「捨てる」という概念を捨てる!ゼロウェイストなプラットフォーム「LOOP」遂に日本でも
こんにちは!スワックトーキョーのさちです。
近年、プラスチックごみの削減に向けて生分解性の素材や新たな再利用方法など様々な革新的な解決策がいくつも提案されていますね。
その中でも特に大胆なアプローチで知られているのが米・テラサイクル社が提案する「LOOP」というサービス。10月から日本でも導入されます。環境に良いのはもちろん、生活においても利便性に優れていてとても素敵なサービスだと思ったので紹介したいと思います。
詰め替え・返却という昔ながらの方法
「LOOP」とは、リユース可能な耐久性のあるパッケージを使った循環型のショッピングプラットフォーム。
テラサイクル社CEOのTom Szaky(トム・ザッキー)氏が、”容器の所有権を消費者から企業に戻す”というコンセプトのもとに立ち上げたサービスです。
そもそも、耐久性のある容器の所有権は企業が持つというのが昔の小売りの常識でした。しかし、使い捨ての文化が一般的になるにつれて、企業の資産は「中身」だけに。安くて便利ではあるのですが、軽量化とリサイクル率は比例して下がるため、結果として、ゴミ問題が台頭してきました。
「LOOP」の考え方は「容器に耐久性を持たせ何度も繰り返し使えるようにすれば、容器の所有権はまた企業に戻る。使い捨て文化に挑戦する。」というもの。
2019年1月に開催された世界経済フォーラム年次総会では、世界を代表する消費財メーカー41企業や環境保護団体と一緒に発表されています。
「LOOP」の仕組みは、いわば牛乳配達のようなビジネスモデルです。流れを見てみましょう。
1.消費者が専用のウェブサイトから商品を注文すると商品が自宅に配達されます。
2.使用後に空き容器専用のバッグに入れて返送します。
3.再び商品を購入すると、洗浄して再充てんされた商品が届きます。商品購入の際に商品の金額に加えてデポジット(預り金)を支払い、容器を返却するとデポジットが返金されます。
アイデアとしては新しいものではないような気もしますが、驚くべきは利用率。米国東海岸の宅配におけるコンバージョンレート(CVR=成約率)は12%という驚異的な数字でなのです。アメリカのEC売上げ上位500サイトのデータでは、検索エンジンなどから流入したECサイトの平均CVRが3.32%。比べると、いかに高いのかが分かります。
また、「LOOP」を使う理由などについて米国の5000世帯を対象にアンケート調査を行った結果、意外な結果が出たそうです。
「サステイナブルでエコだから」という回答を予想していたのですが、上位に来たのは利便性やデザイン性。消費者からすると環境配慮はあくまでも副産物であり、便利でデザイン性があった上で「意識が高いことをしている(気持ちよく使える)」と考える消費者が多かったようです。
以下、回答をご紹介します。
1位 利便性(これまで空き容器を自宅で集めてごみ捨て場などに持って行かなければいけなかったものが、「LOOP」では自宅まで配達し、回収もしてくれます。)
2位 魅力的なデザイン性のある容器(使い捨て容器ではないため、企業側もある程度のコストをかけてパッケージデザインを工夫している点が評価されたようです。)
3位 家の中のゴミがなくなりゴミ処理が不要
(参考:日本食糧新聞)
企業にとっては生産コスト削減にも繋がる
地球環境の改善や消費者の利便性が高まるだけではなく、生産コストの削減にも繋がるということで再利用可能な容器に参画する企業も増えています。
現在「LOOP」に参画する企業は世界で60社以上にのぼり、日本で実施する10月からの実証実験では、食品業では味の素、大塚製薬、キッコーマン食品、キリンビール、サントリー、ロッテ、日用品ではI-ne、エステー、資生堂、P&G、ユニチャーム、事務機器メーカーのキヤノン、小売業のイオンリテールに加え、世界で初めて東京都が行政として参画し助成を行っています。
日本法人テラサイクルジャパン代表のエリック・カワバタ氏は、WWDのインタビューで「廃棄物問題はリサイクルだけで対応できない。製造、物流、小売、容器洗浄など全ステークホルダーと共同し廃棄物を減らす目標に突き進んでいければ」と意気込みを表明しています。
サステナブルなテラサイクル社の他のプロジェクト
世界21カ国でリサイクルプログラムを手掛けるソーシャルスタートアップのテラサイクル社。2001年の創業以来、サステナビリティーやソーシャルベンチャー関連において、200以上の賞を受賞し、慈善団体や学校に約25億円の寄付を行ってきました。
日本でも、「LOOP」の展開だけではなく、様々なリサイクルプログラムを実施しているので、いくつかをご紹介します。
ハブラシ・リサイクルプログラム
ライオン株式会社と協働で実施しているハブラシ・リサイクルプログラム。参加者には、集めた重量に応じてテラサイクルポイントが付与され、教育支援、地域支援などの寄付に換えたり、テラサイクル商品との交換ができます。
Ziploc リサイクルプログラム
このプログラムでは、役目を終えたジップロック®製品を回収し、リサイクルをして新しいモノに生まれ変わらせることを目指しています。使用済みのジップロック®製品は2kgから回収が可能です。(参考:フリーザーバッグ1枚あたり=5~10g スクリューロック®1個あたり= 40~50g)
清潔製品つめかえパックリサイクル(エリア限定)
中身をつめかえて本体容器をくり返し使うことで、ゴミの削減と省資源に役立っている詰め替えパック。このパックを集めて、リサイクルにクリエーションを加えて街や社会に役立つ「ワクワク」をつくるプログラム“リサイクリエーション”に賛同する実験地域といっしょに研究しています。
(実験対象エリア:徳島県勝浦郡上勝町、神奈川県鎌倉市、宮城県石巻市、宮城県牡鹿郡女川町、北海道北見市)
吸い殻ブリゲード
株式会社トゥルースピリットタバコカンパニーと協働のタバコの吸い殻の回収リサイクルプログラム。このようなプログラムは日本初で、吸い殻を資源に利用するというの業界としても画期的な取り組みと言えます。吸い殻は500gから発送可能。発送依頼をすると、翌々営業日までに運送会社がピックアップ!集めた吸い殻は、リサイクル製品に生まれ変わります。
スワックトーキョーでも、毎月第3日曜日の朝に表参道・青山を中心として清掃活動を実施し、ゴミの活用について日頃より考えています。このようなリサイクルプロジェクトを活用していき、ゴミのない世界を作っていけるといいですね!秋から日本で試験導入されるLOOPも要チェックです。
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