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産後うつママの支え。ある小児科医の話

こんにちは。豆岡ショカです。

私は5年前に出産し、その後産後うつになりました。睡眠不足や食欲不振、背中や肩の激痛、抑えきれない不安感、意味もなく流れる涙、消えていなくなりたい衝動。我が子なのに可愛いと思えない、触れない、怖い、子どもが泣いている幻聴が聞こえたり、産後うつの教科書に載っている症状はすべて網羅したようなそんな日々。

今日はそんな時に出会った小児科のA先生のお話です。

小児科は子どもにとって必要不可欠

子どもの成長に小児科医は欠かせません。熱がでたり、吐いたり、湿疹ができたり、ちょっとしたことでも親は心配なので小児科に連れて行こうと思います。また、子どもは産まれたら決められた予防接種を受けなければいいけません。そのためにも小児科は必要不可欠です。

私と夫はお互い地元をでて働いていた土地で出会い結婚しました。当然のことながら子どもができるまで小児科を意識して暮らしたことはないですし、地元ではないので予備知識がありません。小児科に関しては元気だった妊婦時代に事前に調べて、子どもが産まれたらあそことあそこに行こうと目星は付けていました。A先生の小児科もそのひとつです。

ひとりでは小児科に連れて行けない……

私は産後うつになってしまい、とてもじゃないですが、私ひとりで子どもを小児科に連れていける状態ではありませんでした。人と話すこともままならず、夫の側にいることしかできません。そんな状態でも、事前に調べた病院に連れていきたいという気持ちはあり、初めて夫婦で小児科を訪れることになります。他のママはひとりで連れてきてるのに、自分だけ夫が一緒……それもすごく落ち込みました……

そこで出会った先生がA先生です。

先生から聞かれる質問に答えられない母親

小児科に行くと、子どもの体重と身長を聞かれることが多いです。また、体調が悪ければ、前日飲んだミルクの量やどう過ごしていたのか聞かれます。私はこれらに質問に答えることはできませんでした。なぜなら育児をしていないからです。当時は1日のほとんどを子どもと別の部屋で過ごしていたので、子どもの体重や身長なんてわからないし、どれくらいミルクを飲んだか、どのように過ごしたのかわかりませんでした。

ダメな母親のレッテルを貼られたような気分

後にA先生の病院が休診日に他の小児科に行くことになりました。夫婦で一緒に診察室に入っても、体重や身長などの質問を先生はすべて母親の私に聞いてきます。私が答えられないと「あなた母親なんでしょ?」と先生に言われてしまいました。母親なのに子どもの様子がわからない。それが異常なのはわかってはいるけど、それを小児科の先生に言われたことが凄くショックで仕方なかったです。その後の息子の症状の説明もすべて私にされてしまい、当時は理解力も判断力も衰えていたので、言われるたびにパニックになっていました。察した夫が「私が聞きます」と言っても先生は私に説明するのをやめません。私はダメな母親のレッテルを貼られたような気分になり、ただでさえも落ち込んでいた気分がさらに落ち込んでしまいます。被害妄想かもしれませんが、その小児科には二度と行きたくないと思ってしまいました。

しかも、これは1つの病院の話ではなく、他の病院でも似たようなことが何回かありました。まだまだ「母親が育児をするもの」という考えが根深いのだと心底思いました。

神対応のA先生

話をもどしてA先生の診察です。診察室は夫婦ではいりました。先生はまず身長や体重を私達二人に聞いてくれました。私がわからないので、夫が答えます。そうすると、次は息子の診察する時にA先生は「お父さん抱っこしてください」と言いました。私ができないのを察してくれたのか、なぜそう言われたのかわかりませんが、その後も私に気遣いながらも、夫にいろんな説明をしてくれました。症状についてもとてもわかりやすく図を描きながら「この症状がでたら、様子見。この症状がでたらもう1度受診して、この症状は一番可能性が高いけど、こっちの症状もあるから」と説明をしてくれました。横で聞いていて理解力が衰えていた私でも理解できる内容でした。

その後もA先生の小児科に何度も行き、予防接種のスケジュールもさくさく決めてくれ、すごく助かりました。普段の診察も2年ほどは夫婦で行きましたが、先生は私にだけ説明することはなく、先生からダメな母親だと思われていると感じることはありません。自分から聞きたいことも聞けるようになりました。

私が産後うつから脱して息子を小児科へひとりで連れていけると自信を持てたのもA先生だったからだと思います。後に夫から最初にひとりで小児科に連れていくと私が言った時すごく驚いた。そこまでできるようになったんだ。嬉しかった!と言われました。夫にとってもA先生の存在は大きかったと思います。

他にもある産後うつママが安心できるところ

A先生の小児科は他にも良いところがありました。

WEB予約の導入
いち早く診察のWEB予約を導入しており、待合室で他の患者さんとの接触をなるべくないようになっていました。他の患者さんからの感染症が心配で子どもを小児科に連れて行けないと思っているママでも、これだったら安心して小児科に行けます。A先生の小児科に行って病気をもらってきたことは一度もありません。当時はWEB予約できる小児科が珍しく、わざわざ電話をしたり、待合室で長時間待ったりすることが当たり前。産後うつで体調が悪く、電話をするのは難しく、大勢の人がいると周りの目が気になって緊張して落ち着かない症状がありました。私にとっても人と接触することが少ないWEB予約はとても助かっています。

予防接種枠の設定
土曜日の3時〜4時が予防接種と乳児検診の専用の時間でした。これもWEB予約同様、予防接種や検診をするだけなのに、既に病気になっている子から病気をもらわないか心配する必要がなく安心して小児科に連れて行けました。また、土曜日なので夫も一緒に予防接種に行くことができたので、それも助かりました。産後うつの私ひとりで小児科に行くのは難しかったです。

LINEでの情報発信
先生はかなり前からメーリングリストで「今は〇〇という病気が流行ってます」「鼻や喉の風邪が流行りかけてます」「〇〇小でインフルエンザが発生しました」「〇〇という予防接種の薬が製薬会社でストップし全国的に接種できなくなりました。対応はおってご連絡します」など、自分が診察で思ったこと、感じたこと、今の状況などを発信されていました。現在は@LINEを利用され、お友達登録した人向けに同じような発信をしています。

コロナ禍で区がやっている乳児検診が中止や延期されている間も「うちの小児科でみるので、もし該当のお母さんがいたら教えてあげてださい」「コロナの情報は現場にまできていません」「今年はインフルエンザはひとりも診ていません」など最新情報を発信してくださっています。

うちの子どもは5歳になり、おかげさまで小児科に行く回数が乳児期と比べて減りました。体が丈夫になって成長している証です。ただ、小児科に行かないと、いろんな情報から遠ざかります。全国的なことであればネットやSNSを利用すればいいですが、地域の情報や先生と直接お話しなければ得られない情報は、小児科に行かなければ知ることが難しいです。

なので、先生がLINEで発信してくれることは、生活していく上で安心材料になります。「今はこういう病気が流行ってるんだ」「コロナ禍でみんな消毒やマスクをしてるからインフルエンザは流行らないんだ」直接小児科に行かなくても先生の発信を見るだけでお守りのように思っています。

産後うつのママにとってもこの取り組みは非常に大切です。地域の情報は自分で情報を得ようとすると体力も使うし、産後うつママは人と会うのが困難なので、知りたくても知るのが難しいです。先生のようにプロが発信する情報を閲覧するだけで、そこに行かなくても情報を得ることができ安心できます。この取り組みがもっと広がると助かるママはたくさんいると思います。

信頼できる医師は「思い込みがない」「新しいことにチャレンジ」「発信できる医師」

私は今まで医師というものははどこか遠い存在で、怖いし、聞かないと教えてくれないし、その教え方もぶっきらぼうで、聞いていいかもわからないし、身近に感じたことがありませんでした。ただ、A先生に出会い「こんな先生もいるんだな」と思い、今までの医師のイメージから180度変わりました。特に産後うつだったので、安心できる、話しやすい医師は私にとって必須。でも、先生は特に産後うつだから特別視していたわけではないと思います。「子どものことは母親だけが理解している」「夫婦できていても母親だけに説明すればよい」そういった固定概念がない医師なんだと思います。

「WEB予約」や「LINEの発信」など医師患者双方に便利なことに積極的に取り組む姿勢も信頼度が増しました。A先生は地域医療にも力をいれ、自分の病院だけではなく、地域全体のことを考えてくれているのがLINEの発信でもすごく伝わります。そういうところも信頼できる要素のひとつです。他の医師が同じように取り組んでいたとしても、それを知る術がなければ知りようがありません。これからは自ら発信する医師が必要な時代になっていくんだと思います。

世の中のママ、特に産後うつママが安心できる医師に出会えることを願って。豆岡ショカでした。

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