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通じない理由は、英語力でも発音が悪いからでもない

(写真はケンタッキー州の郊外の個人宅:2016年1月撮影)

英語しゃべれますか?
英語は得意ですか?

たぶん、ほとんどの方はこのような質問に
「いいえ、しゃべれないんです。」
「英語は苦手で」
と答えるのではないでしょうか?

日本人のほとんどの人が、自分は英語が苦手だと思っていると言っても間違いではないのかと思います。

私は日本で生まれ、日本で育ち、人生のほとんどを日本で過ごしてきました。

そんな私が米国人女性と結婚し、英語を使って30年以上にわたり仕事をしてきた視点から書きたいと思います。

日本人は英語が下手なのか?

TOEFLだけが英語の力を調べる方法とは思いませんが、TOEFLの平均スコアを国別に比較したリストがあります。

https://www.ets.org/s/toefl/pdf/94227_unlweb.pdf

この2019年の報告書をみると日本はアジア28カ国の中で26番目です。

いわゆる先進国、OECD(経済開発協力機構)加盟国の37カ国中では、最下位37位となります。

TOEFLテストは、教育機関(大学や大学院など)で英語が母国語でない人対象に英語で「コミュニケーション」がどの程度できるかを調べるために米国で作成されたテストです・

英語でのコミュニケーション能力が平均的に非常に低いという結果なのです。

また、実際に英語に対する意識についても苦手意識が強いようです。

2016年に行われた英語に関する意識調査では、「とても苦手」と「苦手」と答えた人は71.6%になっています。

テストの平均スコアが他国と比べても低いですし、自分も苦手意識が強いわけです。

それでは、これを持って英語が下手と言えるかどうかです。

私の個人的な印象だけですが、英語を使ったコミュニケーションに困難を覚える人が多いとは思います。

英語と日本語の違い

日本人にとって、英語は言語学的に非常に異なっているから、英語をなかなか上手になれないという意見に出くわすことがあります。

英語は「ゲルマン語派」と呼ばれるグループで、ドイツ語やオランダ語と同じグループに属する言語です。

日本語はというと、言語学者の中で総意は確立されておらず、日琉語(日本語・琉球語)を「孤立した言語」と考える学説とユーラシア大陸をまたがって使用されている「アルタイ諸語」の中に含める学説とがあり、議論は続いているようです。

日本の言語学者は「独立した言語」と考える学者が多く、海外の言語学者は「アルタイ諸語」に含める学者が多いわけです。

確かに言語グループが異なりますから、文法や発音など随分異なるわけです。

「アルタイ諸語」の特徴の一つに「SOV(主語、目的語、動詞)」の語順をとることや、「R」の発音から始まる言葉がほとんどないことがあげられます。

英語は「SVO(主語、動詞、目的語)」の語順ですし、良く日本人がうまく発音ができないと言われている「R」の発音から始まる言葉も多くあります。

日本人にとって英語は非常に難しい言語であると言われています。

しかし、他の「アルタイ諸語」の言語を母語とする人々よりも、TOEFLの点数では低いのです。

  • 勉強が足りないからでしょうか?

  • 勉強法が間違っているのでしょうか?

  • とにかく英語は日本語を母語とする人々にとっては習得の難しい言語なのでしょうか?

なんで英語が苦手?

ここで日本人は英語が下手か?上手か?について結論を導き出そうとは思いません。

学習課目としての「英語」すなわち受験科目としての「英語」は、高校・大学に進学する人たちの点数がおしなべて低いとは全く思いませんので、調査にあるように苦手と思う人が多くても下手であるとは言えないと思います。

しかし、コミュニケーションの手段としての英語は、TOEFLのスコアにも見られるように能力が相対的に低いと思われます。

体験的にも英語でのコミュニケーションに困難を覚える人が少なくないと思います。

なぜでしょう。

至って個人的な意見ですが、コミュニケーションの取り方の違いが大きいせいだと思います。

英語を母語とする国は複数ありますが、どの国でも日本と比較すると「直接的」な言葉を使ってのコミュニケーションスタイルです。

他方日本語は「間接的」な言葉を使ってのコミュケーションです。

良く例にあげられますが、英語を使う西洋人は「I love you.」と愛する人に言葉で愛を伝えます。それも毎日のように頻繁に言葉にします。

日本人は「(わたしは)あなたを愛してる」と言葉にして愛を伝えることを英語文化圏の人ほど言葉にはしません。比喩を使ったり、しぐさや行動によって愛を伝えることに長けています。

このようにコミュニケーションの手法が全く違います。

この違いが英語を使うときに大きな壁になるように思います。

日本人の多くは、日本語を英語に訳して使おうと思っています。しかし、そのまま英語に直訳しても通じないことが多いのです。

最近は結論を最初に簡潔に述べて、なぜならばと続けるビジネスで使われているプレゼンスタイルが、英語では通常のコミュニケーションで用いられているわけです。

結論を最後まで言わない、その上含みを持たせて結論はさほど明確にしないスタイルが中心の日本のコミュケーションスタイルから、英語を使う時には脱却しなければならないでしょう。

今回のnoteも日本語コミュニケーションスタイルで書いていますね。(笑)

最後までお読み頂きありがとうございます。



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