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推し以上に好きな人に、現実では出会えない気がする【仏教で答える悩み相談19】

人の数だけ、悩みは尽きぬもの。皆さまから寄せられた悩みに、お坊さんや仏教関係者たちが答えます。
 
今月のお悩み

Q 周囲を見渡すと、みんな恋バナに明け暮れて楽しそうです。私も恋がしてみたいのですが、現実世界では推しのアイドル以上に好きな人に出会えません。どうしたら好きな人ができるでしょうか? (10代・女性)

A1 恋はであうもので気づくもの


 十代のあなたがよく本誌に悩みを寄せてくれましたね。きっとご縁があったのでしょう。
 
 これだけ多様性が尊重される時代で、周囲に合わせるために好きな人を作ろうなんて「昭和かよ」って感じです。推しのアイドル、OKじゃないですか。推しは新しい愛の形とも言われますし。だから、もう願いは叶っているのではありませんか? 今のあなたは十分楽しそうですよ。
 
 今後は、あなたを大切に思ってくれる人に出会えるといいですね。大切なものに限って、探しても見つからないものだけれど、裏表紙のマンガのように、気がついたらもうあった、みたいなことだってありますからね。
(編集委員・牧岡大悟)

A2  いつか心奪われるときがくる

 恋をするって、どういうことでしょうね。推しのアイドルがいて、その人を好きでいること、これも一つの恋ですよね。恋する相手が自分のすぐ近くにいる人か、もしくは自分とは遠い別世界にいる人なのか。そこの違いかなと思います。

 いうなれば、推しのアイドルは「好き」ではあるけど、それは憧れに近い「好き」な人、現実世界ではこの人といたら落ち着く、この人なら自分のすべてをさらけ出せる。それが現実での「好き」ってことじゃないですか?

  いつの間にか、目の前に現れた人に、心奪われるときがくるでしょう。その相手がご自身の好きな人であり、それはたぶん、推しのアイドルと似たような、憧れの人に近い方だと思いますよ。この人だと思える人に出逢えるよう、陰ながら応援してますね。
(築地本願寺コンタクトセンター担当・戸見嶋 淳昭)

A3  恋はするものじゃなく、おちるもの

「恋がしてみたい」ということはまだ恋の経験がないのですね。そしてお友だちのご様子から、恋は楽しいものと想定されているのでしょう。

 でも、「恋はするものじゃなく、おちるもの」。これは、江國香織さんの小説『東京タワー』の一節です。 そう。恋というのはおちるもの。想定外のできごとです。恋をしたいと思ってつかみに行っているうちは、推しのアイドル以上に好きな人と出会うことも、推し活以上の楽しさを感じることも難しいように思います。

  出会いはそこらへんに案外ころがっています。それに気づくポイントはまず、「私が好きになるのはこういうタイプの人」と決めてしまわないこと。自分の好みを限定してしまうのは早すぎます。想定外のタイプが気になったら、あなたが恋におちるのはまもなくです。
(延立寺住職・松本智量)

※本記事は『築地本願寺新報』掲載の記事を転載したものです。本誌やバックナンバーをご覧になりたい方はこちらからどうぞ。

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