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静 霧一/小説
2020年10月9日 22:32
睡蓮に喰われる夢を見た。 睡蓮の蔦が私を縛りつけ、濁った水面へと私を引きづり込んでゆく。 静かに沈んでいく様に何の抗いも持たず、ただただ目を瞑って流れゆくままに身を任せた。 半身で感じた水の温度は、感覚を狂わせるほどに冷たい。 光の届かぬ睡蓮の下で、淀んだ水を肺に詰めながら泥のたまる水底に背中をつける。 意識が遠のき、ちょうど肺から最後の気泡が漏れ出した瞬間、私はその夢から引き揚げ