シューチョ

知ろうとする素人=さすらいのフィロソファー、シューチョです。楽団「トリカード・ムジーカ…

シューチョ

知ろうとする素人=さすらいのフィロソファー、シューチョです。楽団「トリカード・ムジーカ」“始動”者/指揮者。生業は高校数学教育。noteでは主に、広大深遠な音楽/音楽表現の世界、ウルトラセブンほか特撮の鑑賞─研究、読書による玄人の苦労との邂逅、の3つについて書きます。

マガジン

  • トリカード・ムジーカ(楽団「音楽の編み物」)

    「トリカード・ムジーカ」とは、指揮者のシューチョとその仲間の営む音楽合奏の形です。名前 Trikado Muzika はエスペラントで「音楽の編み物」。「音を編む・人と音を編む・人と人を編む」という3つの意味を込めています。人の手が、反復的で制約的なその動作によってかえって大いなる自由を得、毛糸玉一個からあの複雑な編み物を生み出すように、トリカード・ムジーカは、集う人の数と楽器に応じた自在な表現を伴った演奏をモットーとしています。

  • ひとりぼっちの宇宙人 ─『ウルトラセブン』視聴記─

  • ウルトラマン第1話の形態学 《光の授受》の挿話

    平成第2期までの主な不同型ウルトラマン9作品の第1話について考察したものです。

  • 三連連唱歌の調べ

  • 自己紹介的投稿

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トリカード・ムジーカの理念

芸術・音楽の営みとは、それ自体が目的で営まれるという以外の在り方はないといえます。芸術(音楽)活動の貴さ=価値は、それ自体の中にすでに含まれているからです。 例えば「演奏会という大きな目標に向かって」などと気負わなくとも、ただ楽しく音楽を享受できれば、ひとまずそれでいいはずです。演奏会については、「お客さんの前で発表・披露したい」という気持ちが誰にもありましょうし、私にももちろんあります。大あり(笑)。ですが、そのような気持ちが湧いてくるとすれば、それは初めに述べた「音楽芸

    • Pri la nomo “Trikado” トリカード・ムジーカ名前の由来(エスペラント版)

      トリカード・ムジーカ名前の由来 エスペラント版(小西岳 訳) Pri la nomo “Trikado” trad. KONISI Gaku (2016) La manoj laborantaj por trikado — ili produktas komplikajn formojn kaj desegnojn unu post alia senĉese, kun matura vigleco kaj rapideco, ĉiam tenante siajn le

      • (追悼) 山田太一ドラマ 私の十選

        十月下旬に、頭木弘樹さん発見による未発表シナリオ集も出版され、おぉ、久々に山田太一熱が再燃しそう!と思っていた矢先の訃報でした…。謹んで哀悼の意を表したいと思います。   同年代の母が大ファンだったこともあって、私も山田太一脚本のTVドラマは意識してよく見るようになりました。   小説や詩といった文学にはずっと疎かった私にとって、山田太一作品の影響はとても大きかったといえます。ドラマの台詞を、あるいは演出によるト書の表出を、文学的な糧として深く味わって過ごしてきました。  

        • トリカード・ムジーカ Trikado Muzika 名前の由来

          Trikado Muzika 名前の由来 Trikado Muzika=トリカード・ムジーカ。原語はエスペラントで、日本語に訳すと「音楽の編み物」となります。 編み物をする手。それは、熟れた勢いと素早さを伴って、止まることなく自らの流れを保ちつつ、次々と複雑な形や模様を生み出していきます。その行為は、したことのない者からすれば驚異的な創造的伎倆でありながら、同時に、それをする当人にとってみればおそらく何でもない日常的所作に過ぎません。 そのような両義性の中にある「手仕事

        トリカード・ムジーカの理念

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        • トリカード・ムジーカ(楽団「音楽の編み物」)
          3本
        • ひとりぼっちの宇宙人 ─『ウルトラセブン』視聴記─
          28本
        • ウルトラマン第1話の形態学 《光の授受》の挿話
          9本
        • 三連連唱歌の調べ
          21本
        • 自己紹介的投稿
          2本

        記事

          楽団「トリカード・ムジーカ」とは

          「トリカード・ムジーカ」とは 「トリカード・ムジーカ」とは、指揮者のシューチョこと小西収(こにししゅう)とその仲間の営む音楽合奏の形です。名前 Trikado Muzika はエスペラントで「音楽の編み物」。「音を編む・人と音を編む・人と人を編む」という3つの意味を込めています。人の手が、反復的で制約的なその動作によってかえって大いなる自由を得、毛糸玉一個からあの複雑な編み物を生み出すように、トリカード・ムジーカは、集う人の数と楽器に応じた自在な表現を伴った演奏をモットーと

          楽団「トリカード・ムジーカ」とは

          ハカイダーの悲劇

          『人造人間キカイダー』『シン・仮面ライダー』についてのネタバレを含みます。ご了承下さい。 まえがき「『シン・仮面ライダー』─「オマージュのコラージュ」の愉しみ─」で、ハチオーグの最期のシーンはハカイダーの最期のシーンのオマージュであると書きました。そこで、オマージュ対象であるハカイダーについてもこの機会に投稿しておこうと思います。本稿は、30代の時に書き上げ、その数年後に旧拙ブログで発表した文章が元になっています。その全体を“ですます調”に変更した上、かなり手を入れた一方で

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          『シン・仮面ライダー』─「オマージュのコラージュ」の愉しみ─

          ──本拙稿のほぼすべては、3月末の1回の視聴後に4月中旬頃までに書き上げていたものです。ネタバレありの記事である点、ご了承下さい。── シン・特撮シリーズ?3作品の初回視聴時の私の印象を比較すると 『シン・ゴジラ』48点 『シン・ウルトラマン』90点 『シン・仮面ライダー』75点 という感じでしょうか。『シン・仮面ライダー』では、ウルトラマンとの根本的な違いである“等身大性”が物語展開に色濃く表れていたという印象を持ちました。ですが、それに関して綴るのはやはり1回の視聴

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          ひとりぼっちの宇宙人─ウルトラセブン視聴記─ 「狙われた街」と現代

          ひとりぼっちの宇宙人 ─シューチョの『ウルトラセブン』視聴記─ 第8話「狙われた街」[B]「狙われた街」といえば、メトロン星人とダンのちゃぶ台対面やラストのナレーションが有名ですね。しかし──前者場面を彷彿とさせる?ような表紙写真を貼っておいて言うのも何ですが(頭掻)──本話の真骨頂はそこではなかろうと考えます。 狙われた街での、モノローグおよび同じ宇宙人からの警告 北川町の住民が次々と事件を起こします。乗客に襲いかかるタクシー運転手、自分で旅客機を墜落させてしまうパイロ

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          ひとりぼっちの宇宙人─『ウルトラセブン』視聴記─零下140度の対決(3) “最強”のポール星人

          ひとりぼっちの宇宙人 ─シューチョの『ウルトラセブン』視聴記─ 第25話「零下140度の対決」[A] (3) 《光らぬ光》の挿話 “最強”のポール星人この(3)では、本話「零下140度の対決」における活性フィクションの担い手として欠かせないポール星人について補足しておきたいと思います。 メトロン星人、ポール星人、ペロリンガ星人を私は《嗤うインベーダー》と呼んでいます。ロボット長官も含めていいかもしれません。彼らは皆、余裕を持って人類を見下ろす存在です。が、メトロン、ペロリン

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          ひとりぼっちの宇宙人─ウルトラセブン視聴記─ 宇宙囚人303《脱出の0.1分》

          ひとりぼっちの宇宙人 ─シューチョの『ウルトラセブン』視聴記─ 第7話「宇宙囚人303」[A]《脱出の0.1分》 ウルトラセブン登場時間最短記録の挿話 『ウルトラセブン』第1クール12話のうちの約半分は、格闘シーンがほぼありません。セブンに比べ敵対相手が弱い。驚きの弱さ(笑)。あっけなく片が付くのです。クール星人はアイスラッガー一発、チブル星人はエメリュウム光線の一撃でいずれも離れたまま倒され、メトロン星人との闘いはストップモーションの数カットで処理されます。また、ペガッサ

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          『シン・ウルトラマン』─オマージュの宝箱

          ──いわゆる「ネタバレあり」の記事である点、予めご承知おき下さい。── 『シン・ウルトラマン』─オマージュの宝箱─『シン・ウルトラマン』は、「オマージュの宝箱(あるいはその愛すべきおもちゃ箱)」でしたね。微細な点についてもいくつも思い当たりましたが、それでも映画館での視聴だけではまだまだ気づけていないものもあると思いますから、ここでは比較的大口の所を挙げることにします。 まずは「ウルトラマンの正義」の捉え方についてです。次の(1)、(2)の2点にそれが表れます。 (1)

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          ひとりぼっちの宇宙人─ウルトラセブン視聴記─ コラム(2) 声の一致/不一致

          ひとりぼっちの宇宙人 ─ウルトラセブン視聴記─ コラム(2) 声の一致/不一致 「闇に光る目」で書いた「声の一致」について、リアルタイム視聴時から子ども心に納得できなかった「不一致」の方の例がすぐに2つ浮かびます。 一つは『人造人間キカイダー』のハカイダー。飯塚昭三氏の低く凄みのある声は、ハカイダーに実に似つかわしいと思います。が、問題は、ハカイダーにはサブローという変身前(後?)のキャラクターがいるのに、ハカイダーの声とサブローの声とがまるで異なるということです。サブロ

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          ひとりぼっちの宇宙人─ウルトラセブン視聴記─ 勇気ある戦い

          ひとりぼっちの宇宙人 2021─2022版 ─シューチョの『ウルトラセブン』視聴記─ 第38話「勇気ある戦い」[B]本話は、『ウルトラセブン』全編中最も異色の挿話といってよいでしょう。そのストーリー展開は、お世辞にもうまく行っているとは言えないように思います…。が、「全編中最も異色」というのは、ストーリーがほころんでいることを指して(だけ)いうのではなく、マイナスの意味で最も“『ウルトラセブン』らしくない挿話”という意味を込めています。ともかく本話では、《ダンのダン性》《ダン

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          ひとりぼっちの宇宙人─ウルトラセブン視聴記─ コラム(1) 実相寺挿話について

          ひとりぼっちの宇宙人 ─ウルトラセブン視聴記─ コラム(1)実相寺昭雄監督4挿話について 実相寺昭雄監督による『ウルトラセブン』の挿話は 「狙われた街」 「遊星より愛をこめて」 「第四惑星の悪夢」 「円盤が来た」の4本です。 観る者に独特の印象を残す実相寺の才気あふれる映像手法(→注1)は『ウルトラセブン』でも冴え渡り、どれも出色の出来映えです。こうした、監督の強い個性の押し出しによるエッジ─アクセントの効いた実相寺挿話が存在するおかげで、『ウルトラセブン』の作品世界がよ

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          ひとりぼっちの宇宙人─ウルトラセブン視聴記─ 第四惑星の悪夢

          ひとりぼっちの宇宙人 2021ライト版 ─シューチョの『ウルトラセブン』視聴記─ 第43話「第四惑星の悪夢」[E]コラムで触れた実相寺挿話4作のうち、『ウルトラセブン』の作品世界全体との関連で最も重要な挿話が本話「第四惑星の悪夢」であろうと思います。といっても、本話には《ダン=セブンの二重性》は表出されていません。本話は、『セブン』のもう一つの重要な側面である「短編SF」の挿話群([E類])における代表なのです。 ──地球のパラレルワールドとしての第四惑星。そこはロボットが

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          《光の授受》の挿話─ナゴール的な、もしくは非ナゴール的な─ウルトラマン第一話の形態学[6](完)

          《光の授受》の挿話 ─ナゴール的な、もしくは非ナゴール的な─ ウルトラマン第一話の形態学[6](完) 本稿の最後に、『ウルトラマンコスモス』第1話「光との再会」の春野ムサシについて見ていく。 真の勇者の勇気 光のウイルス(カオスヘッダー)に犯されたリドリアスをムサシは追い、輝石を振る音によってなだめて誘導、元のおとなしい怪獣に戻そうとする。素手ではないが、乗るのは戦闘機ではない。つまり「非武装」という点では第2期の3人(郷、北斗、東)に近いといえる。が、ムサシには初めか

          《光の授受》の挿話─ナゴール的な、もしくは非ナゴール的な─ウルトラマン第一話の形態学[6](完)