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「族」物語 #1

 「音楽ジャンル」と「族」、今の音楽に深く関わっている若い人たちには必要のない概念かもしれません。僕自身は「音楽ジャンル」というものにあまり捉われてはいませんが、「族」概念を重要視して音楽活動を続けている人間であることを前置きしてこの話を進めていきたいと思います。

 音楽における「族」とはどんなものがあるのでしょうか。若者の文化として第2次世界大戦後に名前を馳せたものにはBeatnik、Teddy Boy(Teds)、Rockers、Moderns(Mods)、Hippie、Skinheads、Northern Soul、Glam、Punk、New Romantic、Hardcore Punk、Oi!、Garage Punk、Hip Hop、その他にはジャマイカのSound systemや英国のRaverなども「族」と言っても良いかもしれません。

 一見すると「音楽ジャンル」でも名称が挙がってくるものもありますが、これはあくまで音楽が密接に関わった「族」なのです。この概念が現在は昔よりは薄れたと思います。

 僕が深く音楽シーンに関わるようになったのは1990年代ですが、当時はインターネット黎明期でサイトもそれほど多くはありませんでした。

 当時は情報を得る方法は雑誌等の書籍、テレビ、ラジオ等がメインの時代です。でもそれらの情報はどうしても限界があります。利益に繋がらない情報はほとんど配信されないのです。

 そうなるとレコード屋や書店に足を運んで情報収拾する。古着屋やセレクトショップもその役割を担っていたと思います。そしてクラブ、ライブハウスに出入りして直接、人から情報を得るといったことが必要でした。

 当時は東京でも「族」がすでに成熟しており、それぞれがアンダーグラウンドシーンで看板を掲げて週末の夜を彩っていました。僕も足を運び、同じ音楽を好む人たちが集まる場所を探しました。



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