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BtoBマーケティングのスキルマップと評価基準
このnoteでは私がマネージャーを務めるBtoBマーケティングチームの仕事、評価基準、スキル構築の考え方について共有したいと思います。
このnoteはこんな人にオススメ
「マーケターとして働きたい」って人と出会う事が増えたので、チームの仕事や評価、能力育成に関する事を説明するために整理しました。マーケターになりたい人や、チームのマネージャーにも参考になるかと思います。
【このnoteで書いてること】
・マーケティングチームの業務
・マーケターに必要なスキル
・マーケティングチームの評価基準
マーケティング人材
BtoBでもマーケティングの重要性がだいぶ浸透してきていますが、営業や企画部門からマーケティング担当に任命され、専門知識やスキルを持たない中で活動を初めたという人、相当数いるのではないでしょうか。
実際、私の周りでもマーケティング人材に困っているという事をよく耳にしますので、マーケティングスキルを持った優秀なマーケターはBtoB企業にはなかなか存在しないのが現実では無いでしょうか。
私も少し前まで開発エンジニアで、マーケティングの専門知識は無く「実践しながら学ぶ」ことでスキル習得してきました。今のチームメンバーも全員マーケティング素人。学びながら、壁にぶつかりながら、活動していますので、今回はそんな経験の中で構築してきたチームの活動内容やスキルマップ、評価制度等を共有したいと思います。
なお、私達のマーケティングチームの運用については、以下のnoteをご覧いただくと雰囲気つかめると思います。
前提となるビジネス概要とチームプロフィール
・IT関連の製品、サービスを法人向けに提供しています
・対象のお客様はSMB(Small to Medium Business)
・1商談の売上規模は50〜500万。商談期間は1〜3ヶ月程度
・チーム結成4年でメンバーは14名
・マーケティング専門スキルを持つプロのような人はいません
マーケティングチームの仕事
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「インサイドセールス」「デジタルマーケティング」「広報・PR」の3つのチームで構成され、それぞれ以下の仕事を担当します。
【各チームの仕事内容】
●インサイドセールス
インバウンド対応 / ナーチャリング
ウェビナーフォロー/ ターゲティング
●デジタルマーケティング
Webサイト / オウンドメディア / SEO
コンテンツ制作 /メルマガ / サービス別プロモーション
ウェビナー /自社イベント /展示会/EXPO
事例制作 /販促物 /広告
●広報/PR
プレスリリース / SNS / 教育 / 会社案内
これ以外も、社内の横断プロジェクトに関わることもあるので、業務は多岐にわたります。メンバーはそれぞれ得意領域が異なりますので、能力や希望に合わせて適材適所で担当を決めています。例えば、イベント運営しながらWebサイト運営したり、メルマガ担当しながらオウンドメディア運営やコンテンツ制作のディレクションする、といった感じです。
インサイドセールスは、デジタルマーケティングや広報とは必要なスキルセットが大きく異なるのと、目標の性質も異なるので、チームを跨いでの兼任は難しいかなと思っています。それぞれのチームが定量的な目標(KPI)を持って、月、3ヶ月(クオーター)、半期、1年の単位で数値をチェックしながら活動しています。
【主な目標(KPI)】
●インサイドセールス チーム
・営業への引き渡し商談件数、金額
・引き渡し商談の受注件数、金額
●デジタルマーケティング チーム
・リード獲得数
・セミナー集客数
・Web流入量(PV 等)
・問い合わせ数
・資料DL数
・メルマガ配信数
・ハウスリスト件数
●広報/PR/人事
・プレスリリース数
・SNS活動量
マーケティングスキルマップ
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ご覧の通りマーケティングのスキルはかなり多岐にわたっています。
●幅広い業務をどう捉えるか
A 広い範囲をカバーできるスキル
B 特定の分野に強いスキル
AとBの両方が理想ですが、Aの広い範囲をカバーできる能力を持っている方が、どの企業でも活躍の場がある気がしています。ただ、いきなり広範囲のスキルを持つことは難しいので、Bの数を徐々に増やしていくようなアプローチが良いも思います。例えば、Webデザイン→SEO→ライティングみたいな感じです。その中で得意分野に出会って磨いていけば良いと思います。何れにせよ1つの領域だけでキャリアを上げていくのはインハウスのマーケターでは厳しいです。
マーケティングコンサル、Webサイト制作、SEOや広告運用、といったマーケティング自体を仕事にする場合は特定分野において徹底してスペシャリストになる必要があります。フリーランスもそうですね。
●万能なスキルは「手を動かせること」
「自ら手を動かして何かを作る事」はどんなキャリアでも必ず自分を助けてくれます。だからこそ「パソコン」「資料作り」「ライティング(言語化)」については、高い専門性は要らないので早く得意(好き)になったほうが良いと思います。
【得意になるといい事】
・資料作り。とくに図解
・ライティング。ブログやnote
・プレゼンテーション
・エクセル集計
・Webサイト周りのコーディング
・デザインや動画の制作
●外注の活用方針
初めてトライする業務領域は外注してプロに入ってもらい、ベストプラクティスを学んでから運用することを心がけています。自己流が悪いわけでは無いですが、成功経験を持つ人と仕事をすることがメンバーのスキル育成に欠かせないからです。
リソース都合で制作や運用を委託するのことも必要ですが、プロから得られる「正しいノウハウ」を資産として蓄積させる事が何よりも重要だと考えています。
セオリーは初めは外注。徐々に内製化。かと思います。
評価基準
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マーケティングメンバーの評価は4項目の組み合わせで行っています。
【評価の考え方】
●組織として評価される項目
・会社業績
・マーケティングの成果
●個人として評価される項目
・個人目標
・コンピテンシー
●組織評価
業績の目標達成率とマーケティング活動の事業貢献です。
マーケティングの成果は、目標達成率と定性評価で決めます。
●個人評価
個人がそれぞれ設定した目標とコンピテンシーで評価します。
個人目標は
・組織目標に貢献する内容
・スキルセットを伸ばす内容
を盛り込んでもらい、半期単位でその達成度を上長が判断します。
●コンピテンシー
コンピテンシーは主にメンバーの役職・グレードを決めるためのものです。成果だけで人が人の上に立つというのはダメで、その役職として必要な振る舞いが出来ているのかという事を見るものです。例えば私であれば、どんな高い成果を上げても「マネージャーたる振る舞い」が出来ていなければダメ。という考え方です。マーケティングに限りませんが、多様な人が集まり、それぞれの仕事も、成果の単位も異なるため、コンピテンシーが重要な指標になっています。
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●評価方法について
それぞれの評価は、目標(KPI)の数値等を基準に行いますが、結局は「人が人を評価する」という構図になります。
「人が人を評価する」「人が人を育てる」という事を重んじ、マネージャー職になる人には、相応の人間力が伴わなければならないと思っています。勤務年数や実績だけでなく、日頃の振る舞いが求められるという考え方になります。
マーケティングチームの基本行動指針
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評価とは別に、チームメンバーで意識する行動指針を決めています。
チームで成果をあげる
マーケティングは多様な仕事がありますが、個々の仕事だけで成果が出ることはありません。仕事同士が連動し、パスをつないていく仕事です。例えばうちの基本パターンです。
【マーケティングはパスをつなぐ仕事】
うちのWebサイトが見つかる(Web制作 / SEO対策 / 広告 )
↓
e-bookのダウンロード(コンテンツ制作)
↓
DLしたお客様にメルマガでウェビナー誘致(メルマガ運営)
↓
ウェビナー(ウェビナー運営・動画制作)
↓
お客様フォローで商談化(インサイドセールス)
一つ一つの仕事がつながっている事。そしてつなげる先の事を意識することが「チームで成果を上げる」意識です。
●チームメンバーに具体的に求める行動
8つの具体的な行動指針を決めています。マーケティングに限らず、ビジネスパーソンとして、そしてチームで仕事をする上で、持って置くべきだと思う意識・行動です。それぞれビジネス書などで出てくるものばかりですが、実際にチーム運営で課題だと思ったものです。
●事業への貢献意識
売上、利益への貢献意識を持つこと。マーケティング施策は全て手段と捉え、マーケティングのためのマーケティングにならないようにする。
●圧倒的な当事者意識
主語は常に「お客様」「読み手」「聞き手」で考える。自分たちが発する言葉、やり方、仕組みでその人達が動いてくれるかを考える。
●アウトプットへの責任
修正やチェックしてもらう前提で仕事をしない。自分の制作物、企画、言動(=アウトプット)が世界に出ていくことを意識し、責任を持つ。
●理想やあるべき論から考える
構想や企画段階では理想から考える。理想との乖離(ギャップ)を知ることが大事。そしてできない理由より、出来る方法を考える。
●自らの意思と解を持つ
マーケティングは常に新しいことの連続で、答えも成功もわからないことが多いので、自らの意思で成功を定義する。「どうしたら良いですか?」ではなく「こうしたらどうですか?」という能動的なマインドを大事に。
●仕事と関心事は共有する
チームで成果を上げるために、自分の仕事と自分の気持ちは周囲へ共有する。共有しないものは無いものと同じ。
●隣の人の関心事を知る
チームで成果を上げるために、関係者の目標、モチベーション、感情を知る。例えば営業の関心事は「お客様の価値になるか」「儲かるか」「目標が達成出来るか」であり、リードが欲しいのではない。
●ITで生産性向上を体現する
自分達はITでお客様を幸せにする会社。自らITを使って生産性向上を体現する。誰よりもITを好きになり関心をもつ
マネージャーとして心がけている事
マネージャーの私は、事業戦略、営業戦略を受け、マーケティング戦略を練り、チームや会社全体に浸透させる役割を担います。
またマーケティングの実務においても、グランドデザイン、KPI、運用方針を決めます。また方針決めだけでなく、具体的なオペレーション、運用資料、利用するシステムなど、起ち上げ時はとにかく深く細かく関与して作り上げる事が多いです。運用フェーズに乗るまでの仕組みづくりに責任を持ちトップダウンで実施しているというイメージです。仕組みづくりのフェーズは、成功イメージを持っている人や、意思を持っている人がトップダウンで進めるのが良いと思います。
その中で心がけていることは2点です。
【マーケター視点】
誰よりも「外部環境」や「トレンド」の情報を持つこと
【事業家視点】
マーケティングの成果(数字や成果物)で周りの部門やパートナーとWin Winになる
●営業との距離感
最も大事にしている意識は営業との距離感です。マーケターとして外部環境や市場のトレンドを把握する事は欠かせないですが、それが1番得られるのは自社の営業会議です。営業は新鮮で生きたお客様の情報を持っていますし、マーケティング活動のフィードバックも得られます。
「マーケティングは営業にめんどくさい事を言ってくる組織」と聞くことがあったのですが、その逆「営業にとって嬉しいことをしてくれる組織」でありたいです。
おわりに
チームでやっている仕事、評価制度、心がけてること、等をまとめてみました。マーケティングって広いですが、毎日新しいことが出来るの楽しい仕事ですよね。
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