全身性エリテマトーデス(SLE)の原因、所見、症状、現代医学の治療、東洋医学の治療(漢方など)をまとめてみました。



全身性エリテマトーデス(SLE)とは?

全身性エリテマトーデス(SLE)は、自己免疫疾患の一種です。この病気では、免疫システムが誤って体自身の組織や細胞を外来の侵入者と認識して攻撃します。これにより、多様な臓器や組織に炎症や損傷が生じることがあり、女性に好発するという特徴があります。

全身性エリテマトーデス(SLE)が起こる原因は?

原因は不明であるが、遺伝的、環境的、内分泌環境が作用して免疫寛容を破綻。免疫複合体の沈着によって障害が引き起こされると考えられています。

全身性エリテマトーデス(SLE)の所見、症状は?

SLEでは多彩な症状が現れる。

全身症状としては発熱、倦怠感、易疲労感、体重減少、食欲不振。皮膚症状としては蝶形紅斑が特徴的である。

また8割以上の方に関節痛が発症し、臓器症状としては腎臓に関連してタンパク尿、ネフローゼ、ループス腎炎など。肺に関連して胸膜ん、胸水貯留、間質性肺炎。心臓に関連して心外膜炎、心筋炎、心筋梗塞など。

消化器関連では嘔吐、肝機能障害、腹痛などがあらわれます。

全身性エリテマトーデス(SLE)の診断方法は?

血液検査では汎血球減少、貧血、血小板減少があらわれ、さらには抗核抗体、抗DNA抗体抗Sm抗体、リウマトイド因子などの自己抗体が陽性となり高グロブリン血症、血清補体価の低下が見られます。

全身性エリテマトーデス(SLE)の一般的な治療法は?

一般的にはステロイドなどの免疫抑制剤などが中心的治療になります。

全身性エリテマトーデス(SLE)で気をつけるべき事は?

全身性エリテマトーデス(SLE)を管理する際には、いくつか特に注意すべき点があります。これらの注意点は、症状の悪化を防ぎ、疾患のコントロールを助けるために重要です。

1. 日光への露出を避ける

  • SLE患者はUV光に敏感であり、日光が症状を悪化させる可能性があります。屋外に出る際は、長袖の服を着用し、帽子やサングラスを利用し、日焼け止めを塗ることが推奨されます。

2. 感染症からの保護

  • 免疫抑制治療を受けている場合、感染症にかかりやすくなることがあります。人ごみを避け、手洗いをこまめに行う、予防接種を受けるなどの対策を講じましょう。

3. 健康的な生活習慣を維持する

  • 健康的な食事を心がけ、定期的な運動を行うこと。特に心血管リスクが高まる可能性があるため、飽和脂肪の少ないバランスの取れた食事が推奨されます。

4. ストレス管理

  • SLEの症状はストレスによって悪化することがあります。リラクゼーション技法を学び、必要であれば心理的支援を求めることが役立ちます。

5. 喫煙を避ける

  • 喫煙はSLEの症状を悪化させるだけでなく、心血管疾患のリスクも高めるため、禁煙が強く推奨されます。

6. 定期的な医療チェック

  • 定期的に医師の診察を受け、症状の変化や治療の効果を適切にモニタリングすることが大切です。必要に応じて治療計画の調整を行います。

7. 薬の管理

  • 処方された薬は指示通りに正確に服用し、自己判断での服用停止や変更を避けることが重要です。また、新しい薬を始める際は医師にSLEの診断を伝え、相互作用のリスクを確認してもらいましょう。

8. 教育とサポート

  • SLEについての知識を深め、疾患について学ぶことで自己管理が容易になります。また、家族や友人、サポートグループからのサポートを得ることも大切です。

全身性エリテマトーデス(SLE)の予後は?

増悪と寛解を繰り返し慢性的に経過する。5年生存率は90%を超えるが、血管障害や腎不全などが死因となることもあります。

全身性エリテマトーデス(SLE)と東洋医学。

全身性エリテマトーデス(SLE)に対する東洋医学のアプローチは、西洋医学とは異なる視点から症状の管理と治療を行います。東洋医学では、身体の不調はエネルギーの流れの不均衡や臓器系統の調和の乱れから生じると考えられています。

東洋医学を取り入れるメリットは?


全身性エリテマトーデス(SLE)の治療に東洋医学を取り入れることには、いくつかのメリットがあります。東洋医学は全体的な健康とバランスに重点を置くアプローチを提供し、西洋医学の治療と併用することで、患者さんのQOL(生活の質)の向上を図ることができます。以下は、東洋医学を取り入れることの主なメリットです。

1. 全体的な健康の改善

東洋医学は、特定の症状だけでなく、体全体の健康とバランスを考慮に入れます。これにより、SLEの症状管理だけでなく、全体的な健康が改善されることがあります。

2. 副作用の低減

漢方薬をはじめとする自然療法は、通常、西洋医学の薬剤に比べて副作用が少ない傾向にあります。これにより、長期的な治療計画においても患者の負担が軽減される可能性があります。

3. ストレス緩和

気功や太極拳などの練習は、ストレスの緩和に役立ちます。これらの活動はリラクゼーション効果が高く、SLEの症状を悪化させる可能性のあるストレスを管理するのに有効です。

4. 症状の緩和

鍼治療は痛みの緩和に特に有効であり、SLE患者が経験する関節痛や筋肉痛を軽減するのに役立つことが報告されています。また、疲労感の軽減にも効果があるとされています。

5. 免疫システムの調節

漢方薬は免疫システムを調節し、過剰な免疫反応を抑える効果があるとされています。これにより、SLEのような自己免疫疾患の治療において有益な影響を与える可能性があります。

6. 補完的アプローチ

東洋医学は、西洋医学の治療と組み合わせて使用することで、より包括的な治療計画を構築するのに役立ちます。両方のアプローチを組み合わせることで、治療効果が向上する可能性があります。東洋医学を取り入れる際は、それが西洋医学の治療を補完するものであることを理解し、必ず医師と相談しながら進めることが重要です。


以上のような点から、東洋医学を取りれるメリットがあります。

その他の全身性エリテマトーデス(SLE)の治療法

全身性エリテマトーデス(SLE)の治療において東洋医学が提供する方法は多岐にわたります。以下に、主な治療法をいくつか挙げます

1. 漢方薬

漢方薬は、症状や体質に応じて選ばれる数種類の天然成分を含む複合薬です。SLEに対しては、免疫システムの調節、炎症の抑制、体力の増強を目的として用いられます。具体的な処方例としては以下のようなものがあります:

  • 白虎加人参湯:高熱や潮紅に用いられることがあります。

  • 黄連解毒湯:皮膚の炎症や発疹に対して効果が期待されます。

  • 補中益気湯:全身の虚弱感に対して用いられることが多いです。

2. 鍼治療(はりちりょう)

鍼治療は、体内の特定のツボに細い針を刺入して刺激を与えることにより、痛みの緩和や体内のエネルギーバランスを整える効果が期待されます。SLEにおいては、関節痛や筋肉痛の軽減、さらには疲労感の低減に有効なことが報告されています。

3. 食事療法

東洋医学では、適切な食事が健康を維持改善する上で非常に重要とされます。SLEの場合、炎症を促進する食品の摂取を避け、消化が良く栄養価の高い食品を選ぶことが推奨されます。

4. 気功や太極拳

これらの伝統的な体操は、ストレスの軽減、体力の向上、体の柔軟性を高めることを目的としています。定期的な実践により、体の緊張を解きほぐし、全体的な健康状態を改善することができます。

東洋医学的に全身性エリテマトーデス(SLE)の治療を始める場合は?

東洋医学的治療は、体質の調査から始まり、陰陽のバランスを整える食事療法や漢方などを用いて体全体の機能を改善します。健康管理と生活指導も重要であり、個々の症状や体質に合わせたアプローチが必要です。そのため専門家への相談が重要になってきます。

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