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保育ソーシャルワークからみえてくる「現在の子育てのリアル」

今日の保育ソーシャルワークの業務は、ある家族について保護者と、関係者が集まりチームミーティング。
そのミーティング後に、主任の先生と話した内容がとても印象深かったのでご紹介させていただきます(プライバシー保護の為、いくつかの事例を混ぜ、事実とは異なる形で記載しています。)

~ 主任の先生の語り ~
今日はママがこの話し合いに参加するために、子どもを保育室まで送り届けてくれたんです。子どもと離れる儀式、バイバイタッチをしてママは保育室を後にしました。

子どもはすんなりにと保育室へ入り、穏やかに遊び始めました。
いつもは時間に余裕のない状態だから、「もう行くからね!」と手を振りほどくような朝のお別れになります。

この子に限らず、他にもそのような状況の園児は何人もいます。
その子たちはまさに「空焚き」のような感じです。

満たされた実感がないまま空っぽの気持ちで登園しています。
それでも一日のスケジュールは始まり、また下から火がつけられている感じ。そして、落ち着かない自分をなだめるように、走り回ったり、大きな声を出したりして、なんとか気持ちをやり過ごそうとしています。

空焚きの器はカッカ、カッカと熱くなる。。。
水をザブ~ンとかけても何にもならない。。。。

私たち保育士は、子どもたちに少しずつ穏やかに声掛けをして、その子のペースで落ち着いていくのを待ちます。抱き上げて、寄り添い、時間をかけて気分転換ができた子どもを連れて、保育室に入るようサポートします。

自分も母として経験してきたからこそ、子どもの手を振りほどいて仕事に行かないといけない母の状態も気持ちも痛いほどわかる!!
だからこそ、保育士としてできる子ども達へのサポートをするけれど、
今日は、子どもの方をまっすぐ見つめて、時間をとってのバイバイと、手を振りほどくようなバイバイの違いを目の当たりにしました。

この話から単純に、朝のバイバイの時間をとる事だけを意識したり、朝のバイバイの儀式をするよう妻や娘に伝えるような短絡的なことをしても、根本解決にはなりませんので、受け取り違えないようにお気をつけください。

子育て中の母や、子育て世代が社会からネグレクトをうけているような時代に、単純に朝のバイバイだけを変えるように親たちに伝えても解決はまだ遠い。

現在の子育てが人手不足だからといって、子どもの心は寂しさを感じないシステムに変化したりはしない。生きる力を生まれながらにもつ彼らは心の基地をつくるのに安心安全の欲求を全力で満たそうとしてくれる。
それは言葉だけでなく行動でも。
「ママ、もっと一緒にいて!」

今回、話し合いにきたママの家族は、

・母子家庭
・子どもが5人
・親戚と不仲で孤立
・高校生の長女、不登校
・小学生の三女、摂食障害
・年長の三男、衝動性が高く他児とトラブル多い
・末っ子は1歳、おっぱいをたくさん求めてくる

※実例とは異なります

このような一家がいたら、保育ソーシャルワーカーとして、どのような支援をしていくか。

①保育士からの状況聞き取り
②保育士とSWを紹介する言葉を一緒に考えて、母に提案してSWに繋がる
③それぞれの状況のアセスメント
  →ジェノグラム作成して可視化
④支援している機関の確認
  →エコマップ作成して可視化
⑤支援している機関がなければその開拓
⑥それぞれの子ども達の事、母の事を総合的に受け止める先となる相談先を選んで、そこに繋ぐ
⑦子どもとの関係の構築
⑧母との信頼関係の構築
⑨・・・・・・
⑩・・・・・

やることは沢山あり、それも来談者のニーズとタイミングに合わせて行っていく。緊急介入が必要な状況か、そこをしっかり見極めながら行政機関と連携していく必要がある。

このような目の前の親子を支えるために、

☑ 保育士としてできること
☑ ソーシャルワーカーとしてできること
☑ 子どもに関わる支援者としてできること
☑ 行政としてできること
☑ 制度としてできること
☑ すべての人ができること
☑ 社会全体でできること

この事を真剣に考えないと、本当にこの国の未来は明るくないな・・・
そんなことを強く思った一日でした。

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新年度に向けて、保育ソーシャルワーク学校ソーシャルワーク導入のお問い合わせが増えております。それぞれの園や学校の想いを丁寧に聴きとりしています。お受けできる数も限られていますので、気になっている園の関係者の方々はお早めにお問い合わせください。

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ソーシャルワーク福岡:info@sw-f.jp

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2023年3月29日西日本新聞朝刊の一面に弊社の保育ソーシャルワークの取り組みが掲載されました。ぜひ、ご覧ください!
『保育の現場にも「ソーシャルワーカー」 発達の悩み、貧困…就学前から支援』

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2023年10月18日マイナビ保育士が運営する情報サイト「ほいくらし」に保育ソーシャルワークの取り組みが掲載されました。

『保育士や保護者の「なんか気になる」を解決!子どもも大人も幸せになる保育ソーシャルワークとは?|株式会社ソーシャルワーク福岡』



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