早稲田大学 Sport & Entertainment Management Lab.

Sport & Entertainment Management Labは、ス…

早稲田大学 Sport & Entertainment Management Lab.

Sport & Entertainment Management Labは、スポーツやエンタメの力を科学的に検証し、それらを活用した社会課題の解決策を提供するラボです。自己と社会の発展のために活用できる世界最先端の科学的エビデンスをできるだけわかりやすく紹介します。

マガジン

  • 週刊スポーツマネジメント

    スポーツのマーケティング・マネジメントはもちろん重要ですが、スポーツを活用して様々な課題を解決していくこともスポーツマネジメントの重要な使命です。そんな科学の世界をちょっとだけ覗いてみませんか?

  • スポーツ科学研究「弁財天の巻」

    Sport X Management Lab.がまとめるスポーツ科学関連の学術論文まとめ(百本セット)。毎週最新記事が追加されます。

  • スポーツ科学研究「恵比寿の巻」

    Sport X Management Lab.がまとめるスポーツ科学関連の学術論文まとめ(百本セット)。

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質の高いエビデンスとは?

偉い雰囲気の人の前でプレゼンをしました。すると、 「エビデンスは?」 こんな感じで詰められた経験がある方も多いのでは? 「エビデンス」は「根拠」とか「証拠」と訳されることが多いでしょうか。要するに 「それって何か証拠でもあるの?」 と尋ねられているわけです。エビデンスとは根拠、ここまではOKですよね?問題はここからです。 エビデンスに関わる懸念点単刀直入に申し上げると 「エビデンスの質」 が懸念されます。 エビデンスの質とはまずエビデンスは科学の現場以外で

    • スポーツ指導者が優先するのは、学生アスリートの成長 OR 結果?

      スポーツ指導において 勝利至上主義(つまり結果のみの追求)の 弊害は声高に叫ばれていると思います。 しかしスポーツ現場を観察してみると 未だに結果ばかりに傾倒した指導が 散見されるのも事実ではないでしょうか。 結果を求めること自体を 全否定するつもりはありません。 しかし、青少年の成長のプロセスが 優先されないののであれば これは由々しき事態であると 言わざるを得ません。 さて、スポーツ指導者が「学生の成長 OR 結果」 のどちらを優先するかは 白黒問題ではございません

      • 様々なスポーツとの関わり方と幸福感の関係性

        スポーツ観戦やスポーツ参加によって 人々の幸福感が醸成されることが報告されています。 しかしスポーツとの関わり方と言っても 人それぞれ異なる関わり方があるわけです。 運動することも一つの関わり方 スポーツ観戦も一つです。 さらに、スタジアムではなく、メディアを通して スポーツを観戦することも当てはまるでしょう。 今回紹介する研究では これらの様々なスポーツとの関わり方が それぞれどのように人々の幸福感と 結びついているのかを検証しました。 この研究プロジェクトに取り組ん

        • カフェインがもたらすパフォーマンスへのポジティブ効果はどれだけ続くのか問題!

          カフェインとスポーツパフォーマンスの関係は アスリートなら噂程度に聞いたことあるかもしれません。 そういえば、ダルビッシュ選手も練習前に コーヒー飲んでるみたいなビデオを YouTubeで見たことがあるような、、、 とりま、このカフェインが持つパフォーマンスへの ポジティブ効果ですが 「毎日カフェイン摂取したらそのうち効果が薄れていくんじゃないんですか?」 って思いますよね。 そう思うあなたは科学に慣れ始めた証拠です。 そんな問いに解答すべく立ち上がったのは スペインは

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        • 週刊スポーツマネジメント
          5本
        • スポーツ科学研究「弁財天の巻」
          15本
          ¥999
        • スポーツ科学研究「恵比寿の巻」
          100本
          ¥999

        記事

          オリンピックは青少年を幸せにするの?2010バンクーバー五輪がカナダの青少年にもたらした影響

          唐突ですが、トレンドとしては 多くの都市がオリンピック招致を諦めています。 主要な理由としては お金がかかりすぎることです。 実際、経済効果に着目した研究でも 基本的には「五輪招致の投資は回収できない」 というエビデンスがよく報告されています。 しかし、経済効果だけがオリンピックではありません。 例えば、オリンピックのおかげで スポーツ参加率が上がるのでは?とか 人々のつながりが醸成されるのでは?とか 様々な効果が議論されています。 今回紹介するのは 経済効果ではないオ

          オリンピックは青少年を幸せにするの?2010バンクーバー五輪がカナダの青少年にもたらした影響

          新しいチームはファンにどのように捉えられるのか?おらが町チームへの科学的成長記録

          「おらが町チーム」と感じてもらう。 これはスポーツチームにとっては 重要な課題と考えられています。 新しいスポーツチームが市場に紹介されたとしましょう。 もちろん「おらが町チーム」と認識されるには 時間がかかることが推測されます。 消費者がチームをどのように認識していくのか? そんなプロセスの科学的説明は今まで非常に稀有でした。 こんな問いに対して立ち上がったのは オレゴン大学と北テキサス大学の研究チーム。 どのように「おらが町チーム」感が醸成されるのか 新しいチームのフ

          新しいチームはファンにどのように捉えられるのか?おらが町チームへの科学的成長記録

          旅行から得られる幸福感は何日続く?

          旅行などのレジャー活動と 幸福感の関係性は 多くの研究者の興味を集めています。 この関係性を理解するのに 頻繁に用いられる考え方が、 快楽のトレッドミル です。 快楽を感じて 「幸せ!」と思った最高潮の瞬間は トレッドミルのベルトのある一時点に過ぎず 時とともに過ぎ去ってしまうという考え方です。

          旅行から得られる幸福感は何日続く?

          アリーナ建設、周りのビジネスは儲かるのか?

          スポーツ施設の建設は非常に高額で 研究者だけでなく市区町村、民間企業の間でも 多くの議論がなされています。 その中でも、「スポーツ施設の経済効果」は 特に注目を集めるトピックです。 スポーツ施設が催すイベントなどを起爆剤に 街への経済効果を、流入人口から推算する方法が 最もオーソドックスなアプローチなのですが 「周りのビジネス(レストランとか小売業とか)への 影響を検証した研究は少なかった」わけです。 さて、そこで立ち上がったのが コロラド大学デンバーの研究者です。 「

          アリーナ建設、周りのビジネスは儲かるのか?

          スポーツは人をハッピーにするの?それともハッピーな人がスポーツをするの?

          スポーツに限らずですが 様々な研究でよく議論になるのが 「因果関係の方向」です。 AがBに影響を与えるの? それとも BがAに影響を与えるの? どっちが正しいんですか? という議論が結構されます。 過去に行われた研究では 「スポーツをすると人は幸せになる!」 というエビデンスも報告されていますが 「幸せな人がスポーツをする」 なんていう逆のエビデンスがあるのも事実です。

          スポーツは人をハッピーにするの?それともハッピーな人がスポーツをするの?

          サッカーは青少年の骨を丈夫にする!系統的レビューとメタ分析のエビデンス

          スポーツをやっている人には分かると思いますが 怪我するとメンタルやられちゃいますよねー 私も先日バスケして捻挫した結果 運動できずに気持ち落ち気味です。 でも骨に異常が無かったのは不幸中の幸い。 治ったらまた運動再開っす。 ということで、骨って大事ですね(強引!) 骨の強さを語るときってに重要な指標は 「骨塩量」と「骨密度」 です。

          サッカーは青少年の骨を丈夫にする!系統的レビューとメタ分析のエビデンス

          「おらがチーム感」は社会生活の満足を向上させるのか問題

          スポーツ科学の世界では 人は自らが応援するチームに対して帰属意識を持つ と言われています。 この「おらがチーム感」はTeam Identification と表現されることもあります。 応援するチームが勝つと まるで自分が勝ったような気分になる。 応援するチームが褒め称えられると まるで自分が褒められているような気分になる。 こんな感覚があると、帰属意識が高い状態 と言えるかもしれません。 この応援するチームへの帰属意識ですが 高まれば高まるほど 「社会生活における満足

          「おらがチーム感」は社会生活の満足を向上させるのか問題

          エクササイズの目標設定が幸福感に影響を与えるって話

          目標設定の重要さは多くの人が既に知っています。 その中でも「どんな目標を立てるか」によって 効果が変わってくるというのが最近の科学トレンドです。 目標にも以下のように色々と種類があります。 「1ヶ月でとにかく3キロ痩せる」ー結果フォーカス目標 「ダイエットに効果的な筋トレを学ぶ」ー成長や学びフォーカス目標 「太らないようにする」ー失敗回避フォーカス目標 そこで今回紹介するのは エクササイズの目標設定と幸福感の関係性 を調べた研究です。

          エクササイズの目標設定が幸福感に影響を与えるって話

          「何かを達成しなきゃ幸せになれない」は大間違い?こんな感覚が大事だぜって話

          「幸せになんかなりたくない!」 なんて人は基本的にいないと思います。 みんな幸せになりたいですよ、そりゃ。 幸福感と関係している要因は色々ありますが 「アレを手に入れたら幸せになれる!」とか 「あそこに行ったら幸せになれる!」とか 幸せになるには 「何かを達成しなきゃいけない」 そんな風に感じてしまうことが多い気がします。

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          男性は女性を意識すると危険な旅をしたくなる?

          進化論によると人の行動やモチベーション(動機)の真の源は「生き抜き、再生産(子孫を残すこと)すること」です。これは私たちの遺伝子にプログラムされていることで、人は生き抜くために、子孫を繁栄するために何かしらの行動をしていると考えられています。 私たちが行う感情表現を例として挙げるのであれば、 怒るという行為は、ネガティブな行動として捉えられがちですが、怒りを表現することは、自分の生命を脅かす脅威から攻撃をされにくくするために有効な手段です(自分を守るため)。逆に、笑顔を見せ

          男性は女性を意識すると危険な旅をしたくなる?

          野球のバッティングと脳波の関係を調べてみた件

          近年、脳波を測定する機械がどんどん進歩していて、スポーツ選手の脳波とパフォーマンスの関係を調べる研究が進歩しています!そこで、今回は脳波の中でもアルファ波、ベータ波、シータ波に注目して脳波とバッティングパフォーマンスとの関係を調べてみた研究を紹介します! ちなみにアルファ波は,健常人がリラックスして目を閉じている時に出現しやすく、目を開けることにより抑制されると言われています! シータ波は眠りに入っていない人にはほとんど出現しないそうです。つまり、眠りに就いている時に見られ

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          退職後のスポーツ参加は人生を豊かにするよって話

          老後は幸せな人生を送りたいですよねー。 でも老後って収入が減ったり、年齢を重ねるごとに病気にかかりやすくなったりして、お金とか健康といった今まで持っていたもの(リソース)が減少してしまうと言われています。 ちなみにこの老後に持っているもののことを 老後のリソースと言いまして、このリソースにはお金や家、車などの有形なものだけでなく、心身の健康や何かに取り組むモチベーション、他者との交友関係なども含まれます。

          退職後のスポーツ参加は人生を豊かにするよって話