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音楽を哲学的に考えたい人へ向けたリーディングリスト

こんにちは。

昨日、以前書いたこの記事をTwitterで再度シェアしたところ、様々な人から読まれたようでとても嬉しく思います。フォロワーも昨日だけで10人以上増えました。ありがたい限りです。

やはり、何かを学びたいという人は多くいるんだな、と実感しました。そして、それと同時に、何か学びのとっかかりになるものもやはり必要。特に今は情報で溢れてますから、すぐに情報は入手できる代わりに、その情報の質まで調べようと思ったらかなり大変なわけです。

ということで、今回は、僕がこれまで読んできた本の中から、音楽を哲学的に考えたい人におすすめの文献を紹介します。

木村敏 「あいだ」

精神分裂病(今でいう統合失調症)患者の診療を通して、自己とは何か、ということについて考えられた論考。木村敏の著書は数多く出版されていますが、音楽学者の多くが自らの論文の参考文献などに引き合いに出すことが多いのがこの「あいだ」。

木村は、この論考の中で、合奏体験についてかなり詳しい哲学的考察を行っています。音楽とは何か、いや、音楽という行為はどのようなものなのか。そんな疑問を少しでももたれた方にオススメの1冊です。

ただ、哲学的な本にこれまであまり触れていない人からすると、文章が難解で読み進めるのが難しいかもしれません。木村敏の論考のエッセンスをもう少しライトに知りたい、という方には、こちらの新書をオススメしておきます。文庫本の分厚い本よりかは読みやすいはず。こちらを読んで、興味を持たれた方は、その他の著書を読んでみるといいかもしれません。

すぐに読める引用論文もあります。コンパクトに木村敏の思想がまとめられているので、まずこちらを読んでみるのもオススメ。

佐藤公治 「音を創る、音を聴くー音楽の協同的生成」

音楽をする、演奏をするということはどのようなことなのか、ということについてもう少し実際の現場の分析を通して知りたい、という方にオススメなのが、こちら。

アマチュア・オーケストラの練習の観察と分析を通して、音楽を作っていく過程でどのようなことが生じているのか、演奏者と演奏者の「あいだ」ではどのようなことが行われているのか、といったことを考察していく。先ほどの木村敏の思想からも影響を受けている部分もあり、併読するのもオススメです。

S.K.ランガー 「シンボルの哲学」

最近、新訳が岩波文庫から出版されました。S.K.ランガーの「シンボルの哲学」。以前、僕も少しだけまとめた記事があります。

音楽についても書かれている章があります。音楽と感情の関連について調べたい人には、古典ともいえる本になるので読んでみるといいと思います。その続編としては、感情の形式という本があります。しかし、今では絶版になっているので古本で探すしかない…。これも新訳して欲しいですね。

E.ハンスリック 「音楽美論」

音楽美学の古典中の古典ともいえる、ハンスリックの「音楽美論」。

音楽は鳴り響きつつ流動する形式である」というフレーズはあまりにも有名。音楽は感情を表すのが目的という立場に真っ向から反論していくハンスリックの鋭い論考は読んでいてハッとさせられる部分が今でも多い。

もう絶版になってますので、古本しかないですね。新訳とか出ないのかな…。

山田陽一 「音楽する身体」

音楽における身体性について興味がある人には、こちらを。

様々なトピックから音楽における身体性について論じられていて、非常に参考になります。

ですがもう絶版になってるみたいですね…中古の値段が高い。

山田陽一さんはこのほかにもたくさんの著書があります。

この辺は僕もまだ読めていないのですが、かなり興味がある2冊です。

最近、身体性についての議論ってさらに盛んになっているように思います。もう身体性は古い、などという人もちらほら見られますが…テクノロジーが進んでいくと、どうしても身体性が希薄になってくるもの。一度見直すのにいい機会になると思います。

佐々木健一 「美学への招待」

ここからは、音楽美学について。その前に、美学の入門書としてはこちらをお勧めします。デュシャンの「泉」などの現代アートの紹介などから、わかりやすく美学について概説している入門書です。音楽以外でも、美学や芸術学に興味のある方は手に取ってみるといいかと思います。

増補版が出ているんですね。買いなおそうかな…。

R.ステッカー 「分析美学入門」

美学には、分析美学という学問があります。

僕もまだ勉強中ですので、もし興味のある方はこちらを参考にされるといいかと。

分析美学者の森さんが非常に詳しくリーディングリストを作成してくださっています。これは本当にありがたい…。

美学への招待などで、美学に興味が生まれた人にお勧めします。かなり分厚い本なのですが、主要なトピックが網羅されているので、気になる部分をつまみ読みすることもできます。音楽についても書かれている部分があり、非常に参考になります。

源河亨 「悲しい曲はなぜ悲しいのか」

僕も以前読書ノートでまとめたことのある本です。音楽と感情について興味がある人にはかなりオススメの一冊。僕のまとめを読んで興味が出た方はぜひ手に取ってみてください。最近は書店でもよく見かけます。

音楽の哲学入門

これも、こちらで紹介していましたが、相変わらずオススメです。

音楽とその背景にある文化についての論考が個人的にはとても腑に落ちました。クラシックだけでなく、ロック、ジャズ、ポップスもからめて論考されているので、どんなジャンルで音楽を行っている人でも読める1冊になっているかと思います。

ということで、音楽を哲学的に考えたい人に向けた紹介でした。僕もまだまだ読みたいけど読めてない本がたくさんあり、この記事を書きながら読書欲が湧いてきた…。今年は読書量を増やすと決めているので、また読み終わった本をまとめた記事を書こうと思います。それでは。






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