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社会貢献したいけど、何をしたらいいかわからない【仏教で答える悩み相談13】

 今月のお悩み

Q 世界でいろんな問題が起こるなか、「自分も何か社会の役に立ちたい」との想いがあります。ただ、目の前の生活で精いっぱいで、手が回りません……。「まずはこれから始めてみては」というおすすめの社会貢献があれば教えてください。(40代・男性)

A1 寄付を通じて得られる学びも


 その素敵な気持ちを、持ち続けることが大切だと思います。日々を精一杯生きている方だからこそ、困っている人たちや悪化する自然環境などに思いを寄せられるのではないでしょうか。

 私がおすすめする初めの一歩は、寄付です。でも、どこに寄付したらいいかわからないかもしれませんよね。たとえば、インターネット上にはいくつかクラウドファンディングと呼ばれる寄付サイトがあります。難民支援や環境保全もあれば、保護猫や病気のこどもの支援など、多彩な活動に向けて寄付を募っています。ご関心のある課題や取り組みを選んで、少額でいいから寄付をしてみてください。寄付をすると活動報告や、取り組んでいる人たちからのメッセージが送られてきて、学びも深まります。

 自分が動けなくても、動いている人たちは大勢いるので、その人たちを支えることもひとつの社会貢献だと思います。
(編集委員・枝木美香)
 

A2 拍手を送るだけでもいい


 俳優の杉良太郎さんはデビュー前の15歳から福祉活動を始め、投じた私財は数十億円、ベトナムでは150人以上もの孤児を養子に迎え、今も活動を続けています。

 そんな杉さんの言葉の中で私が好きなのは、「福祉をやるには確かに時間とお金がかかる。特にお金がないと見栄えのいい福祉はできません。でも、お金がない人は時間を寄付すればいい。お金も時間もない人は福祉に対する理解を示し、実際に活動をしている人に拍手を送るだけで十分。それでもう立派な福祉家なんです。福祉ってそういうもんです」(昨年3月10日付、朝日新聞ウェブ記事より)というもの。

 もちろんこれは「何もしなくていい」という意味ではありません。できることの積み重ねで、心豊かな社会の実現に近づくのではないでしょうか。
(本願寺新報記者・星 顕雄)

 
A3 身近なことから考えてみては

 例えば、ごみは分別する、歩きスマホをしない、笑顔で人と接する……等々。当たり前と思うかもしれませんが、意外と出来ていなかったりするものです。「面倒くさいし、いっか」と行ったことが、実は他の人に迷惑をかけたり、不快にさせてしまう事があるかもしれません。

 もちろん「人様に迷惑をかけない」とまでは言いませんし、迷惑をかけずに生活することはできません。
 
 仏教では、自分ではなく人のために尽くすといった教えがあります。しかしながら、人のため、社会のために大きな一歩を踏み出すことは難しいですよね。
 
 まずは無理せず、身近なことから始めてみてはどうでしょうか。役に立たないと思うこと、迷惑をかけないようにやったことでも、立派な社会貢献だと思います。
(築地本願寺コンタクトセンター・井手誠哉)

※本記事は『築地本願寺新報』掲載の記事を転載したものです。本誌やバックナンバーをご覧になりたい方はこちらからどうぞ。

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