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自分の考え方のクセを知る(ストレスマネジメント)

最近のストレス対処に関する学び。


ストレス対処の方法のひとつに、「考え方のクセを知る」というものがあるが、

まずその前提として、ストレスが起こる仕組みを知っておく必要がある。

【ストレスの仕組み】
①ストレスの原因となる出来事が発生(ストレッサー)

②その原因に対しての認知(解釈)が起こる

③ストレスの対処や発散(コーピング)をする

④ストレス反応が起こる

ストレス反応は出来事が発生してすぐに起こるのではなく、解釈→ストレス対処→その上で対処しきれなかったものが出てくる。

またこの①〜④の間には、周りの環境(サポートを受けたのかどうか)や自分の考え方の特徴が入ってくる。

①の段階でサポートを求める人もいれば、③の段階で友達に愚痴を吐いて発散したり、自分で抱え込んで何もせず④でストレスが爆発してしまう人もいる。

その中でも自分の中でコントロールしやすいのが②の認知と③のストレス対処。(この2つにフォーカスすることを心理学では認知行動療法という)

そこで今回は、②の認知にフォーカスした内容になっています。


認知とは何か

認知=頭の中で浮かぶ考えやイメージのこと

認知はポジティブなもの、ニュートラルなもの、ネガティブなものに分けられる。(あくまでざっくり)

例)部屋が散らかっている場合
・ポジティブな認知
部屋が散らかっているから片付けよう!掃除用具でも見に行こうかな。

・ニュートラルな認知
部屋が散らかっているなあ。(あくまで感想であって特に何も思わない)

・ネガティブな認知
→部屋がまた散らかってる…掃除できてないし自分は全然ダメだ…

こんな感じで一つの出来事に対しても、人によって様々な認知をしている。

認知によって特定の感情が生まれる

上の例のように、部屋が散らかっていることに対して認知すると人は特定の感情を呼び起こす。

・ポジティブな認知
部屋が散らかっているから片付けよう!掃除用具でも見にいこうかな。
楽しいという感情

・ニュートラルな認知
部屋が散らかっているなあ。
→あくまで感想であって特に何も思わない

・ネガティブな認知
部屋がまた散らかってる…掃除できてないし自分は全然ダメだ…
悲しい、落ち込むという感情

ここで注意が必要なのは、認知と感情は別だということ。

認知はあくまで頭の中で瞬間的に浮かんだ言葉やイメージであり、感情は認知の内容を短いフレーズでまとめたものになる。

認知のパターンを広げることで心が楽になる

ストレスが溜まりやすい人は認知が偏っていることが多い。しかも認知のパターンが少ない。
特に多いのはネガティブな認知によって、ネガティブな感情が生まれやすいことだ。

なので、自分の認知や考え方のクセを把握して、他の認知のパターンを用意しておくことで、ネガティブな感情を軽減できる可能性がある。

自分自身はネガティブな認知が染み付いてしまって『部屋が散らかる=ダメなこと』という認識が強まってしまっている。事実=ネガティブという偏った考え方になっているということだ。

仕事で言えば、『失敗した=自分はダメだ』という考え方に自動的になってしまっている状態である…

心のクセ(偏った認知)の代表例

心のクセは心理学で「認知の歪み」と言われる。
認知の歪みの代表例は10種類。

ただ人間である以上、主観が働くためこれらの思考を完全に無くすことはできない。心のクセがあると知ったうえで折り合いをつけることが大切になる。

※認知の歪みは「ネガティブなもの」のイメージが強いが、過度なポジティブも偏った認知に含まれる。

①白黒思考(全か無か思考)

物事を0か100か、白か黒かと極端に捉えてしまう考え方。

「テストで99点とっても、1問ミスしてるから今回のテストはダメ」
「1つのミスも許されない」

というように、完璧主義な人はこの思考になりやすい。

ただフラットな視点で考えると、1つもミスをしないことは現実的ではない。

②べき思考

「〇〇すべき」「〇〇しなければならない」と義務感が強くなる考え方。

自分を律することができる面もあるが、この考えが強くなると自分や相手を追いつめてしまうことがある。
ルールやマナーを守っていない人を見て過剰にイライラする人はこの傾向が強い。

③自己関連付け

良くないことが起こったときに、自分の言動と関連付けて自分を責めてしまう考え方。

「チームのミスは自分のせいだ」
「自分がもっと頑張っていれば失敗しなかったのに」

というように自分を過度に責めてしまう傾向がある。

ただ本当に「100%自分のせいなのか?」と考えてみると、意外とそうでもないことがほとんど。

相手がミスするかしないか、それはコントロールできないし、他に原因はある。

④心のフィルター

ネガティブな考えばかりで、良い面を意識できなくなる考え方。

「親しい友人とご飯にいったときに、店員さんに伝えていたリクエストを忘れられていた。だからあの日は良くなかった。あの店にはもう二度と行かない」

友人と会えたのは嬉しいことなのに、店員さんの対応だけを切り取って全体的に「良くない日だった」「あの店は良くない」と考えてしまう。

実際には、良いこともあれば悪いこともあるのだが…

⑤マイナス化思考

全ての出来事に対して、自分でマイナスの解釈を加えてストーリー化してしまう考え方。

「今回はたまたま上手くいっただけで、自分の実力は大したことない」
「今回の成果は、前回の失敗の埋め合わせだ」

というように、自分の成果や良かったことの価値を引き下げてしまう。

この考えの根底にあるのは自己肯定感の低さであり、自分で自分をなかなか認められない。

⑥拡大解釈と過小評価

自分の悪い面を大きく捉えて良い面をあまり評価せず、または相手の良い面を大きく捉えて悪い面をあまり気にしない考え方。

「今回のテストは100点とったけど、他にも100点の人が多かったから、自分なんて大したことない。みんなすごい。」

このように自分を下げて相手や周りを上げるクセがある。

これが強まると、自分が失敗するとひどく落ち込むのに、相手がミスしても「そんなことよくあるよ、気にしないで」という思考になってしまう。

⑦過度な一般化

ごくわずかな出来事を取り上げて、他でも同じことが起こると決めつける考え方。

「仕事で取り返しのつかないミスをしてしまった。自分は何もうまくいかない人生なんだ。」
「あの人に裏切られた。だから何も信じられない」

という極端な思考になりがち。

他にも「みんなはそう言ってる(そうしてる)」「絶対これが正しい」と思い込むのも過度な一般化が起こっている状態。

「みんな」はあくまで自分の周りの人の話でしかないし、絶対的に正しいことはない。

⑧深読み、先読み

深読み
→十分な根拠がないのに、自分は相手のことが分かっていると思い込む

例えば上司がたまたま不機嫌で、挨拶しても気づかなかったときに、「自分は嫌われた」と決めつけてしまう。

(実際は自分以外のことでイライラしていたのに、自分のことで不機嫌なんだと思い込んでしまっている)

先読み
→はっきりした根拠がないのに結論を急いで、否定的に考えてしまう

例えば相手の連絡がたまたま遅かっただけなのに、「何か事故とかあったのではないか」と不安になってしまうケース。

実際は忙しかっただけかもしれない。

⑨感情的決め付け

理論的になれず、感情だけで物事を考えてしまう傾向。

「今日は落ち込んでるから外出なんて無理」

というように、感情に引っ張られすぎて行動までも制限されてしまう。

実際は落ち込んでいても外出(行動)はできるはずなのに…

⑩レッテル貼り(ラベリング)

根拠もないのに自分や相手にネガティブなレッテルを貼ってしまう考え方。

「こんなミスをして自分はダメ人間だ」
「あの人は自分に無愛想な態度を取ってきたから、冷たい人間に違いない」

実際はただのミス、たった1回冷たい態度をされただけなのに、行きすぎた思考の結果レッテルを貼ってしまう。

過度な一般化がさらに強くなったもので、違いは短いフレーズでまとめられるものかどうか。

フラットな視点で考える方法

自分の心のクセが過剰になったとき、相手からはどう見えるのか?を考えてみる。

仕事でもプライベートでも、自分の心のクセが過剰になることはある。

そのときにフラットな視点で考えるヒントとして、
「相手からはどう見えているか?」「一緒にいる相手はどう思うか?」を考えてみるといい。

例えば「べき思考」なら、
・考えが偏りすぎてないか?
・頑固すぎないか?
・柔軟に考えてみてもいいのではないか?
・一緒にいたら窮屈じゃないか?

相手からはこのように映っているかもしれない。

もしくは自分が「べき思考」の強すぎる人と関わったとき、自分はどう思うか?どんな声をかけるのか?と考えてみるのも方法の一つ。

感想

ここまでの知識は知っている人もいるかと思うので、自分が思ったことを残しておく(こっちの方が大事)。

他のストレスマネジメントの内容を学んでも共通するのは、選択肢を増やしておくことで自分を守れるということだ。

自分は明らかに考え方の幅が狭いし、種類も少ないし、ストレス対処の方法もあまり分かっていない。

だからこういう認知のパターンを増やしていくのはめちゃくちゃ大切だと思った。

特に今の自分にとって必要なのはフラットな視点、ニュートラルな認知を知ることだと思う。

そして事実と認知を切り離して考えること。今でも仕事や人に対する恐怖があるのは、それらが嫌なものだったり、苦しいもの、自分を傷つけるものという認知が染みついているから。

フラットに考えれば仕事はあくまで仕事でしかない。嫌なこともあれば良いこともある。人間関係も同じ。

ただ自分の今の状況は悪いとかではなく、「こういう考え方もあるよね」という柔軟さが持てるようになると良いなと思います。



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