マガジンのカバー画像

626
運営しているクリエイター

2020年6月の記事一覧

これはナカナカ整理しづらい本…:読書録「国のために死ねるか」

これはナカナカ整理しづらい本…:読書録「国のために死ねるか」

・国のために死ねるか 自衛隊「特殊部隊」創設者の思想と行動
著者:伊藤祐靖
出版:文春新書(Kindle版)

「邦人奪還」を読んで、先立つ著作を読んでみたくなりまして…。
まあ本書の評判は以前から聞いてはいたんですけどね。

「題名がムチャ<右>っぽいけど、中身は全然違う」

「邦人奪還」もそうですが、<右翼>でも<軍事マニア>でもなく、リアリズムに支えられた、それでいて思想性もありつつ、自分自

もっとみる
フツーに面白い:読書録「合理的にあり得ない」

フツーに面白い:読書録「合理的にあり得ない」

・合理的にあり得ない 上水流涼子の解明
著者:柚月裕子
出版:講談社文庫

読むなら映画化された「孤狼の血」あたりがいいのかもしれませんが、なんかチョット重そうな感じがしたんでw、ここら辺から。
罠に嵌められて弁護士資格を剥奪された美人探偵と、東大&IQ140の天才助手が活躍する短篇集(5作)です。
期待通り、「軽く」読めましたw。

「探偵と助手」なんですけど、事件そのものは「推理で解決」という

もっとみる
現場の矜恃を「政治」が押し潰す:読書録「邦人奪還」

現場の矜恃を「政治」が押し潰す:読書録「邦人奪還」

・邦人奪還 自衛隊特殊部隊が動くとき
著者:伊藤祐靖
出版:新潮社

元・自衛隊特殊部隊員の著者が描く近未来シミュレーション。
「尖閣島」を巡る「中国」との暗闘を序章として、北朝鮮でのクーデター騒動の最中、危機にさらされた拉致被害者の「奪還作戦」を遂行する陸海の自衛隊特殊部隊の活躍を描きます。

まあ、特殊部隊を立ち上げたご本人が描く話ですからね。
リアリティはたっぷり。
序章となる「尖閣島」での

もっとみる
まだそこまで怖くない:読書録「ゴーストハント1  旧校舎怪談」

まだそこまで怖くない:読書録「ゴーストハント1 旧校舎怪談」

・ゴーストハント1 旧校舎怪談
著者:小野不由美
出版:角川文庫

そもそもは「十二国記」の新作(白銀の墟玄の月)読もうかなぁと思ってたんですよね。
ただ4巻もあるし、シリーズの流れもスッカリ忘れちゃってるし、じゃあ読み返すとすると、これまた沢山読まなきゃいけないし…
と逡巡してるところに見つけたのがコレ。
小野不由美のデビュー作。
ティーンズ文庫で出版されて(それで2、3作読んだはず)、その後

もっとみる
イスラム教の勉強として:読書録「ムハンマド」

イスラム教の勉強として:読書録「ムハンマド」

・ムハンマド  世界を変えた預言者の生涯
著者:カレン・アームストロング  訳:徳永里砂
出版:国書刊行会

出口治明さんの著作を読んで、「もうちょいイスラム教について勉強せんとな」と思って手に取った作品。(出口さんの紹介本です)
宗教学者がイスラム教の創始者「ムハンマド」について、その生涯と教義を重ねながら描いた作品です。

<9.11以降、一部の欧米メディアはムハンマドを救いがたい戦争中毒者だ

もっとみる
長いシリーズには向かないですね:読書録「変幻」

長いシリーズには向かないですね:読書録「変幻」

・変幻
著者:今野敏
出版:講談社文庫(Kindle版)

「同期」「欠落」と続いてきた「同期」シリーズの最終巻。
2作目まで読んで、3作目が出版されたのを見落としてたんですが、amazonのキャンペーンの中で見つけて購入。
捜査一課・公安・特殊班に配属された同期(最初は二人。2作目からもう一人加わる)が、仲間が巻き込まれた事件を、協力しながら解決する…という内容。

…なんだけど、ちょっ

もっとみる
生産性の高い「Lの世界」を日本に根付かせるために:読書録「コープレート・トランスフォーメーション」

生産性の高い「Lの世界」を日本に根付かせるために:読書録「コープレート・トランスフォーメーション」

・コーポレート・トランスフォーメーション 日本の会社をつくり変える
著者:冨山和彦
出版:文藝春秋(Kindle版)

コロナ禍において、いち早く「afterコロナ」を視野に入れた著作「コロナショック・サバイバル」を出版した作者が、「本編」と位置付けて続けて出版した続編。
前作では「コロナ禍」によって社会・経済が足元どうなるか、その最中にどうすべきか…と言う「緊急対策」的な話が論じられていました。

もっとみる
逃げ切り世代の挽歌…って雰囲気も:読書録「ワイルドサイドをほっつき歩け」

逃げ切り世代の挽歌…って雰囲気も:読書録「ワイルドサイドをほっつき歩け」

・ワイルドサイドをほっつき歩け ハマータウンのおっさんたち
著者:ブレイディみかこ
出版:筑摩書房

「労働者階級の反乱」(光文社新書)で、
労働者階級のEU離脱への賛同は、「移民問題」よりも、緊縮財政が続いて社会福祉制度が貧弱化し、新自由主義のよって相対的に貧しくなったことへの「異議申し立て」の側面が強かった
…と言うことを、自分のパートナーを含めた身の回りのベビーブーマー世代のおっさんたちの姿

もっとみる
揺り戻しが来てる感じもあります:読書録「グローバル資本主義vsアメリカ人」

揺り戻しが来てる感じもあります:読書録「グローバル資本主義vsアメリカ人」

・グルーバル資本主義vsアメリカ人
著者:篠崎匡
出版:日経BP

コロナ禍からBlack Lives Matter に大揺れしているアメリカ合衆国の現状を再勉強してみようと思って購入した作品。
山本一郎さんのブログからピックアップしましたw。

「日経ビジネス」電子版で連載した作品をまとめたもので、大所高所から「アメリカ」を語ると言うよりも、個人のエピソードに寄り添いつつ、それを描く中から(作者

もっとみる
Tシャツ、好きなんですけどね:読書録「村上T」

Tシャツ、好きなんですけどね:読書録「村上T」

・村上T 僕の愛したTシャツたち
著者:村上春樹
出版:マガジンハウス

村上春樹が持っているTシャツを写真で紹介しつつ、まつわるエピソードを綴る…と言うだけの一冊。
特に何かドラマチックな事件が起こるわけでもないし、なんらかの「人生哲学」をここから引き出せる…ってもんでもないです。
こう言う本、好きですw。

僕もTシャツは好きで、一時期は随分と持ってたんですが、今はほとんど処分してしまいまし

もっとみる
「初の人生指南」って売りだけど、基本はいつも通りw:読書録「還暦からの底力」

「初の人生指南」って売りだけど、基本はいつも通りw:読書録「還暦からの底力」

・還暦からの底力 歴史・人・旅に学ぶ生き方
著者:出口治明
出版:講談社現代新書(Kindle版)

stay home用に購入(DL)した作品。
「還暦」にはまだありますが、「準備期間」も必要でしょうしw。
…とか言って、結局読んだのは緊急事態宣言明けなんですけどね。

まあ、基本的にはいつもの出口節です。
「人・本・旅」
で、還暦を迎える人へのメッセージとしては、
「人生100年時代。生涯現役

もっとみる
お気楽に:読書録「ミステリなふたり あなたにお茶と音楽を」

お気楽に:読書録「ミステリなふたり あなたにお茶と音楽を」

・ミステリなふたり あなたにお茶と音楽を
著者:太田忠司
出版:創元推理文庫

「氷の女王」の異名を持つ敏腕女刑事(警部補)と、その夫でイラストレーター兼主夫のコンビによる短編推理シリーズ。
このシリーズは息子が気に入ってます。
多分、4作目。
まあ、特に「続き」じゃないんで、順番はどうでもいいんですがw。
(なぜか幻冬舎と創元社からそれぞれ出版されています)

7つの短編が収められていて、それぞ

もっとみる
ワンス・アポン・ア・タイム…:読書録「ブルックリン・フォリーズ」

ワンス・アポン・ア・タイム…:読書録「ブルックリン・フォリーズ」

・ブルックリン・フォリーズ
著者:ポール・オースター 訳:柴田元幸
出版:新潮文庫

本書を読む気になったのは、主人公が「60歳」間近の同年代だった…と言うのがあって。
「久しぶりに、ポール・オースターでも読んでみるか」
と店頭で思ったんですが、考えてみたら僕が読んだことのあるオースター作品は「幽霊たち」のみ。
しかも全然内容忘れてるしw。

まあでも面白かったですよ。
<幸福感あふれる>って帯に

もっとみる
語りえぬものについて、ひとは沈黙しなければ…:読書録「哲学と宗教全史」

語りえぬものについて、ひとは沈黙しなければ…:読書録「哲学と宗教全史」

・哲学と宗教全史
著者:出口治明
出版:ダイヤモンド社

消費税増税前に買い溜めした本の一冊。
今まで「積読」状態でしたが、stay homeで時間ができたので、手にとってみました。

感想をひと言で言えば、
「思ってたより、面白かった!」

宗教が生まれる前、「言葉」の誕生から語り始めて、最古の宗教「ゾロアスター教」から、ギリシャ哲学、中国哲学、仏教、ユダヤ教・キリスト教・イスラム教、中世哲学(

もっとみる