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幻想文学

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#幻想小説

ユラギノ勇者

なんてことない日常に飽き飽きしていたら、最近はやりの異世界転生をしてしまった。しかし僕は勇者にはなっていなかった。別にスライムに変態しているわけでもない。どころか、世界には何にもなかった。

「なにこれ?」
思わず声が出る。周囲360度をぐるり見渡しても本当に一切何も存在しない。全方位へ無限に続く真っ白い空間。いや、そこは透明で、白でさえない。色さえも存在しない。だから、白とも黒ともつかないし、光

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星の欠落

「全然気づかなかった。」
女の子は、悄然と呟いて洞窟の地面を見つめた。そこにはボロボロに引き裂かれてしまった影があった。ランタンの灯に照らされてゆらゆら揺れ動いている。
氷の世界、炎の世界、土の世界、空の世界と女の子は無謀な冒険をしてきて、それでもまだ足りずに地下洞窟の世界に乗り込んだところだった。沢山ある世界達の中でも一等危険と言われる所。
無謀な彼女を『怖いものなしのジョバンニ』みたいに巨大な

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ペットと輪転する円環

 「ねえ。ペットがいなくなったら探そうとする?」

 白い曇天の下で石作りのベンチに腰掛けて君に聞いた。少し肌寒い。
 ここは駅前で、一時期は違法駐車された自転車の山で埋め尽くされていたけれど、それだけの人の出入りを感じさせるものは今の私たちの周りにはない。薄汚れた大量の自転車たちは規制が厳しくなってからもう現れないし、ここは駅の栄えていない方の出口の外れで、何より平日の昼下がりだったから。
 

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FFF

腕に桜の舞い散る生首があった。
気持ち悪くなって燃やした。
トイレは汚かった。
吐きたくなって吐いた。

Fuck you
Please give me と書かれていた。
そこには自由があった。
自由があったから死にたくなった。
死にたくなった、という安易な言葉が自分を殺した。

凶器があった。
既に背中に達するくらい突き刺さっていた。
だから凄い勢いで引き抜いた。

綺麗な凶器だった。
切っ尖が

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春雷  (一)

 春が来た。

 雷鳴を轟かせながら降下してくる雷鳥達が月あかりに照らされて白銀の翼をはためかせた。月世界との交易が始まって5年。八ツ代ノ岳(ヤツシロノタケ)は二星間の貿易拠点として陽春の候、精華なる狂乱の様相を呈していた。月世界と交流があるのは2月〜4月の薄桃色をした空気の日に限られており、従って今日のようにうららな夜は次々と、その澄み切った空気を引き裂いて天の雷鳥が舞い降りる。

 ここ八ツ代

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