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腸内細菌の驚くべき変動と回復力:わたしのマイクロバイオームは変わるの?(まとめ記事)

腸内フローラという言葉が専門用語ではなく一般名詞になったこの数年。
腸内フローラ検査をしてみた人もいるのではないだろうか。

そこで気になってくるのが、「この結果は私の腸内細菌をどれほど長期的に表しているのか」ということだ。

  • 腸内細菌は、血糖値のように一日のうちで変動したりしないのか?

  • あるいは、筋力のように加齢によって衰えることはないのか?(この答えは以前の記事で紹介済み)

  • 生活習慣によって、どれくらい変化するのだろう。

  • その変化は、細菌の種類の変化なのか、それとも細菌の機能(働き)の変化なのだろうか?

今回のシリーズでは、これらの疑問に答えていきたい。
さらに、マイクロバイオームの乱れや、その回復方法についても触れていく。


生きているということは、動的であり安定的である

ここでちょっと哲学的思考。
実用的な情報がほしい方は、ぜひここはすっとばして次の段落へ!

生きているということは、動的であるということだ。
体は細胞を入れ替え、息をして、風邪をひいたり食べすぎたりする。
私たちは年を取り、数々のライフイベントが起こり、笑ったり泣いたりする。

反対に、死とは静である。完全な静。一度死んでしまえば、もう何もできず、もうどこへも行けない。もちろん、分子的には循環の輪に入り、また別の有機物や無機物の一部にはなるけれど。

もう少し大きな目線に移ろう。
私たちの暮らす市町村の人口も、増えたり減ったりする。平均年齢や、平均納税額も毎年少しではあっても変わるだろう。
国単位で見ても同じことだ。
それらは間違いなく動的である。

今度はヒト以外にも目を向けよう。
日本に住むゴキブリの数は、毎年ぴったり同じだろうか? そんなはずはない。彼らは増えたり減ったりしながら、太古の昔から私たちのそばで暮らしてきた。
では、ニホンザルの数は? 杉の木の数は? 8月の平均気温、卵1パックの値段、婚姻数は?
それらも間違いなく動的である。

いのちがある限り、いや、たとえ無機物だけだったとしても状態は刻一刻と変わっていく。
1億年前と今を比べて、取り返しのつかないくらい変わったものごとはたくさんあるだろう。

けれどより短期間で見てみると、変化が小さいものと大きいものがあるはずだ。
たとえば日本の国土面積は100年前とそれほど変わっていない。日本人の男女比もそうだろう。
一方で、人口や出生数、日本人の食生活は大きく変わった。
変わることはいいことなのだろうか?
それとも、何かしら不吉なことなのだろうか?

一概には言えない。当然だ。それでも、急激な環境変化は良くも悪くもそれなりに大きなストレスがかかるという事実にうなずいてくれる人は多いだろう。
家族の急死、リストラ、引っ越し、転職、結婚、出産、円安。
生態系の撹乱や異常気象の発生。

生きているということは、動的であると同時に、ある程度安定した範囲の中で営まれる。
けれどその変化の幅が急激に大きくなると、安定性は崩れる。
崩れた先になにが待っているのか? 天災、疾患、破産、あるいは人生の好転?

ものごとはいずれ、新たな平衡へ落ち着くのかもしれない。それとも、平衡などというものはこの世に存在しないのかもしれない。

どうも泥沼にはまりこんでしまいそうだ。もっともっと話題を絞り込もう。

今回の記事では、こんな具合に考えてみたい。
私たちの腸に棲むマイクロバイオームの生態系は、動的なのか? どの程度安定しているのか?
その生態系が崩れるとどうなるのか? それらはもとに戻るのか、あるいは新たな平衡を見出すのか?

腸内細菌と概日リズム 〜マイクロバイオームは日々変わる?

腸活の意味論 〜私たちの腸内細菌は変わるか〜

生態学的に見るマイクロバイオームの安定性とレジリエンス

腸内細菌が乱れる日。生態系はいい方向へは変わりづらく、悪い方向へは変わりやすい。

乱れたマイクロバイオーム(腸内細菌)を回復させるにはどうしたらいいのか?


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