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話題の問題 共通テスト(リーディング)

 2021年大学入学共通テスト(リーディング)の第6問Bの甘味料をテーマとした問題が話題となっています。

参考となる記事はこれです☟

 上記の記事より,注目された点を抜粋します。

 もし、出題文が甘味料の悪影響を示す研究があることと共に、各国の機関が健康への懸念を否定している事実も示し、最後に「個々人が念入りに検討し選ぶ必要がある」とまとめたのであれば、科学的には妥当です。ところが残念なことに、出題文は数多くの研究結果から筆者にとって都合のよい一部の質の低い研究を選びストーリーを作る「チェリーピッキング」(cherry picking)を行ったように見えます。これでは、雑誌やウェブメディア等で散見される「甘味料が危ない」という扇情的な記事と同レベルです。

 そして,次のように記事は終わります。

 科学リテラシーが無視され、好奇心旺盛で身近なことを調べられる力のある受験生がむしろ、迷ったかもしれないのです。高橋名誉教授は懸念します。「気候変動や地球環境問題でも、世間には間違った情報が氾濫しています。こうした分野についても、入試問題で今後、同じようなことが起きるのでは」
 今回の出題を、化学や生物ではなく英語の問題であり、英語として正しい解答を選べばよいのだから、と片付けて済む話でしょうか? リテラシーを育ててゆく大学教育のための入学テストで、週刊誌レベルの内容が「教科書の一節」として50万人の受験生に示され、今後は過去問として毎年、何十万人もの子どもたちが読むことになります。

実用 vs 教養・学問

 共通テストは「実用」に焦点を当てています。予想通り「学問的」な部分がなくなっています。このような出題がされてしまうと,本文と照らし合わせて解答を選べればいいと思う学生が増える危険性が増えます。そうなると,単にテクニック的な勉強しかしなくなる恐れさえあります。

 各大学の個別入試では,英文を読むことで,興味が広がり,勉強したくなるような素材,つまり大学入学後の学問の世界へと入る準備ができるような素材が使われています。「実用」も大事かもしれませんが,「学問の世界へ入るための試験」であることを考えると,少なくとも興味をもって勉強している学生に不利に働く可能性のある出題は避けてほしいものです。


 そして今日は,大学入学共通テストの第2日程の日です。どのような問題が出題されるのでしょうか。受験される方は頑張ってください。

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