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「読書感想文」 大正浪漫

YOASOBI『大正浪漫』原作小説。
NATSUMI 著。

「心の奥でずっと求めていた言葉を、サツキちゃんがくれたの」

エピローグ より

百年前の千代子と、現代の時翔との不思議な文通。大正時代の女性からみた現代は、さぞ自由で便利だろう。毎日の洗濯がボタン一つでできるようになる日など、夢のよう だろう。この百年で、いろいろな機械ができ、女性の家事の負担は大きく減った。

そして、男女の認識もずいぶんと変わっている。女性が外で普通に働くようになり、「女のくせに力が強い」などとからかわれることはなくなった。

『千代子ちゃんはそのままの千代子ちゃんでいてほしい』。その一文に、胸の奥がきゅっと狭くなるのを感じた。

第二章 千代子 より

男の人に好かれようと無理に振る舞うよりも、そのままでいいと受けとめてくれる相手。物知りで尊敬できる相手。

千代子の思いは、時を翔ける。
あの大きなしだれ桜の下で。

現代のSNSでのつながりと、百年越しの文通。「文」によって、「言葉」によって、救われることがある。大切な繋がりが生まれることがある。

サツキと美月のように、私にもSNSを通して、「言葉」や「文」で繋がる大切な人がいる。

「柊さんの言葉は綺麗だから」

その彼女の「言葉」にいつも救われている。
彼女とは一度、すれ違い、SNSが途切れてしまった。けれど、ずっと彼女の「言葉」が忘れられず、いつかまた繋がれたら、と彼女が私に気が付いてくれるよう目印を掲げていた。
そうして2年近くが過ぎたころ、

「この言葉の流れ、…柊さん、ですか?」

と、彼女は見つけてくれたのだった。

千代子と時翔、サツキと美月のように、「文」や「言葉」によって、
大切な繋がりが
生まれることがある。

せっかく同じ時代に生きているのだから、
いつか 会いたい。


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