つまり‥そういうこと
観音さまたちと別れた後、ウサギとカメは高徳院へと向かった。観光客の波を避けつつ歩く二人は、やがて鎌倉の大仏の前にたどり着いた。その雄大な姿に圧倒され、ウサギは感嘆の声を上げた。「大迫力ね！」
しばらくその大仏の姿を見つめていたウサギは、ふと思いついてカメに尋ねた。「さっきの長谷寺の観音さまと、どっちが大きいのかしら？」
カメは少し考え込みながら答えた。「大仏は座っていても高さが11メートルもあるんだ。立っていた観音像よりもずっと高いね」
ウサギは驚いたように目を見開いた。「そうなのね。あの観音さまも大きかったけど、大仏さまはさらに大きいのね」
「最初に作られたのは木造の大仏で、直ぐに台風で倒れてしまって、青銅の大仏に作り変えられたんだ。元々は大仏殿の中に安置されていたんだけど、度重なる台風や地震で、とうとう建物は復元されなくなってしまったんだ」とカメが言った。
ウサギがふと呟いた。「お腹が空いたわ…」「もう少しだけ頑張って。小町通りに行ってみよう」とカメは優しく励ました。
小町通りに到着すると、「目移りしちゃうわね」と、ウサギは目を輝かせた。そんな彼女が足を止めたのは、鎌倉五郎本店という和菓子屋さんだった。「モンブランがあるのね。『小波』って名前が鎌倉らしいわ」
さらに歩いていくと、やがてウサギが再び足を止めた。目の前には「源吉兆庵」という看板が掲げられた店があった。「鎌倉おやきがあるわ。やっぱりどら焼きも欠かせないわね」
両手にモンブランとどら焼きを持ち、上機嫌のウサギにカメがぽつりと尋ねた。「ずっと気になっていることがあるんだけど…。葛原岡神社で恋みくじを引いていたよね。あれはどうだったの？」それを聞いた彼女は涼しげに微笑んだ。
「覚えてる？恋みくじの箱に書かれていた言葉を。つまり…そういうことよ」
まるごと栗感のモンブラン「小波」
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