為を繰り返すことは、お金だけではなく、その人の時間や信頼も全て失うことがよく理解できましたし、私達の会社ではそのようなことは決してして起こしてはいけないと思っています。

ところでA社がその後どうなったかというと、どうやら現在も場所を変えて事業(?)を継続していると風の噂で聞きました。
一時(恐らく我々が未払金回収できたタイミング)は経営がうまくいっており、新しく人を雇ったそうです。しかしこの記事を執筆している現在は、また経営が落ち込み、なんと再び未払金を発生させているらしいです。
正直、過去のものを精算せず先に進む神経に驚いたと同時に、本当に学習しない方だったんだと思いました。

最後にひとつ言えるのは、もしA社の社長が誠実な態度を示してくれていたなら、私達はMauveではなく、A社に在籍し続けたかもしれないということです。仕事は信頼関係の上に成り立っています。社長と私たちの間に信頼関係が残っていたなら、今もA社を再建させるために尽力していたかもしれないのです。

このお話が未払い賃金でお悩みの皆さまにとって何かの役に立てたら幸いと思う反面、あまりお役に立つ場面が生じなければ良いなと思っています。

皆さまの事業、仕事において未払賃金が起きないことを心からお祈り申し上げます。

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