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啓蟄におはなし創る子の初心

作業中、六歳息子が隣に座った。
「遊べないよ、お仕事してるんだから」
「僕もお話が作りたいと思って」
それが物語教室の幕開き。

「どんなお話が作りたいの?」
「タイトルは決まってるの。『さみしいチーズくん』」
「……切ないね。じゃあそのチーズ君を表紙を描いてみよう」

「描けたよ(※表題写真)」「はやっ」
「次は?」
「最初は現状を描くんだよ。チーズ君はどうして寂しいの?」
「うーん。パパもママもいないから。いつもお家で泣いてるんだ」


いつもないています

「次は?」
「物語は、それが変化する方向に進んでいくんだ。今が寂しいなら寂しくない方に。そのきっかけを描く。分かる?」
「分かる。だから……チーズ君はお外に行く!」


ともだちをさがすぞ

「次は……いろいろ考えられる。チーズ君の邪魔をする人が現れたり。逆に助けてくれる誰かが出てきたり」
「もう決めてるよ。トマトちゃんが公園にいて一緒に遊ぶ」

いっしょにあそぼう いいよ

「次は……その、トマトちゃんが怪我したり……」
「違うよ。皆も来て一緒に遊ぶんだよ」


もうさみしくない

「出来たよ、完成!」
「……恐れ入りました」


(けいちつにおはなしつくるこのしょしん)

季語(仲春): 啓蟄 ……二十四節気の一つで、三月五日ごろ。暖かくなって冬眠していた虫たちが土の穴から出てくるころ。



※葛藤なき創作だけども、溢れるイメージに抗わず書くという大切な姿勢を学んだような。
同時に「変化を欲するなら外に出て友だちを作る」という人生訓も……


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