スウェーデンの社会システム・子どもたちの場合その1

スウェーデンの福祉を含めた社会システムに興味をお持ちの方が多いようですので、スウェーデンの色々なシステムについてお話ししたいと思います。スウェーデンでは、社会的弱者に対してのサポートがとても進んでいるように思います。高齢者だけでなく、子供、小さな子供のいる人々、ハンディを持っている人々、移民、失業者などに対してです。前回のベビーカー天国もそのひとつでしょう。今回は、子供たちの場合についてお話ししたいと思います。

スウェーデンでは、日本のニュースで最近よく耳にする幼児虐待はほとんどありません。子供に手を上げることは、法律で禁止されているのです。たとえ親がしつけのために子供をたたいたとしても、子供はそれを訴えることができるそうです。たたくしつけということはスウェーデンではありえません。

成人と言われる年齢は、高校を卒業する年、18才です。この18才までに、子供たちは様々な恩恵を国から受けることができます。まず、産まれた時から18才まで、毎月10000円弱の児童手当を受けることができます。子供が小さいうちは、保護者宛てに入金されますが、子供が自分でお金を扱える年齢になると、子供名義の口座に振り込むこともできます。そして、18才になるまで、歯の治療を含めた医療費は全て無料です。居住地区の歯科医で定期的に歯の検診が行われ、学校では歯の磨き方を教えられ、歯の矯正も無料でできるので、スウェーデン人は虫歯が少なく、歯がきれいな人がとても多いのです。

スウェーデンの義務教育期間は日本でいう小学校と中学校が合わさった9年間の基礎学校ですが、公立学校では教科書を含めた授業料も全て無料です。私立学校は有料ですが、インターナショナルスクールやフリースクールなど特殊な学校である場合が多いので、ほとんどの子供たちは居住地区の公立学校に通います。

昼食も無料で、学校のカフェテリアで学年ごとに昼食の時間帯をずらして取ります。また、教科書は毎年使いまわしており、書込みは禁止されています。子供たちは学年の初めに、ややボロボロになった教科書にカバーをかけて1年間大切に使います。ノートやえんぴつも学校から支給されます。地区によって様々ですが、ストックホルムの学校では1クラスが約20人、2人の先生が2クラスを受け持ちます。ですから、子供たちにとっては20人ほどのクラスに先生が2人いる感覚になります。成績表は小学校の6年間はなく、学期末に親子面談で先生が保護者に子供についての話しをする程度です。日々の宿題も少ないですし、受験もなく、学年末の6月から8月の2ヶ月ほどの夏休みはそれこそ遊び放題ですので、子供たちは本当にのびのび(少しのびのびし過ぎという気も致しますが)育っています。

注:昼食、学校内でのできごとは2002年の執筆のままのため、現在は多少変わっているかもしれません。

その2に続きます。

2002.3.5執筆、2016年リライト

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