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#読書の秋2020

そうは言っても、この邦題は…w:読書録「『グレート・ギャツビー』を追え」

そうは言っても、この邦題は…w:読書録「『グレート・ギャツビー』を追え」

・「グレート・ギャツビー」を追え
著者:ジョン・グリシャム 訳:村上春樹
出版:中央公論新社

「フィッツジェラルド絡みとはいえ、グリシャムを村上春樹が訳さなくても」
とは思ったんですが、最近のグリシャムだと日本じゃあんまり話題にならないかな?
そういう意味じゃ、「村上春樹訳」ってのは大きな「売り」になるんでしょうね。
読んでみれば面白いのは確かですし。

作品としてはグリシャムっぽいミステリー/

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トレーニングは大事やな:読書録「犬がいるから」

トレーニングは大事やな:読書録「犬がいるから」

・犬(きみ)がいるから
著者:村井理子
出版:亜紀書房

我が家でも犬を飼うようになったんで、なんとなく「雰囲気」を感じておきたくなって衝動買いw。
琵琶湖畔でラブラドール・レトリバー(ハリー)を飼う翻訳家の作者による、写真付きのエッセイ本です。

カバーしてる期間は、月齢3ヶ月〜1年の期間かな。
もちろん「仔犬」なんですが、あっという間にデカくなって、作者を振り回すようになります。
そのドタバタ

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「デジタル化後進国」として、リープフロッグできるのか?:読書録「デジタル化する新興国」

「デジタル化後進国」として、リープフロッグできるのか?:読書録「デジタル化する新興国」

・デジタル化する新興国 先進国を超えるか、監視社会の到来か
著者:伊藤亜聖
出版:中公新書(Kindle版)

コロナ禍の中で、日本の行政・統治機構の致命的なまでのアナログっぷりが露わになって、菅政権成立後、「デジタル化」の流れが加速しているように見えます。
まあ、河野大臣のリーダーシップと方向づけは今の所は「なかなかのもの」といっても良いんじゃないでしょうか?

もっとも「デジタル化」は「脱ハン

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お互い引越しできないお隣さん同士:読書録「教養としての『中国史』の読み方」

お互い引越しできないお隣さん同士:読書録「教養としての『中国史』の読み方」

・教養としての「中国史」に読み方
著者:岡本隆司
出版:PHP

これは良書。
単に「中国史」を解説してる本じゃなくて、「現在の中国」を念頭に置いて、「どうして現在の中国が今のような性格の国家となっているのか」という点を遡って解説する内容になっています。
まあ、ぶっちゃけ「あってるの?それ」って話ではあるんですが(誰もそれを証明することはできないでしょうw)、
「なるほどな〜」
と納得感はありまし

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ホント、頭が下がります。:読書録「知られざる皇室外交」

ホント、頭が下がります。:読書録「知られざる皇室外交」

・知られざる皇室外交
著者:西川恵
出版:角川新書(Kindle版)

もともと昭和天皇・上皇・皇室には僕は敬意を持ってるんですが、改めて現在の皇室のあり方について認識を深めることができる作品です。
読んでて、何度か胸が熱くなることも…。
どっちかって言うと、僕はリベラル寄りなんですけどねw。

読むきっかけはちきりんさんのツイッターとブログ。

2018年にちきりんさんが書かれたブログを引用ツイ

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パンクでカジュアルな投資スタイル…かな?:読書録「くそつまらない未来を変えられるかもしれない投資の話」

パンクでカジュアルな投資スタイル…かな?:読書録「くそつまらない未来を変えられるかもしれない投資の話」

・くそつまらない未来を変えられるかもしれない投資の話
著者:ヤマザキOKコンピュータ
出版:タバブックス(Kindle版)

僕自身は金融の「投資」に関しては、個別株はほとんどやってなくて、積み立ての投資信託をチョボチョボって感じです。
それ自体を大きく変える気もないし、余裕もないんですがw、「投資」という考え方には興味があって、チョコチョコそこら辺の本は読んだりもしています。

本書はひふみの藤

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歳取って気が短くなってきたからなぁ。「極端な人」にならんようにせんと。:読書録「正義を振りかざす『極端な人』の正体」

歳取って気が短くなってきたからなぁ。「極端な人」にならんようにせんと。:読書録「正義を振りかざす『極端な人』の正体」

・正義を振りかざす「極端な人」の正体
著者:山口真一
出版:光文社新書

ネット上で「正義」を振りかざして、結果として「誹謗中傷」や「フェイクニュース」を垂れ流してしまう<極端な人>。
こういった人が、実際には極めて少人数しかいないことは、すでにいくつかの研究・書物で明らかにされています。
ただ「極端な人」はとにかく大量に「発信する」。
結果として、中庸な意見を持つ人はネット空間に辟易としてしまい

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いい感じでおさまってるんですが…:読書録「後宮の烏」

いい感じでおさまってるんですが…:読書録「後宮の烏」

・後宮の烏
著者:白川紺子
出版:集英社オレンジ文庫

本屋で見かけた時、息子が「読みたかった」と言ったら、妻も「図書館ボランティアの友人から薦められた」と言うので、購入してみました。
僕もちょっと気になってたんですよね。

たしかに面白いといえば、面白い。

テイスト的には「薬屋のひとりごと」に近い感じでしょうか。
(最近、僕はあっちの方は原作より、コミックスの方を読んでるんですけど)
中華系の

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アメリカのポップミュージックから、「アメリカの今」が見える:読書録「ディス・イズ・アメリカ」

アメリカのポップミュージックから、「アメリカの今」が見える:読書録「ディス・イズ・アメリカ」

・ディス・イズ・アメリカ 「トランプ時代」のポップミュージック
著者:高橋芳朗 編:TBSラジオ
出版:スモール出版

2014年から20年にかけて、TBSラジオの色んな番組で高橋芳朗さんが特集した「アメリカの音楽シーン」に着いての放送を整理した作品。

BLMから(BLM自体はトランプ登場前からの運動です)、トランプ登場、#Me Too、LGBTQ運動、多様性・包括性、ボディポジティブ、コロナ…

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今のところ程よい「重さ」ですが、不穏な気配もw:読書録「P分署捜査班 集結」

今のところ程よい「重さ」ですが、不穏な気配もw:読書録「P分署捜査班 集結」

・P分署捜査班 集結
著者:マウリツィオ・ジョバンニ 訳:直良和美
出版:創元社推理文庫(Kindle版)

めっきり重くなっちゃった「特捜部Q」(しつこいw)と、コメディ感があって軽妙な「パリ警視庁迷宮捜査班」。
ナポリを舞台にした本作は、「その中間」…ってとこでしょうか?
はみ出し者が集まってチームになって事件を解決する…って構図は共通するんですが。

作者はイタリア版「87分署」を狙ってるら

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ガチなミステリーというよりは、コメディ寄りの楽しい物語って感じ:読書録「パリ警視庁迷宮捜査班 魅惑の南仏殺人ツアー」

ガチなミステリーというよりは、コメディ寄りの楽しい物語って感じ:読書録「パリ警視庁迷宮捜査班 魅惑の南仏殺人ツアー」

・パリ警視庁迷宮捜査班 魅惑の南仏殺人ツアー
著者:ソフィー・エナフ 訳:山本知子、山田文
出版:ハヤカワ・ミステリ(Kindle版)

邦題がもう、「コメディ」寄りw。

はみ出し者を集めた特別班といえば「特捜部Q」シリーズですが、あっちがどんどんシリアスになってるのに比べたら、こっちは(各メンバー、いろんな悩みを抱えてるんですが)スラップスティックまでは行かないけど、かなりコメディ色が強い仕上

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鑑賞の一つの「尺度」として、面白かったです:読書録「絵を見る技術」

鑑賞の一つの「尺度」として、面白かったです:読書録「絵を見る技術」

・絵を見る技術 名画の構造を読み解く
著者:秋田麻早子
出版:朝日出版社

絵画鑑賞に関しては僕は完全に「感覚派」(言い換えれば、「何も考えずに見る」w)なんですけど、そう言うスタンスでも、
「なるほどね〜」
って感心させられました。
「感覚派」とか言いながら、美術館では結構「音声解説」を使ってるんで、絵の描かれた背景とかは割とインプットされてるんですよね。
それよりもこういう見方っていうのは、よ

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