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エッセイ

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#どうでもいい話

神様は嘘をつかなかった

神様は嘘をつかなかった

ああ、小吉か。……また、「先祖を敬い精進しなさい」か。

ある時期、神社や寺院に参る度におみくじを引いては一喜一憂していた。
見るのはいつも「願い事」の欄。引くのも、恋愛みくじではなく通常のもの。

その頃の私は、長く続く公募生活になかなか結果が伴わず、鬱屈していた。
仕事では度々心を折られ、少しずつ病みが深まっていて、そんな自分を救う手段が小説を書くことだった。帰宅し、寝るまでの間に物語を綴るこ

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サボテンの教え

サボテンを枯らしたとき、これまで抱いていた疑いに答えが出た、と思った。

私は圧倒的に育成する能力に欠けている。

疑いの源は遥か小学生時代に遡る。
新一年生が大抵課せられた朝顔の飼育と観察では、当然水やり当番が決められた。
そして私は「決まったことを決められた時刻に決められた通りにやる」ということが心底面倒で大嫌いだった。なおこの悪い性質は習い事等でも発揮され、さんざんサボっては母や先生方を困ら

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「幸福のチケット」の考え方

「幸福のチケット」の考え方

当たるかもしれない宝くじを持っている。
厳密には人生における宝くじで、私はこれを「幸福のチケット」と呼んでいる。

私たちは日々、大なり小なり願うことがあって、素晴らしい幸運や成功が訪れることを期待している。そしてある日、宝くじの当選番号が告げられるように「あなたに当たりました」と指名され、望むものを手に入れる……そんな想像をしている。

そしてその宝くじ——幸福のチケットは、当たりやすい人とそう

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