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腸内細菌は何歳までに決まる? 赤ちゃんから子どもへの成長とともに歩む菌たちのこと

私たちのからだは、生まれてから数ヶ月のあいだに数倍になる。
そしてその急激なカーブは、多少ゆるやかになっていくものの、思春期まで続く。

精神的な発達も同じくらいダイナミックだけれど、33歳の私だって、まだ精神的には成長している気がする。

ぐんぐん大きくなった身長は中高生を最後に上げ止まり、あとは横に伸びる可能性が残されているだけになる。
肌や脳、臓器などの細胞も日々入れ替わりながら、その機能はそれ以上発達することはなく、むしろだんだんと下り坂を描いていく。

腸内細菌をはじめとする、私たちの体で共生するマイクロバイオームたちはどうだろう。
彼らは私たちの成長のそばでどんなふうに「成長」し「機能」するのだろう。

出産のときにお母さんから受け継いだ共生マイクロバイオームは、赤ちゃんや子どもたちの健康をどんなふうに支えていくのだろう。

そしてもし、マイクロバイオームとの健やかな共生が幼少期に崩れてしまったら、どんなことが起こり得るのだろう。

これから、何回かにわけて赤ちゃんと子どもたちのマイクロバイオームに焦点を当てていきたい。

本シリーズは、
全プレママ&パパに届けたい、妊娠・出産とマイクロバイオーム全まとめ(腸内細菌、膣細菌を中心に)」シリーズと併せて読むことを推奨します。


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幼児、そして子どもたちとマイクロバイオーム

離乳食が終わりの段階を迎える1歳代以降も、マイクロバイオームはまだ発達の途上にある。彼らはその顔ぶれや働きを変えながら、乳幼児期の心身の発達を助けているようだ。

微生物があふれる外的環境にさらされることで、マイクロバイオームの生態系は急速に発達する。夏の積乱雲のように。

毎日のように新しい菌たちが子どもたちと出会う。

生まれてくるとき、母親によって与えられたマイクロバイオームの多様性は決して後戻りしない。
それでもなお、1歳以降の子どものマイクロバイオーム生態系はまだ不安定な状態だ。

母乳や離乳食のほかにも、子どもたちのマイクロバイオーム生態系に影響をあたえる要因はたくさんある。
生まれた国、食べるもの、住環境、衛生状態など、多数の因子が子どもたちのマイクロバイオームの構成、その機能を左右しているらしい。

日々新しいことを学び吸収していく子どもたち自身と同じように、彼らの繊細なマイクロバイオーム生態系に加わるかどうかの関門の扉をたたく微生物は無数にいる。

特に腸では、免疫系と相互にかかわることで微生物の選りすぐりをしている。環境中にいる雑多な微生物群集にくらべて、ヒトの腸に棲みつくかどうかの判断には強い選択圧がかかる。

真新しい家に、家具や日用品をどのように配置するかは、その後の住み心地に大きく影響する。
同じように、人生初期にどのマイクロバイオームを腸に迎え入れるかは、その後の生き心地にかかわるのかもしれない。

生態系が安定するほど、つまり年齢を重ねてマイクロバイオームができあがるにつれ、新しい種は棲みつきにくくなる。
大人がヨーグルトを食べても、乳酸菌が腸に定着しない理由はここにある。食生活によって変更できるマイクロバイオームもあるが、その話は別の機会にすることにしよう。

一方で、小さな生態系を乱す要因はそこらじゅうにある。
幼少期の抗生物質投与、栄養の不足した食生活、睡眠不足、行き過ぎた殺菌など挙げればきりがないが、乱れたマイクロバイオームはどんな結果を子どもたちに残すのだろう?

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