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組織開発・人材開発~代表的な手法や定義とは~

経営について学んでいます。今回は、組織開発について。経済人モデルから社会人モデルへの変遷。人間関係論、モチベーション理論、どういったものがあるか、まとめていきます。

テイラーが管理原則を科学的管理法にて提唱

経営管理の発展米国のエンジニア、フレデリック・テイラーは、万能職長制度から職能別職長制への移行を提唱しました。従来、一人の職長がすべての計画、管理、執行を担当する万能職長制度が採用されていました。職能別職長制度とは、職長の機能を大きく計画機能と執行機能にわけ、職長の仕事を八分野に分類し、それぞれの仕事を職長に分担させる制度の事をいいます。この職能別職長制度は、専門家の原則に従っています。

テイラーは科学的管理法を提唱。生産現場を科学的に分析し、課業を設定することにより、効率的な管理をする科学的管理法を提唱し、生産現場に近代化をもたらしました。以前は成り行き管理でした。
課業を科学的に決定することを確立するため、4つの管理原則を立てました。
①課業を設定すること
時間研究や動作研究によって、科学的に一日に行う作業量を「課業」として設定し、これに基づいた課業管理をする。
②標準的な条件を設定すること
③課業を達成した労働者には高い賃金で報いること
④課業が達成できなかった労働者には低い賃金にすること
現代の経営管理の基礎を提供、経営工学(IE:Industrial Engineering)の発展の契機となりました。対象が工場の作業に限定されているため、全社的な管理の視点がなく、人間を生産するための機械のように捉えています(経済人モデル)。本来は人間関係や感情があるので考慮が必要です。

人間関係と生産性の因果関係が発見されたホーソン実験

人間関係論とは、人間は人間関係に影響を受けながら行動するという行動科学の考え方。F.J.レスリスバーガーによって提唱された生産性を高めるためには従業員のモラールを高めることが必要なことと、モラールを高めるためには職場の人間関係の改善が必要であることを主旨とする理論のことです。

1924年から1932年にかけて行われたホーソン実験。G.E.メイヨ―らウエスタン・エレクトリック社のホーソン工場で行った作業環境と生産性の関連性に関する一連の実験。照明の明るさや労働時間、休憩時間といったものを変えましたが、作業条件は生産性に影響を与えませんでした。出来高制に変えることも生産性向上にも必ずしもつながりませんでした。
作業環境の改善をしても労働生産性は向上しない。しかし職場の人間関係が労働生産性を向上させる要因となっていることが明らかになり、職場におけるインフォーマル組織の存在が発見されました。

人間は集団に所属することを求め、友情や安定感を望む存在である。つまり「社会人」である、と説いています。人間は公式な組織だけでなく、非公式組織(インフォーマル組織)を形成し、インフォーマル組織が公式組織に大きな影響を与えると主張したのです。これによって経済人モデルから、感情を伴って行動をする社会人モデルへと発展をとげました。しかし、人間の勘定を重視するだけでは生産性は向上せず、個人的な目的をもって自律的に行動する人間を動機付けするには不十分だという問題点は残りました。

モチベーション理論には内容理論と過程理論が存在する

モチベーション理論は内容理論と過程理論に分けられます。
人は何によって動機づけられるのか、行動の結果として得られる成果に対してどのような要因が影響を及ぼしているか。個人を動機付けするのは何か、に着目するものが「内容理論」です。
人はどのようなプロセスで動機づけられるのか、行動はどのように維持されるのか、に注目したものが「過程理論」です。
内容理論には、マズローの「欲求段階説」、マグレガーの「X理論、Y理論」、ハーズバーグの「二要因理論」などがあります。過程理論には、ビクター・ブルームの「期待理論」、マクレランドら「達成動機説」などがあります。

低階層から高次の階層へ マズローの欲求段階説

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アメリカの心理学者アブハム・マズローは、人間の欲求は5段階のピラミッドのように構成されていて、低階層の欲求が満たされると、より高次の階層の欲求を欲するというマズローの欲求段階説を提唱。生きていくための基本的・本能的な欲求である第一次欲求。この欲求が満たされると、安全安心な最低限な暮らしを営みたいとする第二次階層である安全欲求に移ります。安全欲求が満たされると、良好な人間関係や帰属欲求である社会的欲求を求めるようになります。その後周囲から認められたいとする自我、承認欲求が出てきます。そして最後には自己実現欲求が現れます。この階層になると、自分の活動や成長に強い関心を持つようになり、満たされてもさらに高い欲求があらわれます。ある成果に達しても次を求める自己実現欲求の階層です。

人間行動モデルへの経営管理へ X理論Y理論

アメリカの心理・経営学者ダグラス・マクレガーはX理論Y理論を提唱。人間は生来怠け者で仕事が嫌い。強制されたり命令されなければ仕事をしないとするX理論と、生まれながらに嫌いということはなく、条件次第で責任を受け入れ、自発的に責任を取ろうとするY理論とがあるとその理論を構築しています。X理論を前提として従来の経営管理から、上位の欲求を持つ人間行動モデルであるY理論を前提とした自主管理、従業員参加制度、能力開発などを含んだ経営管理に変更すべきであるとしました。

職務充実に務めるべき 二要因理論

アメリカの臨床心理学者、フレデリック・ハーズバーグが提唱した二要因理論。動機づけ衛生理論ともいわれます。職務に対する満足と不満は、異なる二つの要因によって生じるが、組織の人々の満足を高めるために、動機付け要因を充足させ、職務充実(ジョブ・エンリッチメント)に務めるべきである、としました。職務充実とは、仕事の計画や判断など責任と権限を拡げることで、仕事を質的に充実させること、職務の垂直的な拡大のことです。

職務拡大をすべきである 未成熟・成熟理論

アメリカの経営学者クリス・アージリス。アージリスは、マズローが提唱した欲求5段階説の根底にある「人は自己実現に向けて絶えず成長する存在である」という考え方を職場環境にあてはめ、研究を行いました。未成熟・成熟理論を提唱。人間は未成熟の段階から成熟していく存在であるので、組織は人間の成長を妨げないように、職務拡大(ジョブ・エンラージメント)をすべきであるといいました。職務拡大とは、仕事の範囲を拡大することで、従業員に成長の実感を与えること、職務の水平的な拡大のことです。

目標達成後の何らかの報酬 期待理論

経営学・心理学教授のビクター・ブルームが提唱した期待理論。目標への道筋が明確化されていることを前提に、目標達成後に何らかの報酬が得られるという確信があれば、積極的な努力に結び付く、動機付けとなるとしています。給与といったことに限らず尊敬なども含んだ報酬の期待価値が得られる可能性、努力すれば得られる可能性が高いか否か。得られる報酬が大きいほど満足度に繋がります。努力したとしても成果に繋がる確率が低い場合にはモチベーションは低下します。

何かをやり遂げたいという気持ち 達成動機説

アメリカの心理学者デイビッド・C・マクレランド、ジョン・ウイリアム・アトキンソンらが提唱した達成動機説。人が何かをやりとげたいという気持ちを達成動機と名付けました。人は目標を達成するために行動を起こし行動を続けるのだと考えました。高い達成動機をもつ人は、自身の手で行うことを好み、 中程度のリスク(リスク50以上)を好み 、迅速なフィードバックを欲しがるとしています。



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