読書メモ|「行動デザイン」の教科書
note525にちめ。
「人を動かすマーケティングの新戦略「行動デザイン」の教科書」(博報堂行動デザイン研究所、國田圭作著)を読んだメモ。
マーケティングを行動で発想する。「モノ頭」を「行動頭」に切り替える。ヒトとモノをつなぐ「行動」をデザインする。市場、リスクやコストの感覚、ゴール(成果)、習慣を行動で捉え直す。……の指南書。
物は売れない。体験を売れ、とはよく聞く。が、無形のものだけが売れているわけではなく、有形のヒット商品もたくさんある。モノを通じて得られる体験を売るの意味、その体験の探り方がわかりやすく書かれている。
(まるまる習得できたとはとても言えないが。)
インスタントカメラ「チェキ」を、“「写真を撮るモノ+すぐ現像できるモノ」と考えるのが「モノ発想」”(p.34)で、写真入りカードを作って書き込むような“コミュニケーション行動”(p.34)につなげて捉えるのが行動発想と聞くと、フンフンと思う。
が、写真を撮るも現像するも動詞であって体験であり、逆に後者も「カードを作るモノ+書き込めるモノ」「コミュニケーションのツール」と名詞的に捉えることもできる。モノかコトか。混乱ポイントでは。
“「ターゲットはなんのために、どんな行動をしたがっているか」という行動視点”(p.34)
ターゲットがどんな行動を「するか」だけではなくどんな行動を「したいか」を考える。そうすると先ほどの混乱もすこし晴れそうである。どんな行動をしたがっているか、本書ではそれを想像するための考え方、見つけ方が説明され、具体的に考えやすくなる。
何を売るか、それを通じてターゲットに何をさせるか。人を動かすための仕掛けの話も(というかメインである)。
とくにリスク感とコスト意識の話がおもしろかった。リスク感を下げて近寄りやすくする。購入のためのコストを下げることもあれば、返品のためのコストを上げることもある。売れるものはうまく設計されているようである。
・なぜ人が行動を起こさないか、3つの問題(p.95)
・行動の5つのコスト(p.113)
・リスク感の下げ方(第4章)
「人」を自分とすれば、すべきことを自分にさせるためのヒントにもなる。
「なぜ人は行動を起こさないのか」を「なぜ人は行動を変えないのか」と読めば、いまの感染症対策の課題も連想される。
売りものを考えるためにも、売るためにも、人を動かすためにも、自分を動かすためにも。参考になります。