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特許制度のややこしき

note84にちめ。お休みモード、毛色ちがって特許小話。

【日曜知財劇場】
特許制度のややこしき

特許法には似て非なる制度、似て非なる書き振りがある。いとややこし、がほんじつ記事の論旨である。これがすべてであとはごちょごちょ申し述べるのみであって恐縮する思いもあるがモウ書いてしまって捨てるに惜しい気持ちをマア自身に向けた覚書としてト言い訳して公開いたします。ながなが。


特許は出願後、審査を経て特許されるまでと特許されたあとと、条件つきながらその権利範囲の記載を改変することができる。特許されるまでが《補正》、特許されたあとが《訂正》である。

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《補正》の条件には段階があり、審査が進むにつれてその自由度が下がる。とくに拒絶理由通知なる「特許できない理由があるよ」のお知らせを重ねて受けたあとは、補正の目的が制限される。

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いっぽう、
特許された後の《訂正》もまた、その目的は制限されている。

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両者の制限はよく似ていて、しかしチョトちがう。トいうお話です。


さて、両者を見比べて。

《補正》は最終的には、下記を目的とするものしか許されなくなってしまう。

(特許法17の2⑤の列記)
・請求項の削除
・限定的減縮(独立特許要件あり)
・誤記の訂正
・明りょうでない記載の釈明(拒絶の理由に示す事項についてするものに限る)

(誤訳は手続きがチョト異なるが同条②に記載があり、いちおうできる)

《訂正》で許される目的の列記は以下のようなもの(同法120の5、126①)。

・減縮(独立特許要件あり)
・誤記または誤訳の訂正(独立特許要件あり)
・明瞭でない記載の釈明
・請求項間の引用関係の解消

まず「請求項の削除」の有無が、《補正》にあり《訂正》にない。デハ《訂正》時にはできないかというと、できる。「減縮」の一種という扱いらしい。《補正》ではべつ扱いなのに。

つぎにその「減縮」が限定的かどうか、《補正》でのみ限定的と記載され、《訂正》にはない。

が、
べつの項(126⑥)に《訂正》における拡張・変更NGの定めがある。このために限定的でない減縮は《訂正》においてもNGと解されている。

(補足)限定的の記載
記載は「〜発明を特定するために必要な事項を限定するものであつて、その補正前の当該請求項に記載された発明とその補正後の当該請求項に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものに限る」

そして誤記についての独立特許要件は、《補正》にはなく、《訂正》にはある。これがよくわからない。これは「この補正(訂正)によって独立して特許することができないものに変わっていやしないか確かめるヨ」というものだが、《補正》における誤記・誤訳の直しでは見る必要がなく《訂正》におけるそれらでは見なければならないトハ?

さいごは「明瞭」と「明りょう」の表記である。こちらは答えがある。条文が作られたときに常用漢字であったかどうかによるそうである。……統一しておくれ。

ややこしト、条文に遭遇するたび思います。わかりやすく書かれていておくれ。

(などと手を止めず、仕事しておくれ。)


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