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14.あなたがブランドの資料を作らないと、お店側は取引して良いか上司に確認できない。

ブランドの魅力を伝えるポイントは、「商品を売り込む」のではなくて、「好き・欲しいといってくれる人を増やすこと」。欲しいと思われるためには、一方的な情報提供ではなくて、相手の立場や考え方を理解して、必要な情報を提供することが大事です。言葉で説明するよりも商品を見てもらえばわかるというクリエイターもいますが、見せた相手がどうやって上司を説得するか考えたことはありますか?ブランドの伝え方のヒントを紹介します。

テーマ20:ブランド資料の制作

◆プレス・PRの仕事はブランドを好きになってもらうこと

プレスとは、社外に向けてのブランド情報発信やメディア対応などを行う仕事。簡単に言えば、ブランドを好きになってもらう業務です。人を喜ばせる仕掛けを考えるのが好きな人に向いている仕事でしょう。
好きになってもらうためには相手のことをよく理解し、人と人とのつながりを大切にします。プレス担当者が好かれることがブランドを好きになってもらうことにもつながるのです。

売れているブランドのプレスは、人間的にも魅力的で、誰に対しても丁寧な対応をします。著名雑誌の編集や著名ショップのバイヤーには丁寧な対応をするのに、あまり知られていないところには連絡も遅れがちだったり、途絶えがちだったり。そんな相手を選ぶような失礼な態度では、いずれ誰からも相手にされなくなり、ブランドを好きになってもらうこともできないでしょう。

◆ブランド資料が必要な理由

ブランド資料は、立ち上げの時点からブランドや自分自身の紹介をするために必要なもの
実力のある企業でさえしっかりとしたコンセプトブックや企画書などを持って行くのに、信頼がない若手デザイナーが何も持たずにどうやって相手に自分を理解してもらうのでしょう。まずは、しっかりとブランドの自己紹介できることが大切。そのためにブランド紹介ツールが必要なのです。

ショップのバイヤーは、「どのブランドのどの商品に予算を配分するか」という計画を立てる時期にブランド資料を用います。実際に商品を手に取って見る合同展や個展のタイミングではなく、実際に仕入れを計画する段階で資料が使われることを頭に入れておいてください。さらに仕入れを決めるときに、バイヤーが上司に許可をとるためにも使われます。
売場を活性化する新ブランドを導入しようという時期に、バイヤーの手もとにブランドの資料があれば、検討材料に。
この場合に必要なのは、ブランドコンセプトやターゲット、デザイナーのメッセージ、商品を着用した写真、会社概要など。品揃え計画や売り場計画、シーズン計画も一緒にあるといいでしょう。

ブランドイメージやターゲット像は、バイヤーが共感を寄せる部分。それが品揃 え計画によって補強され、コーナーを任せてみようという判断につながるのです。さらに、シーズン計画があれば、安定した継続取引ができそうだという安心感を 与えます。また、商品のこだわりや特長がはっきりしていれば、お店での販売方法まで具体的にイメージできるのです。

バイヤーの頭のなかは、「なんとなく好きではない」「自店の品揃えや雰囲気に合うかわからないから採用しない」「これだけ採用しても、他の商品がセンス悪かったらどうしよう」「この商品が続くかわからないし、実績がないから採用しない」など、買わない理由でいっぱい。このネガティブ状態を変えさせる武器がブランドの資料なのです。
これらの資料で「この商品を採用すれば、お客様に喜んでもらえそう」という意識が取引先に芽生えれば、発注へとつながっていきます

◆アクションを起こしてもらうダイレクトメール(DM)

バイヤーにコンタクトを取る方法のひとつに郵送するDMがあります。
実際、忙しいバイヤーに熱意だけで電話連絡するのは迷惑です。だから、いい売り込みのきっかけ作りは、魅力的なDMでブランドに関心を持ってもらうこと。そのためには、センスやビジュアルイメージなどに工夫を凝らして、コンセプトやデザイナーの姿勢をDMに表現しなければなりません。

ブランドを立ち上げるデザイナーの多くは、イメージが大切だと言います。そのため、DMやカタログのメインにするのはイメージ写真。情報は極力減らそうとします。メジャーブランドの広告を見て、それがいいDMだと勘違いしているのでしょう。

DMのように、相手に展示会に来てもらったり、購買を検討してもらうようなアクションを起こしてもらうツールにおいては、
「ブランドの魅力」
「発信元の信用力」
「相手に期待するアクション方法」

の3つが揃っていないと効果が生まれません。さらに細かく言えば、
①読んでもらう動機づけをする
②ブランドコンセプトをわかりやすく伝える
③不信感や不安を取り除く
④相手のメリットを提示する
⑤どのようにアクションして欲しいかお願いする
という5段階を追って提示することです。

大手メーカーのDMがイメージビジュアルだけでも成り立つのは、すでにブランドの魅力と発信元の信用力が認識されていて、展示会の開催日などの情報により相手に期待するアクション方法だけを告知すれば良いから。新進ブランドがメジャーブランドのマネをしても、何をしているのか、どんなブランドなのか、何もわかりません。

そんなDMをバイヤーが受け取っても、関心を持たれないばかりか捨てられてしまいます。DMの目的は本来集客ですが、イメージビジュアルだけでは集客率を高めるのは難しいと早く気づいてください。

発信元の信用力をDMに示すことも大切です。
バイヤーにとっては、取引先として優れた商品を継続して提供してくれる安定性が重要ですし、マスコミにとっては紹介しても読者を裏切らないだけの実力を持っていることが掲載条件です。どちらの場合も、良い商品であるのは当たり前で、そのうえでさらに信用力を必要とします。
創業期にこの信用力を伝えるためには、個人の経歴やコンテストなどの受賞歴、既存取引先、連絡先などの情報が不可欠。さらに、DMに添える手紙の丁寧さや印刷クオリティなどからも会社の信用力を判断されます。

そして、忘れがちなのが相手に取って欲しいアクションの提示。DMを配っただけで終わりでは効果の有無はわからないでしょう。
雑誌に掲載してほしいのか、webサイトを見て欲しいのか、展示会に来て欲しいのかなど、どういう行動を取って欲しいかを示さなければなりません。
それにより、相手にアクションを起こしてもらうのです。

◆ブランド名の注意

ブランド名はどのように決めていますか? もちろん自分が気に入った名前をつけるのが良いのですが、事前の注意不足でトラブルに発展すること もあるので注意が必要です。
●漢字や、英文つづりから読み方がイメージできる
自分だけ読める名前をつけてカッコイイと思っている人。読めないと覚 えてもらえません。例外的なつづり方、印刷できない文字、発音が難しい 言葉に注意。

●ネガティブな意味に注意
英語でブランド名をつけるときには、必ず辞書で意味を調べておきまし ょう。海外の人には敬遠される意味だったり、ネガティブな意味に受け止 められてしまうと、これからの国際時代には不利になるかもしれません。

●商標として使えるか確認する
気に入ったブランド名でも、他社で商標登録されているものは使用でき ません。知らずに使っていると、商標侵害で訴えられたり、商品回収、賠 償などを求められることがあります。また、自分のブランド名を登録して おかないと他社に使われてしまっても対処できません。
これらの心配を考えると商標登録はしておいたほうが良いと思います。

まずは、特許庁の特許情報プラットフォームhttps://www.j-platpat.inpit.go.jp/で同じ名前が使われていないか確認して下さい。ネット検索だけでは登録の有無はわかりません。自分が使いたいアイテムの分類で、英語のつづりと日本語の呼び方の両方を調べます。また、例えば「デザイン」 という言葉だと「デーザイン」「デザイ」などの似た名前があると登録できないことがあるので注意しましょう。

商標を取得するためには2通り。時間が掛かっても自分で安く取るなら、 特許庁への出願料(基本3,600円+一区分8,400円=12,000円)と登録料(1区分5年間の印紙代21,900円)など5万円以内で申請することができます。
弁理士に頼むなら事前調査、申請、登録、手数料、謝礼等まで含めて20 万円以上かかります。類似商標があった場合の追加書類を作るとさらに5
~10万円高くなることもあります。
都内ならば、東京都知的財産総合センターで無料相談も受け付けています。
http://www.tokyo-kosha.or.jp/chizai/


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