昆虫博士への憧れ
カブトムシの幼虫を見つけたんだ。
蛹になりそうなんだよ。オスだよ。
保育園から帰った五歳息子の興奮。
お友達に昆虫博士がいて、よく彼と一緒に園庭で虫探しをしてるらしい。
「見ただけで何でも分かるんだよなあ」
語り口に友への羨望を感じた。
夜、風呂上がり。
先に出た妻が絶叫。
着の身着のまま駆けつけると「虫が出た」と言う。
妻は大の虫嫌い。
見れば、畳に2㎝程の黒茶色の虫。
――ゴキブリでもないし、大げさだなあ。
ティッシュで掴もうとすると「待って」と息子。
「逃がしてあげよう」と言うや、素手で捕まえベランダへ。
この英雄的かつ紳士的行動にママは拍手喝采。
私もびっくり。去年までは蚊さえ逃げ回っていたのに。
「全然怖くないよ……で、今の何?」
私とて詳しくない。
一緒に図鑑を広げる。
一見、カナブンだけれど息子が「これ!」と指さしたのは、マレーテナガオサゾウムシという東南アジア生息の虫。
――さすがです。
今日のところは博士に従った。
かなぶんに母はぶるぶる子はファーブル
(かなぶんにはははぶるぶるこはふぁーぶる)
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