推しが引退してしまいました【仏教で答える悩み相談16】
人の数だけ、悩みは尽きぬもの。皆さまから寄せられた悩みに、お坊さんや仏教関係者たちが答えます。
今月のお悩み
Q 大好きだったアイドルが引退してしまいました。今後その姿が見られないと思うと、明日から何を楽しみに生きていったらいいのかわかりません。失意のどん底にいる私に、心を立て直す方法を教えてください。(30代・女性)
A1「推しロス祭り」を計画しては
「推しロス」は辛いです。「今日も会えるな」という想いは、一日一日を過ごす活力になります。それがなくなると、起きるのも辛くなりますよね。
私の場合は、というお話くらいしかできませんが、「推しロス祭り」を開催します。この歳になると、好きだったアーティストが引退というより亡くなるケースが増えますが、動画サイトを徹底的にみたり、一緒に歌ったり、これまでの経歴をサーチしまくって、「推しの世界」に浸りきります。
ご相談者の方の場合は、お相手が亡くなったわけではないけれど、そのプロセスが供養になり、私の気持ちも少し浄化されていく気がするんですよね……。
そして誰かに惹かれる気持ちがあるならば、必ず次の「推し」は現れます。ワクワク感は、いつまでも持ち続けたいなと思っています。
(編集委員・枝木美香)
A2 お寺で気持ちを話してみて
お坊さんなら別れから心を立て直す方法を知っているだろう、そう思われるかも知れませんが、別れというのはどんなに経験を重ねても、慣れるものではありません。
お坊さんは話を聴くことや、一緒に考えることくらいしかできないかも知れませんが、ここはひとつ、お寺に行って、つらくてどうしようもない気持ちを話してみてください。話してみることによって、気持ちの整理がつくかも知れませんし、1人でふさぎ込むよりも、2人で話をしてみたら良いアイデアが浮かぶかも知れません。
「推し活」は秘めた楽しみとして嗜まれることが多く、周りの人に相談しづらい面もあると思います。けれど、どこかに話を聴いてくれる人がいるという安心感だけでも、持っていただけたらいいなと強く思います。
(本願寺新報記者・星 顕雄)
A3 想う気持ちをずっと大切に
人それぞれと思う方もいるかもしれませんが、すぐに心を立ち直らせることは難しいです。「諸行無常」とは、人生であったり、物であったり、この世のものは変化し続けていくものだと表現した言葉です。
しかし、分かっていてもその現実を素直に受け入れることが難しいのが私たち人間です。大好きな方が引退された事実を受け止めることも、辛く困難なことと思います。
そんな中でも、大好きな方を応援する気持ち、想う気持ちは、まだあなたの中に在り続けていると思います。ライブ映像を見たり、曲を聞いたり、歌ったり、同じ気持ちのファンの方とSNSや対面で語りあったりしてみるのもいいかもしれません。今は辛いと思いますが、その方を想う気持ちというのは、ずっと大切にしてください。
(築地本願寺コンタクトセンター担当・井手誠哉)