旧発電所でモダンアート:Biennale of Sydney
シドニーでは、ただ今Biennale of Sydneyというアートイベントが開催されている。
州立美術館といった常設の場所でも展示が行われているが、今年の目玉は、なんといってもWhite Bay Power Station.
これ、カッコ良すぎません?
簡単に説明すると、これは名前の通り1917年に完成した発電所で、主にシドニーの鉄道に電力を供給していたらしい。
1984年に稼働を停止して、それ以降は僕もこの横を何度も通ったことがあるが、うら寂れた廃墟感があり、いかにも悪い人たちが巣食っていそうで、夜はこの周辺を歩くのが恐ろしそうな雰囲気だった。
この建物、どうするんだろう?壊してしまうのかな?と思っていたが、歴史的建造物に指定され、州政府の所有となり、保存、保全作業をされた後に今年から一般開放された。
将来的には、芸術、文化施設となるようだが、こういう歴史のある建物を壊さずに保存活用するのは本当に良いことだと思う。
で、今回のBiennaleでは、この中にアートワークを展示している…というわけ。歴史的建造物とモダンアートの融合。
こんなの、面白くないわけがない…ということでいざ行かん!
White Bay Power Stationは、シドニーの街なかからはそれほど遠くなく、バスで15分ほど。
このあたりは昔はこの発電所を含め、工業的なエリアだったようで、今は再開発が盛ん。
バスを降りて発電所を目の前に見る。
おおお…でかい。レンガ造りの巨大な建物と、2本の高い煙突に圧倒される。
建物に足を踏み入れると、まず感じるのが匂い。
古い建物特有の、少しカビたような匂い、そしてところどころにまだ残されている機械から漂うオイルのような匂い…。
それだけで、普段とはちょっと違った空間に足を踏み入れているのだな、ということを実感する。
がらんとした廃墟風の建物のあちこちにアートワークが展示されている。作品は世界各国のアーティストによるもので、土俗的なテーマが多かったような気がする。
モダンアートなので、色々細かいことを考えずに、作品に浸るような感じで鑑賞した。
きれいな作品もあるし、「なんじゃこりゃ?」みたいな作品もあるし、重いテーマの作品もある。
そしてところどころに残された巨大なタービン、ポンプ、多数のメーターが並んだコントロールパネル…そんな「過去の遺物」すら、アートワークに見える。
昨今のスマートな機械とは対照的で、重厚感がたまらない。
それにしても、こんな展示が無料ですよ。そしてこの建物を保全するのだって、かなりのお金がかかっているだろう。
もちろんうまく再開発をしたら将来的には採算の取れる施設になるのかもしれないが、それはかなり先の話。
正直、入場料がかかるのなら行くのをためらう人もいると思うが、無料ならなんか面白そうだし行ってみようかな~、と気軽に行ける。
で、行ってみたらこのユニークな建物のおかげで絶対に楽しめると思うんだよね。ついでにアートも楽しめればもう全然モトが取れるじゃん。
なんかこういうあたりに、オーストラリアという国の懐の深さというか、豊かさを感じてしまう。
ついでに…とういか初めから計画してたけど、近くにクラフトブリュワリーがあるのでもちろん立ち寄り、色々な種類のビールを楽しんだ。
Biennale of Sydney は、6月10日までの開催なので、他の施設での展示も見に行かなくては…。