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様々なスポーツとの関わり方と幸福感の関係性

スポーツ観戦やスポーツ参加によって
人々の幸福感が醸成されることが報告されています。

しかしスポーツとの関わり方と言っても
人それぞれ異なる関わり方があるわけです。
運動することも一つの関わり方
スポーツ観戦も一つです。
さらに、スタジアムではなく、メディアを通して
スポーツを観戦することも当てはまるでしょう。

今回紹介する研究では
これらの様々なスポーツとの関わり方が
それぞれどのように人々の幸福感と
結びついているのかを検証しました。

この研究プロジェクトに取り組んだのは
シラキュース大学を代表とした研究チーム

シラキュース大学HPから

研究の方法はちょっと複雑なのですが
Ecological momentary assessmentを使った労作です。
この方法、一体何かというと
一日の中でも目まぐるしく変わる幸福感の特性から
研究参加者にスマホで通知を送りまくって
その通知を受けるたびに彼らに
オンラインでアンケートに答えてもらうという
非常に手の込んだデザインです。

研究参加者は通知を受けるたびに
以下の質問に回答しました。

  • その時どんな活動をしていたか?
    運動、スポーツ観戦、メディアを通したスポーツ観戦など

  • 欲求満足度
    ストレス発散欲求、自己決定欲求、達成欲求、所属欲求

  • 幸福感
    ポジティブ感情、ネガティブ感情、人生の満足度

週に2-3回のスマホ通知を9週間以上に渡り
回答者に送り(合計で6120通知)
最終的に242名の大学生からの回答が分析されました。

結果発表!

スポーツ参加&スポーツ観戦はポジティブ感情と関連している

これは想定の範囲内です。しかし、、、

メディアを通じたスポーツ観戦は、ポジティブだけでなく、ネガティブ感情も喚起してしまう

実際、メディアを通じたスポーツ観戦の
「時間」に着目して分析すると
メディア観戦が長ければ長いほど
ネガティブ感情が大きくなる
という結果が示されています。うーん。。。

さて、スポーツ参加とスポーツ観戦が
ポジティブ感情の増幅に大事なのはわかりました。
この研究は、その間の心理的メカニズムにも
踏み込んでいる点で価値があります。

その心理的メカニズムとは???

大事なのは「自己決定欲求」「達成欲求」「所属欲求」

1. 「自分は誰に指図されるわけでなく、
自分でやることを決めている感覚」
2. 「何かを達成する感覚」
3. 「大事なグループに属している感覚」

これらの3つの感覚が
スポーツ参加&スポーツ観戦によって
刺激されることによって
人々は幸福感を感じることが
示されました。

つまり、誰かに誘われて
やりたくもないのに運動したり
行きたくもないのにスタジアムに行ったり。
そんなことしても幸せには繋がりません。

自分で決めて
大事な仲間と
思いっきりスポーツを楽しむ。

これが幸福への第一歩
ってことですね。

Kim, J., & James, J. D. (2019). Sport and happiness: Understanding the relations among sport consumption activities, long-and short-term subjective well-being, and psychological need fulfillment. Journal of Sport Management, 33(2), 119-132.

いただいたサポートは、全て残り残らず研究活動に活かさせていただきます!