筋肉の反応とストレスの意外な関係
現代はストレス社会。
激しい競争社会、管理社会のなかで、現代人は多くのストレスを抱えており、それが原因で「心の病」にかかる人が増えています。
厚生労働省の発表によると、
うつ病をはじめとする精神疾患の患者数は2017年に400万人超を記録しており、これは日本国民の約3人に1人以上が経験していることになります。
約3人に1人ですよ!!!?
しかも実際には病院で診断を受けていない方なども多くいると思うので、この数字以上の方が何かしらの心の病を罹患している可能性はあるんじゃないでしょうか。
それだけ多くの人が多くのストレスや悩みを抱えている時代なのです。
もしかしたら、あなたも日々何かしらのストレスを感じているのではないでしょうか?
ストレスが溜まれば溜まるほど、それは心身症※として身体に症状として出てきてしまいます。
※心身症
心理社会的ストレスによって発症、もしくは症状が悪化する身体疾患のこと 。
主な症状として、不眠症・動悸・高血圧・消化性潰瘍・片頭痛・気管支喘息・アトピー性皮膚炎などが挙げられる。
心と身体は密接に関わっているため、心のトラブルによるストレスは身体に悪影響を及ぼすのです。
もしかしたら、あなたも以下のような体験をしたことがあるのではないでしょうか?
・恋人に振られたショックでなかなか眠れない
・夫への不満が溜まって最近血圧が高い
・上司からの度重なる叱責で頭痛がおさまらない
・仕事が忙しすぎて肌が荒れる
心の悩みやストレスが原因となって身体に何かしらの症状が現れる。
これが「心身症」なのです。
さぁ、そこで今回は「心と身体の繋がり」に関する内容を!
筋肉の状態が不安やストレスといった人間の心理にどのように影響を与えるのか調査した面白い研究の事例を取り上げ、心と身体の繋がりについて迫っていきたいと思います。
「筋肉をゆるめる」ことが心理面に与える影響
L・A・パロウという方は、漸進的筋弛緩法※といわれるリラックス法が不安やストレスにどうような影響を与えるのかを調査した研究を行っています。
ゼンシンテキキンシカンホウ????という方はこちらの説明を。
※ 漸進的筋弛緩法
特定の筋肉の緊張と弛緩を意識的に繰り返し行うことにより身体のリラックスを導く方法 。(筋肉にグッと力を入れた後に一気に脱力する)
例えば肩の筋肉の場合、 両肩を上げて首をすぼめるように肩に10秒間力を入れる 。その後、15~20秒間脱力して筋肉をゆるめるという方法。
調査した項目は以下の通り。
・不安尺度
・ストレス状態を調べる尺度
・リラクゼーションの程度(10段階評価)
・生理的検査(心拍数、唾液採取)
上記の検査を実施した後に実験群の被験者には漸進的筋弛緩法の訓練を20~30分行い、その5分後に再度同じ項目の検査を実施する。
比較群として筋弛緩法を実施せずに静かに座っているだけの被験者を設け、同様にデータをとった。
簡単に言うと、「筋肉をゆるめたグループ」と「筋肉をゆるめなかったグループ」とで不安やストレス、リラクゼーションの感じ方の変化を比較した実験。
その結果は…
■漸進的筋弛緩法を実施した実験群は不安・ストレスを感じている尺度が両方下がり、リラクゼーションの程度は上昇した。比較群では変化はみられなかった。
■生理学検査に関しては、心拍数は実験群で低下して、比較群では変化はなかった。
※引用:春木豊『動きが身体を作る』(講談社,2011年)
筋肉をゆるめたグループ
→筋肉をゆるめた後に不安やストレスに対する主観的な尺度が下がった
→筋肉をゆるめた後にリラクゼーションに対する主観的な尺度が上がった
→筋肉をゆるめた後に心拍数が低下した
筋肉をゆるめなかったグループ
→不安やストレスの主観的な感じ方や心拍数に変化はなかった
つまり、この結果より意図的に筋肉をゆるめることは心理的・生理的に緊張を下げる可能性があることが示されたのです。
「筋肉をゆるめる」ことがストレスに与える影響
上記の同じ実験の中で、調査項目として唾液の摂取も行っています。
なぜ唾液を摂取したのかというと、
唾液から抽出される「コルチゾール」と「免疫グロブリン」という分泌物を調べるため。
まず「コルチゾール」とは何か??
※コルチゾール
副腎皮質から分泌されるホルモンの一つ。
ストレスを受けた時に分泌が増えることから「ストレスホルモン」とも呼ばれている。
過剰なストレスなどでコルチゾールの分泌が増えてくると、うつ病、不眠症などの精神疾患、生活習慣病などのストレス関連疾患が疑われると言える。
このようにコルチゾールはストレスが高まるとその数値が大きくなると言われているので、その数値を比較してストレスの程度を調査したというわけです。
では結果はどうだったのか?
■この唾液コルチゾールの値が実験群において漸進的筋弛緩法をやった結果、実施前よりも値が低下するという結果が示された。
■比較群では変化はなかった。
※引用:春木豊『動きが身体を作る』(講談社,2011年)
筋肉をゆるめたグループ
→筋肉をゆるめた後にコルチゾールの値が下がった
筋肉をゆるめなかったグループ
→コルチゾールの値に変化はなかった
筋肉をゆるめたグループは、ストレスを受けた時に増えるコルチゾールの値が逆に下がったというわけです。
つまり、この結果より意図的に筋肉をゆるめることはストレスの状態を下げる可能性があることが示されたのです。
「筋肉をゆるめる」ことが免疫力に与える影響
そして唾液の抽出によってコルチゾールの他に「免疫グロブリン」という分泌物も同時に調査しています。
では「免疫グロブリン」とは何か?
※免疫グロブリン
血液や体液中にあって抗体としての機能と構造を持つタンパク質の総称。
細菌やウイルスなどの異物が体内に入るとその異物にある抗原と特異的に結合する抗体を作り、異物を排除するように働く。
免疫グロブリンはその名の通り免疫において重要な役割を果たしています。
ではこの免疫グロブリンの数値はどのように変化したのか?
■免疫グロブリンは実験群では漸進的筋弛緩法の後に値が増える結果となった。
■比較群では変化はなかった。
※引用:春木豊『動きが身体を作る』(講談社,2011年)
筋肉をゆるめたグループ
→筋肉をゆるめた後に免疫グロブリンの値が上がった
筋肉をゆるめなかったグループ
→免疫グロブリンの値に変化はなかった
つまり、この結果より意図的に筋肉をゆるめることは免疫力を上げる可能性があることも示されたのです。
筋肉をゆるめるためには?
以上のように筋肉を意図的にゆるめてあげることは、心と身体の緊張状態を緩和するだけでなく、ストレス状態を下げたり免疫活動を高めたりする可能性があることも示されています。
緊張した筋肉をゆるめることは身体面だけでなく、心理面の安定にも良い影響を与えてくれる可能性があるのです。
ぜひ、日頃から漸進的筋弛緩法を実施して筋肉をゆるめる意識を持ってみてはいかがでしょうか?
・・・ゼンシンテキキンシカンホウ????
いまいち難しそうでよく分からない・・・という方はきっと多いはず。
ご安心を!
そんな時は「ストレッチ」しましょう!!
もちろん漸進的筋弛緩法とストレッチは緊張した筋肉をゆるめるということに関しては同じ目的ですが、その方法は少し違います。
ですので、ストレッチをすることで今回事例として取り上げた研究結果と全く同様の結果を示すことは残念ながら確証はないのです。
しかし、厚生労働省が掲載する情報の中でストレッチの効果について以下のようなことが書かれています。
最近ではこれらの効果に加えてリラクゼーションの効果が明らかとなってきました。30分程度にわたり全身の筋を順番に伸ばしていくようなストレッチングの前後で脳波や自律神経活動を調べてみると、前頭葉でのアルファ(α)波を増加させ、心拍変動を増加させ心拍数を低下させること、すなわち自律神経の活動が副交感神経活動を有意に変化させることが明らかとなっています。
引用:ストレッチングの効果 | e-ヘルスネット(厚生労働省)
α波というのは、脳から出る脳波の1種類で、癒しの効果が得られている時に出る脳波だと言われています。
さらに心拍数を低下させる効果もあるということから、ストレッチにも心理的にも生理的にも緊張を下げる効果が期待できることが考えられるのです。
さぁ、そこでどのようなストレッチをすればいいのか。
ちなみに、僕はよくストレッチ系YouTuber「オガトレ」さんの動画を参考にしてストレッチしてる。
ストレッチをやりたい方にはすごくおすすめ!
オガトレさんは僕と同じ理学療法士であり、ストレッチや健康を世に浸透させるため頑張っているお方です。(面識はもちろんない。笑)
2020年4月現在のチャンネル登録者数は何と23万人超え!!!!!
国内最大のストレッチチャンネルを運営する超人気YouTuberなんです。
人気の理由は動画を見てもらえればきっと分かるはず。
丁寧で分かりやすい解説はもちろん、身体の硬さのレベルに応じたストレッチの方法を提供してくれています。
「超硬い人向け」とか「超超硬い人向け」とか「超超超硬い人向け」とか。
そして何より一緒にストレッチしてくれる笑
僕はこの「開脚できるストレッチ」の動画を参考に、美しい開脚を目指して日々ストレッチに励んでいるのです。
肩から足首まで全身の様々なストレッチを紹介しているので、ぜひ一度ご覧になってみて下さい!
・・・僕も「スズトレ」始めてみようかな。笑
緊張した筋肉をゆるめたい方やパーソナルストレッチを受けてみたい方は
ぜひ一度ボディカウンセリングを受けてみてください。
ボディカウンセリングの詳細はこちらの記事をご覧ください
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