Good Vibrations
「Good Vibrations」The Beach Boysの名盤と言われる「Pet Sounds」からシングルカットされた彼らのヒット曲の一つです。Beach Boysを聴き始めたのは、僕が人生で一番影響を受けた作品たちを世に送り出している作家の村上春樹さんの小説に出てきたことが聴くきっかけとなりました....。
このままBeach Boysで書けてしまいそうなのですが、今回はその話ではなく、2013年に英国で公開された映画「Good Vibrations」についてです。
この映画を見たのは昨年のことになります。4年前に日本でも全国各地の単館系シアターで上映されたのではないかと思います。僕はAmazon Primeで配信が始まり、やっとそこで目にしたのです。
長く音楽活動を続けてきているので、惰性でやってもカタチにはなってしまうくらいキャリアは積んでいる年齢にはなっています。しかし、これからも続けていくこと、ここ数年はどのように関わっていくかということがだんだんと朧げになってきていました。
この映画は1970年代、北アイルランド紛争に揺れるベルファストを舞台に60年代からDJ活動をしていたテリー・フーリーの物語です。渦中の北アイルランドでレコード店「Good Vibrations」を開店し、そしてレコードレーベルとしても活動をスタートしていきます。
この映画はアイルランドにも波及していたPunkムーブメント、そして70's Punkの名曲Undertonesの「Teenage Kicks」の誕生秘話でもあるのです。
テリーは登場するパンクスよりはかなり歳上なんですよね。The Shangri-Las が大好きな音楽マニアのおっさん。レコード屋を開店し、店に集まってくるパンクスに共感してレコードリリースをしていくのです。
映画の冒頭の方でテリーがDJでかけていたものはNiney the Observerの「Blood and Fire」でした。アーリーレゲエの名曲です。劇中に散りばめられていた曲はHopeton Lewis「Sounds And Pressure」、The Animals「Outcast」、Johnny Guitar Watson「Gangster Of Love」、Small Faces「Tin Soldier」The Upsetters「Freedom Train」、David Bowie「Star」、僕は50's、60's、70'sをかけるDJでありながらRocksteady、Early ReggaeのSelectorです。そんな自分と重なりました。
心を鷲掴みにされるシーンがたくさんありました。John Peelがラジオで「Teenage Kicks」を2度連続でかけるシーン、テリーが最後にSonny Bonoの「Laugh At Me」を歌うシーン、恥ずかしながら観ていて何度も号泣です...。
ある日、ある人からDMが来ました。この映画のURLと「感動しました。リスペクト!」のメッセージ。それは一緒にレゲエのイベントをやっているセレクター仲間でした。勧めていないのに、彼のアンテナに引っかかっていて送ってきたのでした。ちょっと嬉しかったですね。
この映画は2023年現在の僕が何かを企画したり物事に関わっていくことの指標となったのです。損得勘定や後先を考えなくなったかな。
笑われたっていい。僕はテリー・フーリーみたいに生きたい。
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