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国家が国民をいたぶり過ぎると、高速道が倒壊するの法則。

どんなに構造計算が精緻になされていようとも、しかし、実際には建築は現場の関係者全員の誠実の上に成り立っています。もしも誠実が失われれば、建造物は崩壊してしまい、多くの人の命が失われてしまう。



2024年5月1日、中国・広東州で高速道路が突然崩壊し、24人の死者が確認されています。

なんて怖ろしいことでしょう! 儒教や老荘思想を生み、文学者・魯迅を育て、雅な音楽を作り上げて愛し、はたまた餃子にシウマイ、青椒肉絲、 酢豚、フカヒレスープそのほか夢のように立派な料理体系を築き上げたかの地であるというのに。


しかも、2015年にも同じく広東州で同様の事故が起こっていて。広東省と江西省を結びインターチェンジが突然崩壊、走行中のトラックが次々と奈落の底へ転落してゆきました。



いまの中国情報に親しんでいる人はみんなおもうことでしょう、「中国共産党はあまりにも人民をいじめ過ぎだからこういう事故が起こるんだよ。」もちろんそれは真実ではあるでしょう。実際、中国経済は悲惨なことになっていて、失業者続出、高学歴プアも社会的問題になっています。



しかし、日本とてかつて同様の事故は起こっていて。1995年の関西淡路大震災で、高速道路の東灘区深江地区で635mにわたって17基の橋脚が倒壊した。倒壊した橋桁のなかにはあろうことか木切れが混じっていた! ふて腐れた土木作業員が「ったくよぉ、こんな糞な仕事やってられっかよ。儲かってウハウハなのはゼネコンの連中だけ。おれたちは安月給で来る日も来る日も糞仕事! ざけんじゃねーよ!」とおもいあまって、生コンのなかに木切れを投げ込んだ光景が目に浮かびます。構造計算は木切れが投げ込まれる可能性を考慮できません。



また、事故の起こる可能性には別の道筋もあって。地震大国日本では、建築基準法によって構造計算は厳格に定められていて、たいへん厳しく数値が定められています。しかし、逆に言えば、違法ながら多少基準を下回って建造物を建てたとしてもよほどのことがない限り建造物はびくともしない。鉄骨の数を5%減らすくらいならば? しかも出来上がった建造物のなかに鉄骨が何本入れてあるかなど、言い当てられる人は誰もいません。こういう事情があるゆえ誰かが(ほどほどに)悪知恵を働かせたとしても不思議はなく、実際2006年に発覚した姉歯物件がこれに当たります。しかも興味深いことに、2011年東関東大震災において、姉歯物件は一軒たりとも倒れなかった。さすがプロの仕事です!?? もちろん、だからといってけっして姉歯事件は擁護できるものではありませんけれど。



では、いったいどういう与件が人の誠実さを育てるでしょう。それはもちろん道徳教育であり、なお、おおむね宗教の社会的役割でもありますね。一般に日本人は無宗教と見なされがちですが、しかし実際には日本人は(無意識に)仏教道徳を内面化していて。それに対して共産主義国家は共産党がいちばん偉いという社会を作るゆえ、必然的に宗教を抑圧します。しかし、だからと言ってけっしてロシア人が不道徳きわまりないというわけでもなく、ぼくのごくささやかな経験に従うならば、ロシア人にとっては文学が信仰の対象になっているのではないかしら。ドストエフスキー、チェホフ、ゴーゴリ、ブルガーコフ・・・ロシア人ほど文学を愛し大事にしている人びとをぼくは知らない。



実際ぼくは知り合いのキャバクラ経営者のバングラ男に接待されて、諸外国人キャバ嬢で構成された湯島のキャバクラで遊ばせてもらったことがある。印象的だったのは日本語堪能なロシアのキャバ嬢で、ぼくはあろうことか彼女の太腿を撫でることも忘れ、彼女とロシア文学について熱く語り合ったものだ。また、ぼくは神保町のサイゼリヤで、給仕のロシア青年とほんの数分ながらロシア文学を語り合い、かれはぼくに作家ブーニンを読むことを勧めてくれたもの。ぼくの意見では、ロシア人の道徳は文学によって育まれているのではないかしら。



〈国家が国民をいたぶり過ぎると、高速道が倒壊するの法則〉、これね、けっこう深刻な問題ではないかしらん。仏教道徳を内面化している日本人。この麗しい美質がこれからも保持されますように!




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