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最大の運動パフォーマンスを発揮できる理想的な血糖値の範囲”ハイパフォーマンスエリア”

これまでの記事では、血糖値について食事による上がり下がりについて紹介してきました。

しかし、アスリートは、食べる以外に「緊張/興奮/イライラ/怒り」といった気持ちや感情で血糖値が変化することを知っていてほしいと思います。

脳がストレスを受けると、自律神経のうち、緊張や興奮などによって支配される交感神経が興奮し、ストレスホルモンが分泌されます。
ストレスホルモンは、肝臓中のグリコーゲンの分解を促進するため、グリコーゲンの分解生成物であるブドウ糖(グルコース)が血中に流れ込み、それによって血糖値が上がるという仕組みがあります。

ストレスホルモンには、慢性的なストレスで分泌されるコルチゾール、グルカゴンというのがありますが、アスリートにとって身近に感じるのがアドレナリンです。

アドレナリンは、その他のストレスホルモンと異なり、緊張や興奮で急性的に分泌されるため、血糖値が急激に上がるというのが特徴です。
よって、スポーツシーンで血糖値が急上昇する場合、その多くが、交感神経の興奮で働くアドレナリンによるものが主たる原因と考えられます。


例えて説明すると、森でくまに会ったとします。
その時動物は、「逃げる」か「闘う」かの選択を迫られます。
その際、脳は、生存本能と闘争本能のどちらかが働き、逃げるため、闘うため、潜在能力を最大限発揮しようとします。
その時にアドレナリンが分泌されます。
アドレナリンは「fight or flight」ホルモンと言われ、文字通り、極限状態のときの選択を迫られたときに出るホルモンです。
そうして、アドレナリンに促進されたグリコーゲン分解により、血管を通して、筋肉細胞の隅々までエネルギー源となるブドウ糖が運ばれ、エネルギーとなります。

これによって、「火事場の馬鹿力」が出て、自分の能力以上のタイムや、パワーを発揮することができます。

一方で、関節や腱には、いつも以上の負荷がかかるので、アドレナリンが出た試合のあとなどは、普段よりも疲労が蓄積していたり、故障するリスクが高まることがあります。

よって、メンタル面でもフィジカル面でもパフォーマンスをよりよい状態に近づけていくには、試合前〜試合中のアドレナリンをコントロールすることが重要です。


そこで、SympaFitでは、これまでに述べた身体のメカニズムから、血糖値をリアルタイムで見ていくことで、間接的に緊張や興奮の度合いを計測し、アドレナリンを評価しています。

試合中のアドレナリンは、出しすぎても力みに繋がり、パフォーマンスが低下します。さらに、逆にアドレナリンがあまり出ていないと、練習通りの通常運転になり、試合の大事な局面で高いパフォーマンスが発揮しづらくなります。

SympaFitでは、パフォーマンス前後の血糖値を計測し、その波形パターンから、試合前のメンタルコンディショニングの最適化をプロアスリート向けにサポートしています。

これまでに、陸上選手の強度の高い練習と、試合本番での血糖値データから、練習以上の高いパフォーマンスを発揮し、なおかつ結果が良かった血糖値エリアを、統計的に明らかにしています。

これにより、個人差を考慮しながら、試合前どのくらいの緊張して、試合中は、どのくらい興奮すると、いい結果が得られるのか、また、そうするにはどのような準備をすればよいのか、を見つけることができます。