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「読書感想文」お探し物は図書室まで


青山美智子さんの小説です。

悩める人々が立ち寄った小さな図書室。
無愛想だけれど聞き上手な司書さんが
思いもよらない選書と可愛い付録で
人生を後押しします。

本書 帯より

田舎から東京へ出てきて、三十社くらい落ちまくった挙句に、やっと内定をもらった総合スーパー。婦人服販売員として働く朋香(21)は、今の仕事に疑問をもっていた。

「何をお探し?」

図書室の奥にある「レファレンス」。そこにいたのは、ものすごく大きな女性だった。

家具メーカーに勤めながらも、夢を抱えている諒(35)、出産をし、子育てと仕事に悩む夏美(41)など、「レファレンス」を訪れるそれぞれの人生に、独特な選書。

その本から、彼らなりの「解釈」で、歩き出していく。

「解釈」

1つの言葉の、あるいは文章の、物語の「解釈」は、人それぞれである。そして、その「解釈」には、その人らしさが大きく関わっている。また、同じ人でも、その時どきに、その時の立ち位置にも大きく関わる。

子どもの頃に読んだ本を、大人になってから読むと、またべつの印象になることがある。実はこんなに深い話だったのか、と「解釈」することもある。

きっと、悩みや戸惑いや不安で、立ち止まっったり、減速したりする間も私たちは、その先のヒントを、言葉を、文章を、探している。

「何をお探し?」

探し物のヒントは、そこここにあるのだ。私たちはそれを、私たちなりに「解釈」をして、それを手がかりとして、歩いていく。

素敵な「レファレンス」。


青山美智子さんの本は、『赤と青とエスキース』を読んだことがある。赤色も、青色も、絵を描くことも好きな私は、読み進めるのがもったいないくらい大切に読んだ。
それぞれの章の登場人物が、ほんのり繋がっていて、読んでいくうちに「あ、この人、さっきの」と知り合いに会ったみたいな気がして嬉しくなった。

本書にもそんな嬉しい繋がりがあって、ほっこりする。

そして、私の次女の将来の夢は、図書館司書。だからか、「森永のぞみ」ちゃんのことを、どこか親く感じてしまって、心が暖かくなった。

私が本書を手に取ったタイミング。
新しいことが始まり、どこかソワソワ、気を張っていた。いろんな人の、いろんな悩みを読んでいて、けれどそのヒントは、身の回りにあることだったりして。焦らずに歩いていけばいい、肩の力を抜いて、そう言われている気がした。

私の「お探し物」はここにあった。

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