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東京オリンピック開会式の日に周辺を歩いてきた。

 開会式の時間に合わせて渋谷から外苑を歩いてきました。メモの殴り書きですが、一個人の目に映った開会式当日の周辺景色を楽しんでもらえれば幸いです。下が外苑散策マップです。

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18:00 渋谷ハチ公前

 いつもと変わらぬ休日の渋谷駅前。とはいえコロナ禍で若干、人の量は少ない気がする。これまでの休日なら、こんなに人とぶつからずに渋谷を歩けなかった気がする。
オリンピック開会式が本日行われることを示すようなものは見渡してもない。依然として終わらない渋谷駅魔改造工事。これって2020年に完了じゃなかったけ?勝手にこっちが思っていただけだろうか。
 ただの4連休2日目の渋谷感に浸っていると、ハチ公前から音が漏れ聞こえる。近づいてみると五輪反対集会だった。渋谷唯一のオリンピックムードはここにあった。この日15時ころから代々木公園付近からデモ行進をしていた五輪反対デモのゴール地点がハチ公前だった。デモは100人いかないぐらいか。その周りを私と同様に、スマホ片手に撮影する人が囲む。中には日本や海外のメディアクルーもいる。デモ関係者のおじさんからビラを1枚貰う。これは貴重な資料だ大事にとっておこう。なんてたって東京2020大会開会式当日のデモの記録。なお傍では別のおじさんがデモに対してブーブー言っていた。
 ハチ公前を後にし、宮益坂から青山通りへ、渋谷駅周辺、渋谷駅に向かう人は多いが、徐々に人の数もまばらに、青学の前付近までくると、私と同じように表参道駅方面に向かう人はほとんどいない。

ハチ公前デモ

19:00 表参道の交差点

 青山通りと表参道がぶつかる交差点に到着。ここから車は通行止めとなっている。車が全く走らない青山通りという異様な景色が目の前に現れる。交差点を過ぎて国立競技場方面に青山通りを歩く、ここから警備員が30m間隔ぐらいに配置され始めている。だいたい一人か二人ずつ。服装を見るに民間会社の警備員で、談笑する人も多く目立つ。非常に緩い空気。競技場方面に向かう人は少ないし、道路は封鎖されている。また警察官もときたま配置されているから、彼、彼女らの出番はほとんどなさそう。人通りも少ない中、道路沿いお店は開いている。こんな状況でお客はくるのだろうかと心配になる。南青山交差点で、青山通りに曲がろうとする渋いクラシックカーを目撃。警察官が「曲がれません。迂回お願いします」と声を掛けるが、なんか揉めている。もしかして、曲がったところにお家があるのか?

青山通り交差点

青山通り車侵入

19:10 外苑前交差点

 いよいよ国立競技場が近づいてきた。外苑交差点前からスタジアム通りに入る。この辺りから一気に警察の数が増える。警察官の上着を見ると、警視庁だけでなく、岩手県警や島根県警など応援部隊の人を目にする。当たり前だけど民間の警備員さんと違って厳しい。写真を撮ろうと歩道をはみ出ると、すぐに「車道に飛び出さないでください」と注意される。
 秩父宮ラグビー場付近に到着すると国立競技場の庇部分が見えてくる。この辺りから、写真を撮る人や、日本や海外のメディアのバンが待機していたりし始める。

スタジアム通り

19:20 日本青年館、オリンピックスクエア付近

 秩父宮ラグビー場前を通過し、都立青山、國學院高校を過ぎると、人の量が一気に増える。コーンで導線が規制され片側通行となっている。
 オリンピックミュージアム前。五輪マーク付近。海外の人が記念写真を撮っているのが目立つ。そして芝生を埋め尽くさんばかりに大勢の人が着席して待機。音漏れ勢か。SNSで配信している人も見かける。なぜか参考書みたいなのを開いて勉強している人もいる。時間つぶしか。ここも海外メディアがたくさん。後でわかったことだが、多分このポジションが開会式の音漏れや花火など一番迫力をもって見れる場所だった。

モニュメント前

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19:30 外苑西通り

 オリンピックスクエアの横道に入り、芝生前に向かう人をかき分けながら外苑西通りに抜ける。外苑西通りまで出て来ると、拡声器特有の割れた声に合わせた合唱が聞こえる。五輪反対運動のデモだ。国立競技場に近い千寿院交差点付近でやっている。
 人が行きかう間をかき分けてダッシュで現場に向かう。開会式まで30分を切る中で、開会式の中止やオリンピック中止を求めている。シュプレヒコールは微妙に乗れないリズム。目の前には大量の警察官が配備され、周辺は警察官による交通整理。人の流れが止まらないように促している。
デモに近づくとおじさん同士の言い合いに遭遇。片方のおじさんは海外の方のようで英語と日本語を織り交ぜて熱く怒鳴っている。怒鳴られているおじさんは何をいわれているのかぽかんとしながらも、自分たちの活動について説明している。

デモ20時

デモ20時②

 デモ隊の横を抜けて千駄ヶ谷駅方面に向かう。この辺りの歩道は狭く。人の往来は一列ずつにならざるを得ない。デモ辺りからとても渋滞となっている。狭い歩道に人だけでも大変なのに、この渋滞に巻き込まれた近隣住民の方や、移動を楽しようとした人が自転車を押しながらこの行列に参加していて、よりいっそう道は窮屈に。目の前の車道は規制により車ひとつ走っていない状態。せめて自転車部隊だけでも車道通らせてくれないものか。それぐらいの臨機応変さを求めてしまいたくなる。

渋滞

 いつになったらこの渋滞は終わるのだろうとテンションが下る。ホープ軒を抜けた。しかし渋滞は一向にやまない。この間も私たちとは反対方向に外苑西通りを進む人たちが徐々に増えている。なんでこんなにたくさんの人が向かっているのと思ったが、どうやらドローンによる空中芸のポイント探しのためらしい。デモ隊付近が見やすいポイントになっているのか?そうなるとデモ隊付近は地獄になっている気がする。(なおこの後、外苑西通りは千駄ヶ谷駅から外苑西通りへと向かう方向のみに歩行者も一方通行に規制される)
 渋滞をのそのそと歩いていると突然「Move!! M××××r F××K!!」との怒号が真後ろから。振り返ると、さきほどデモ隊のおじさんに熱く怒鳴っていたおじさんだった。この怒号に一瞬空気が止まる。その瞬間怒号おじさんはずかずかと列を崩して前進していく。あっという間に見えなくなった。 
「おお、おじさん」と見ていると、別のおじさんが「あいつやるな笑おれらもついていくか笑」と笑顔。この辺に住んでいるおじさんで、仕事帰りらしい。「おれは早く家に帰ってクーラー効いた部屋でビール飲みながら開会式が見たいんだよ!」と。仰る通りです。この熱気の中でいま一番欲すのはビールで間違いない。このおじさんは途中で横道に入り渋滞から離脱した。はたして開会式はクーラーが効いた自宅でビールを飲みながら見ることができたのだろうか。
 観音橋の交差点を左へ。もう歩道の渋滞に我慢ができず、車道に飛び出てしまう。怒られるかなとびくびくしながらも路肩を早歩きで抜ける。怒られなかった。無事に人の量が落ち着くところまで出れて一安心。気づけば開会式まで残り10分。開会式は千駄ヶ谷駅前で見ることになるか。

20:00 千駄ヶ谷駅前

 ヘリコプターの音がうるさい。目視できる上空の光の点は3つか4つ。どれもヘリコプターだと思われる。テレビ関係だろう。とりあえずうるさい。千駄ヶ谷駅前も警察官が大量に配備され、「止まらず進んでください」とアナウンスが流れる。警察官のプレッシャーに負けないためにテレビカメラクルーの傍に退避。TBSのカメラだった。真横に付けたのでADっぽく思われてればいればいいと思っている。そして気づけば千駄ヶ谷駅前の交差点の人の流れも規制されていた。
 いよいよ開会式が始まる時間。アプリで開会式の中継を確認しつつ国立競技場方面をみていると突然花火が上がる。「おお」という歓声と共に、みんなスマホを上空へ向ける。花火が打ちあがると横にいたTBSのカメラマンがスマホで花火を撮影していた人にインタビューを開始。「花火は撮れましたか」「なにしに来ましたか」など。矢継ぎ早に質問を繰り返す。このシーンはその後使われたのだろうか。アプリで見る限り開会式は順調に進んでいるようだが、千駄ヶ谷駅前付近からはまったく状況がわからない。音漏れもしない。東京体育館も間にあるし、そりゃ聞こえないか。ここは警察官のアナウンスとヘリコプターの音しか聞こえないし、周辺散策を続けよう

花火

20:20 大番児童遊園

 千駄ヶ谷駅から信濃町駅へ。外苑東通りに向けて抜ける。ただ外苑一帯は交通規制のために通行ができない。そのため一度電車の高架をくぐり、慶応義塾大学病院前の通りを抜けて行くことになる。千駄ヶ谷駅から離れていくにつれて人の数は減っていく。高架をくぐり、小道を抜けて慶応義塾大学病院前の通りに出るとなぜか人がたくさん。皆が見ている報告を見ると確かに国立競技場がちらっと見える。しかしここから見て満足できるのか?と疑問になるような景色。それでもたくさんの人がいる所を見るとそれでも良いのだろう。

大番公園

 さきほどの渋滞ほどではないが歩道の往来をかきわけながら信濃町駅へ。外苑東通りに到着した。

20:30 外苑東通り

 外苑東通りは国立競技場から周辺の通りの中では一番距離が離れていることもあり、人もそこまで多くないし、むしろ少ない。ここまで渋滞につかまったり、走ったりして汗だくになっているし疲れている。しかも雨が若干振り出した。一回休憩しよう。屋根のあるバス停で一休み(当然交通規制のためにバスなんかこない)。休憩中に国立競技場からまた花火が上がる。いま開会式はどれぐらいまで進んでいるのだろうか。アプリで見続けてないと外にいては全くわからない。

外苑東通り

 一休み後に外苑東通りを青山通り方面に向かう。権田原の交差点に到着。警察官が交通整理を実施中。国立競技場方面からバスが出てきた。数が尋常じゃない。20台ぐらいが一気に出てきた。中には誰も乗ってない。なんのバスだ?この時は疲労もあり気も回らなかったが、開会式に参加する各国選手団を乗せたバスだったことに後で気付くことになる。

権田原

20:40 北青山一丁目

 外苑東通りを逸れて小道に入る。マンションが立ち並ぶ一帯。まったく開会式の音は聞こえない。ましてや人通りもほとんどない。目のまえを犬の散歩をする人が通っている。本当にすぐそばで東京2020大会の開会式が行われているのだろうか。喧噪を蚊帳の外に置く閑静な住宅街が広がっている。正面から若い男がジンバルにスマホを固定して歩いてくる。すれ違った後。失礼と思いつつ遠巻きにのぞき込むと配信をしているようだ。画面の脇をコメントが流れている。もうここまで来ると東京2020大会を感じることもない。そう思いつつ小道を抜けて青山通りに出た。

20:50 青山一丁目交差点

 青山通りに出る。交通規制が敷かれている。普段は車の往来が激しい時間に、一台も通りを走っていないのはやはり違和感がある。東京ってこんな静かになるんだ。少しするとバスが10台ほど連なってやってきた。なんだろうと思っていると、反対側の沿道にいる人たちが手を振っている。車内にいたのは各国の選手団だった。そうか。選手村から国立競技場に向かうバスのルートはここだったのか。気づいたところで手を振ってみるが、車内の選手は反対側を見ている人が多く、こっちに気づいてくれたのはわずかだった。反対側に渡って手をふることにしよう。
 青山一丁目交差点を渡る。交差点にはテレビ朝日のクルーがいた。みるからに一人だけ恰好が違う。アナウンサーっぽい人がいる。残念ながらマスクで顔が隠れていてだれかわからなかった。交差点を渡ったところには30人ほどの人が沿道に待機して選手団の乗るバスを待っていた。コロナ禍でなければ、この通りも人でごった返していたことだろう。
 待機しているとバスがやってきた。今度こそ手を振ってもらおう。1台、2台と通り過ぎる。するとバスから身を乗り出して手を振ってくれる選手が現れる。この場にいる全員の歓声が湧く。しかしその歓声は身を乗り出して応えてくれたことに対してだけではない。その人物が八村塁だったのだ。思わず私も「おお、八村!」と声が漏れる。日本選手団のバスと遭遇できるとは運が良かった。日本選手団のバスが過ぎると、もう終わりなのだろう。後ろに待機していた作業員の方々がバリケードの片づけを始める。手際よく、バリケードが解体されていく。

青山通りバス

バリケード後片付け

21:40 外苑交差点前

 青山一丁目交差点から外苑前に戻ってきた。交通規制の中、最短ルートで外周することができた。開会式はまだまだ続いている。途中聞き耳を立てた警察官の話によれば22時半ごろまで入場行進は続く。さて、そういえばデモはどうなっているだろう。オリンピックミュージアム前の音漏れ勢も含め、現在の状況を確認しに行こう。

21:50 オリンピックミュージアム前

 相変らず音漏れ勢は芝生を埋め尽くしている状態。ただ、この時には国立競技場からの音は聞こえない。聞こえるのは、埋め尽くす人々の声と、警察官のアナウンスの声のみ。考えると3時間以上座りっぱなしの人もいるはずである。そんなにここで見たいものがあるのか。特に目当らしい発見もなく、デモ現場に急ぐ。

22:05 デモ隊付近(千寿院交差点)

 1周目に通れた道に交通規制が敷かれていた。ちょっと迂回路を通ることになる。やはりあの渋滞はさすがの警察も見過ごせなかったらしい。それなら多少車道を開放すればと再び思うが、それは出来ない/してくれないのもまたわかっている。
 迂回路を通り、デモ隊のいる千寿院交差点付近へ。相変らず拡声器特有の割れた声が聞こえてくる。ちょうどついたころにはデモ参加者によるスピーチとシュプレヒコールが行われていた。相変らずシュプレヒコールは乗りづらいリズムである。「オリンピックは分断の象徴だ!」と、あるスピーチで飛び出した。オリンピック中止、開会式中止にとどまらず政権批判、警察批判などの言葉が連なる。私が1周している間に、警察との間で悶着があり、デモ参加者が逮捕される事態に陥っていたようで、「不当逮捕!」と目の前に並ぶ警察官に対し言葉をかける。このデモに限らず、デモには警察官が配備され、目の前で彼・彼女らは、デモ隊の言葉を聞く。警察官はデモ隊の周りに野次馬として押しかける人たちよりもその言葉をずっと聞いている。そんな警察官の方々は、どういった気持でデモ隊の熱意を聞いているのだろうか。自らの信念と真逆の熱意を右から左へ流すだけなのか。仕事だからとノイズ程度にしか思っていないのだろうか。

デモ海外メディア取材

デモ22時

 デモ隊は22時半ごろまで抗議活動を続けた。途中、海外メディアが輪の中に入り取材をする光景が見られた。辺りにはデモ隊のシュプレヒコールと警察官の交通整理の声が響く。この辺の住人からしたらうるさくてしょうがないだろうとも思いつつ、デモ隊の声は果たして競技場内に届いているのか。デモ隊の抗議活動が終わった直後、再び国立競技場から花火が上がる。歓声が湧く中、デモ隊は再び抗議のシュプレヒコールを上げた。

22:40 千寿院交差点

 デモ隊の抗議活動が終了し、近くの階段に座っていると、また歓声が。なにかと思い見上げると上空に市松模様のオリンピックマークが。これがいっていたドローンのやつか。上空では市松模様から変化しドローンが球形の陣形をとる。写し出されたのは地球であった。先ほどまで抗議の声に包まれていた一帯が歓声で埋め尽くされる。少しだけ国立競技場から音が聞こえる。イマジンだ。

ドローン

 時計を見ると時刻は11時を過ぎている。11時半終了予定というが、それでもこのまま最後までいては終電に間に合わないかもしれない。ここらが潮時かな。歩道には多くの人と警察官が残っていたが、私は一足先に離脱することにした。

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