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「読書感想文」

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図書館で、あるいは本屋さんで出会った本たちとの時間をエッセイ風に。ジャンルはさまざま、その時の興味や関心に、素直に手に取り、呼応する自分の声を綴ります。
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#国語がすき

「読書感想文」お探し物は図書室まで

青山美智子さんの小説です。 田舎から東京へ出てきて、三十社くらい落ちまくった挙句に、やっ…

藤本 柊
1年前
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「読書感想文」虎のたましい人魚の涙

くどう れいん さんのエッセイ集です。 会社員として「働く女」をしながら、執筆をしていた「…

藤本 柊
1年前
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「読書感想文」 大正浪漫

YOASOBI『大正浪漫』原作小説。 NATSUMI 著。 百年前の千代子と、現代の時翔との不思議な文通…

藤本 柊
1年前
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ひとりでカラカサさしてゆく 「読書感想文」

大晦日の夜のこと。 宮下佐知子 八十二歳、 篠田完爾 八十六歳、重森勉 八十歳 の三人がホテル…

藤本 柊
1年前
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読まされ図書室 「読書感想文」

読まされ…? なるほど、推薦者から投げかけられた本というボールを受けとめて、返球する小林…

藤本 柊
1年前
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ゆりかごに聞く「読書感想文」

まさきとしか さんの作品です。 母親になること、をすんなり受け入れられるかどうか。妊娠が…

藤本 柊
1年前
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ルーブルの猫 上下 「読書感想文」

松本大洋 さんによる漫画です。 とある雑貨屋さんの本コーナーで、ふと目に止まって。 何、このシュールな絵。 その昔、ハードカバーの漫画の吉田戦車さんの「伝染るんです。」を彷彿とさせるタッチの。思わず、買ってしまった。 ルーブル美術館だし、猫だし。 私は、侮っていました。 どこかそう…雑貨屋さんだったし、漫画だし、みたいな気軽さで手に取ったのは確かで。 でも。 ただ。 手に取って、よかった。のです。 原田マハさんの小説も好きで、ゴッホや印象派の絵画や、美術館も

「読書感想文」暇と退屈の倫理学 國分功一郎

私の姪っ子は、大学生になり、バイトと学校と自動車学校とに通いながら、実家暮らしをして…

藤本 柊
1年前
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「読書感想文」盲目的な恋と友情

辻村深月さんの作品です。 読み終えて、 「怖っ」 と一言。 読んでいる間にも、何度か思った…

藤本 柊
1年前
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「読書感想文」葉桜の季節に君を想うということ

歌野晶午さんの作品です。 帯の文言に惹かれ、またタイトルと装丁から、サラサラとした優しい…

藤本 柊
1年前
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「読書感想文」フィンガーボウルの話のつづき

吉田篤弘さんのデビュー作、18年ぶりのリマスター版です。 本書ではじめに物語を書きあぐねて…

藤本 柊
1年前
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「読書感想文」グロースターの仕立て屋

ビアトリクス・ポター さく・え いしいももこ やく ピーターラビット シリーズの15巻です。 …

藤本 柊
1年前
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「読書感想文」物語のなかとそと

江國香織さんの散文集です。 物語を読んでいる間、私の身体はそこにあるのに、私は物語の中に…

藤本 柊
1年前
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「読書感想文」約束の猫

村山早紀さん+げみ さんの作品です。 猫にまつわる、心にじんとくる4編のお話。 子供向けの作品として描かれたもの。 村山早紀さんの作品は、「百貨の魔法」と「桜風堂ものがたり」を読んだことがあります。そのお話の中でも、猫は鍵となる存在でした。彼女にとって、そのくらい、猫はなくてはならない存在なのでしょう。 彼女の描く猫は、決して雄弁ではありません。膝に擦り寄り、見上げ、見つめ、寄り添っています。ふわふわと、やわらかであたたかな猫たち。 私も猫と暮らすようになって5年になり