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薬師丸ひろ子「Woman “Wの悲劇より”」を和歌と共に聴く(2)

前回の記事では、
松本隆さん作詞「Woman "Wの悲劇"より」を、
百人一首にも採られる和歌「ゆらのとを…」と
関連づけて鑑賞してみました。

今回も、
同歌を自分勝手に楽しく鑑賞してますよ、という
よしなしごとをそこはかとなく書きつけようと思います!


横たわった髪に胸に
降りつもるわ星の破片(かけら)
(「Woman "Wの悲劇"より」歌詞:松本隆)


和歌では、雪は白髪の比喩。
「髪に降り積もる雪」は、老いの象徴です。


ここで髪に降り積もっているのは
「星の破片」ですが、
冒頭で「雪のような星が降るわ」
と歌われているせいで、
上記の箇所を聞く頃には私の脳内は、
星と雪がごちゃまぜになるという
混乱状態に陥っています。


よって
「髪に胸に 降りつもるわ 星の破片」は
「髪に雪が 降りつもるわ」に自動変換され、
最終的に「私は年をとってしまうわ」
と言っているように聞こえるのです。


「広大な時間の中で、しるべを失った私は
ただどうしようもなく
ぽつねんと揺蕩うているうちに、
老いていくのだわ。」

と。


意味づけなんてしなくても
表面の言葉だけでじゅうぶん美しい歌詞なんですけどね。


やさしい眼で見つめ返す
二人きりの星降る町
(同上)


「星降る」という表現って、
いつ、どこから生まれたんでしょう。
式亭三馬の滑稽本に用例があるようなので
起源は案外古そうですが。
すごく感覚的というか、曖昧な、
でもステキな響きですよね。

人々は、「星降る」と聞くとどんなイメージを抱くのでしょうか。
私の心に浮かぶのは、ゴッホの名画「星降る夜」です。

ゴッホ「星降る夜」


これ、原題を直訳すると、
単に「星の夜」くらいのもので、
「星月夜」にせよ「星降る夜」にせよ、
絵画にぴったりの趣ある訳でステキだなあと、
センス抜群だなあと、思います。


話は逸れましたが。
兎に角とにかく、聴けば聴くほど味わい深い
とっても豊かな歌なんです。
イメージが、無限に広がっていくんです。


だから、好き。



どう書いたら伝わるのか分からなくて、
歌詞全文が手元にあることが前提の、
エゴイズム気味な記事になってしまいました。

文章を書くのって難しいな。


それから
「一文はできるだけ短い方が伝わりやすいよ」
というアドバイスを頂いたことがあって、
全くその通りだと思うのですが、
一昔前の独白体の小説を読んでいる最中でして、影響されてか一文がどうしても長めになってしまい
残念ながらアドバイスを反映させられませんでした。


反省と見せかけて
それはそれでいっか、とも
割と思っている、甘ちゃんです。

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