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ポップコーンは買わない派ですvol.76

KCIA 南山の部長たち

予告編

あらすじ

1979年10月26日、大統領直属の諜報機関である中央情報部(通称KCIA)部長キム・ギュピョンが大統領を射殺した。事件発生の40日前、KCIA元部長パク・ヨンガクは亡命先であるアメリカの下院議会聴聞会で、韓国大統領の腐敗を告発した。激怒した大統領に事態の収拾を命じられたキム部長はアメリカへ渡り、かつての友人でもあるヨンガクに接触を図るが……。

はじめに

ついついミャンマーの軍事クーデターを重ねてしまう。このタイミングで公開されたのは運命も感じざるを得ないな。

前提条件としてこの話は朴正煕暗殺事件を元に作られたものだが、登場人物は仮名で、史実を基にしたフィクションになっている。

現在でもパク大統領の暗殺には謎が多くて、死体がいまだに見つかっていない点や殺害動機の陸軍側とキム部長側で異なる点で、暗殺の真実が明らかにされていないという点がいくつかあることから、フィクションぽく描く、チコちゃんの番組でよくある「多分こうだったんじゃないか劇場」の状態で作るしかなかったというのはある意味ではリアルでよかったと思う。

1961年5月16日、韓国で軍事クーデターが起こって軍事政権が誕生した。

韓国における軍事クーデター

今回のお話では軍事政権の中で重要な組織として君臨していた「中央情報部(KCIA)」の長官の視点で物語が進んでいく。

韓国版のCIAという意味で、治安維持という名の反体制派への拷問をしたり、厳しく取り締まっている警察のようなものだそうだ。

KCIAは大統領にもっとも近い存在とされていて、その長官のポストにいる主人公はまさに大統領の右腕。

そんな右腕を担うKCIAの長官、キム ギュピョン(実際の名前:キム ジェギュ)が大統領を暗殺するまでの道のりを見ていく物語。

麒麟がくる最終回(本能寺の変)

大河ドラマの麒麟がくるが終わりましたね。このドラマが終わるタイミングでこの映画が公開されたのも運命を感じる一つの要因ですね。

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あれは明智光秀の話でしたが、最終話では本能寺の変の様子が描かれていました。

僕はほんとにクーデターを仕掛けた最後の場面しか見ることができなかったのですが、話によると光秀がクーデターを起こすまでの葛藤の過程が細かく表現されていたそうです。

これまで一緒にやってきた仲間を討つ辛さもあったものの、それが最善であるということ信じて行動した結果が本能寺の変であったこと。

まさに、この映画でもキム ギュピョンが大統領や警護室長から受ける罵倒。市民の命を軽く見ている言動、軍事政権とはいえ暴力が全て正当化されていくことに対する人間の倫理観の壊れを目の当たりにしたキムさん。もともとあったのかもしれませんがそれに違和感を感じてきていた様子。

アメリカとの板挟みも相成り、大統領暗殺を企てるようになった。

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自分もその幹部のポストにいるにも関わらず、大統領や警護室長からの卑劣な扱いを受け続けたが故に考え方が軍事中心から民主的な考えになったかのような心情の変化が巧妙に描かれていて、めちゃ面白い。

直近の麒麟がくるでも同じような状況が最終回で描かれていて、ここまでの映像コンテンツの強いリンクは運命を感じざるを得ません。

ミャンマーの軍事クーデター

リンクという点では、ミャンマーの軍事クーデター。アウンサンスーチー氏が拘束されてしまったというニュースは記憶に新しい。

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そんなニュースを見ていて、感じるのはそもそもなんで軍事クーデターって起こるんや?ということ。

今回の映画でも軍事クーデターが全ての始まりとなっているから余計に気になる。

BCCの日本版の記事に解説が載っていた。

民主化を時間をかけて手にいてらミャンマーがあっけなく政権を取られてしまうのは現行憲法に要因があるらしい。

現行憲法は国軍に議会議席の4分の1を自動的に与えるだけでなく、内務省や国防省、国境省の主要3省の支配権も付与している。
つまり、現行憲法が変わらない限り、国軍はある程度の支配力を維持できるわけだ。
だが、多数派のNLDが改憲することはできるのだろうか。
BBCのヘッド東南アジア特派員は、改憲には議会で75%の支持が必要であることから、少なくとも25%を軍が占めている状況では実現はほぼ不可能だと指摘する。

現行憲法においては国軍に自動手に議席が与えられている上に改憲しようと思っても、軍が持っている票を合わせても定数以上にならないという無理ゲーな国の制度なのだ。

多くの人が民主化を望んで生活しているようにも感じるが、これまでの歴史上、軍事政治が占めていた割合の高い国が故の制度なのだろうか。

韓国を見ると朴正煕の軍事政権時代には凄まじい勢いで経済成長をした。これは強権をうまく利用した結果とも言えるかもしれない。

国の繁栄と国民の生活、自由のバランスを取るのは難しい。。

最後に

今回の作品は2つの出来事に通じるリンクが印象的だった。

・麒麟がくる(本能寺の変)

・ミャンマー軍事クーデター

時代を超越した2つのクーデターとその間にある本作。

経済的国の急速的な成長をもたらす強権制度ですが、多くの人的犠牲が生まれかねません。

そんな制度を終わらせるにも犠牲が生じます。成長と国民の生活、自由のバランスを保つのは難しい。少なくとも僕の頭では。笑

各国においての政治の体制というものはさまざまであるが、そこに正しさがあるとするならば、少なくとも人の命を軽く扱うような政治はあってはならないと思うし、国民あっての国、世界であることは忘れてはならないと思って欲しいとは思う。

でも、だからと言って経済的な国の成長を妨げるような事態にもなっては困る。だからこそ若いものが政治や社会への関心を高めていくこと、行動することが重要なんだなって思いましたよね。意識して生活するだけでも全然違うと思うし。

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