マガジンのカバー画像

書記の読書記録まとめ

1,291
今までに読んだ本についてのレビュー。 ブクログ:https://booklog.jp/users/9512a62a15b04973
運営しているクリエイター

2023年2月の記事一覧

書記の読書記録#796『スピーカー技術の100年』(全4巻)

佐伯 多門『スピーカー技術の100年』(全4巻)のレビュー レビュースピーカーの発展について蒐集した本で,豊富な写真と図によりまとめられている。現在の技術に至るまでの過程を知ることも重要であろう。 もくじⅠ 黎明期~トーキー映画まで カラー口絵 スピーカー技術の100年を彩る歴史的スピーカー 第1章 スピーカーの誕生 1-1 スピーカー誕生への序奏 ほか 第2章 スピーカーの電気音響変換機構の種類とその基本動作の概要 2-1 電気音響変換機構の種類 2-2 電磁型ス

書記の読書記録#795『ミクロ経済学入門』(麻生)

麻生良文『ミクロ経済学入門』のレビュー レビューレベル感としては奥野『ミクロ経済学』と同程度で,モデルを用いた説明に一貫性がある。 もくじはしがき  第Ⅰ部 ミクロ経済学入門 第1章 経済学入門  1.1 経済学とは何か  1.2 市場の機能 第2章 消費者余剰と生産者余剰  2.1 消費者の利益と生産者の利益  2.2 需要曲線と消費者余剰  2.3 限界便益と総便益  2.4 供給曲線と生産者余剰  2.5 限界費用と供給曲線  2.6 社会的余剰  2.7 社

書記の読書記録#794『無理数の話 √2の発見から超越数の謎まで』

ジュリアン・ハヴィル(訳;松浦俊輔)『無理数の話 √2の発見から超越数の謎まで』のレビュー レビュー無理数を題材にした読み物で,歴史順に沿っていて読みにくい点はあるが中には高度な解析的整数論の話題も含まれている。 もくじ第1章 ギリシアでの始まり 第2章 ドイツへの道 第3章 二つの新しい無理数 第4章 新旧の無理数 第5章 非常に特殊な無理数 第6章 有理数から超越数へ 第7章 超越数 第8章 連分数再び 第9章 ランダムさについての疑問と問題 第10章 一つの問いに三

書記の読書記録#793『量子論の基礎―その本質のやさしい理解のために』

清水 明『量子論の基礎―その本質のやさしい理解のために』のレビュー レビュー多くの入門書にある歴史順に進めるものとは異なり,いくつかの公理から始めるタイプの教科書。入門レベルでは厳しいが,一通り量子力学の計算をしたのであれば,本書が量子力学の体系を整理してくれると思う。 もくじ第1章 古典物理学の破綻 第2章 基本的枠組み 第3章 閉じた有限自由度系の純粋状態の量子論 第4章 有限自由度系の正準量子化 第5章 1次元空間を運動する粒子の量子論 第6章 時間発展について 第

書記の読書記録#792『はじめてのアナログ電子回路 基本回路編』

松澤 昭『はじめてのアナログ電子回路 基本回路編』のレビュー レビュー電子回路の教科書の中では分かりやすさに重視している方だと思う。事前知識として電気回路の基本と古典制御を学習しておくと効率が良い。 2023/12/03追記: 改めてアナログ電子回路の参考書を読んだところ,本書で要する数学のレベルは高い方で,電子回路を組むだけなら不要と感じる人もいるだろう。数式から理解したい人であれば,物性物理の具体例として読むのが良いと思う。 もくじ第1章 序論 第2章 電気回路解

書記の読書記録#791『群論の基礎 (基礎数学シリーズ)』

永尾 汎『群論の基礎 (基礎数学シリーズ)』のレビュー レビュー群論のスタート地点から表現論の手前までをコンパクトにまとめた教科書で,理解度を確認するには良い。 もくじ1 集合と写像 2 群の概念 3 部分群・剰余類 4 正規部分群・剰余群 5 直積・組成列 6 アーベル群 7 有限群 8 一次変換群・表現論 本記事のもくじはこちら:

書記の読書記録#790『第2版 シュッツ 相対論入門 ハードカバー版』

Bernard Schutz(訳:江里口 良治,二間瀬 敏史)『第2版 シュッツ 相対論入門 ハードカバー版』のレビュー レビュー体感的な中身の割合は「特殊相対論:一般相対論:天文学への応用=1:4:5」くらい,アインシュタイン方程式が半分くらいに位置する。 もくじ1 特殊相対論  1.1 特殊相対論の基本原理  1.2 慣性観測者の定義  1.3 新しい単位系  1.4 時空間  1.5 別の観測者による座標系  1.6 間隔の不変性  1.7 普遍双曲線  1.8 重

書記の読書記録#789『初めて学ぶ人のための群論入門』

横田 一郎『初めて学ぶ人のための群論入門』のレビュー レビュー加群→群論という一見イレギュラーな進行に見えるが,加群の説明の多くが群論で学習するようなことで,終盤のアーベル群の基本定理からは加群ならではの範囲となる。一度新妻『群・環・体入門』や雪江『代数学1 群論入門』などで群論を学習してから,本書で具体例を通して整理するといった使い方が良さそう。 もくじ加群/直和/部分加群,準同型写像/加群の同型/剰余加群/ 準同型定理/完全系列/行列の基本変形/ Abel 群の基本定

書記の読書記録#788『薬対論: 生薬二味の組み合わせからひも解く中医薬方と日本漢方』

陳 維華,徐 国龍,張 明淮『薬対論: 生薬二味の組み合わせからひも解く中医薬方と日本漢方』のレビュー レビュー方剤を考えるにあたり,生薬単味について学習した後は本書や『中医対薬―施今墨の二味配合』などで2味の組み合わせを学習するのがいいだろう。補遺には方剤に含まれる2味がまとめられており,辞書としても使いやすい。 もくじ薬対論:原著日本語翻訳 1.生薬をなぜ組み合わせるか  1 薬対とは  2 薬対と単味生薬  3 薬対と方剤  4 薬対の組み合わせ   4-

書記の読書記録#787『群論 NBS (日評ベーシック・シリーズ)』

榎本 直也『群論 NBS (日評ベーシック・シリーズ)』のレビュー レビュー群論のうち,「群の集合への作用」を重視した新目の教科書。主に表現論を目標とした構成。 もくじ第1章 変換の集まりから「群」の概念へ  1.1 回転と線対称移動の行列表示  1.2 n文字の置換  1.3 一次分数変換  1.4 体の自己同型と根の置換 第2章 群と部分群  2.1 群の定義  2.2 部分群  2.3 一般線型群とその部分群  2.4 対称群と交代群  2.5 ZNとZ×N

書記の読書記録#786『群論,これはおもしろい ―トランプで学ぶ群― (数学のかんどころ 16)』

飯高 茂『群論,これはおもしろい ―トランプで学ぶ群― (数学のかんどころ 16)』のレビュー レビュー「トランプのシャッフル」を主な題材としたもので,群論の要点を軽く流す構成となっている。なお,この手の問題が2002年東大理系で出題されている。 もくじ第1章 トランプと群 1.1 カードを切る 1.2 数の合同 1.3 ある半群 1.4 2n枚のときのシャフリング 1.5 群の定義 1.6 群の基本性質 1.7 指数法則 1.8 第2指数法則 1.9 加法群 1.10 

書記の読書記録#785『生存時間解析入門 原書第2版』

デビッド ホスマー,スーザン メイ,スタンリー レメショウ『生存時間解析入門 原書第2版』のレビュー レビュー生存時間解析の教科書のうち,理論は簡単な説明で済ませ多くの実践例の吟味を行なっているもの。 もくじ第2版の序文 第1章 生存時間解析とは 第2章 生存時間データの記述法 第3章 比例ハザードモデル 第4章 比例ハザードモデルによる結果の解釈 第5章 モデル構築 第6章 モデルの妥当性評価 第7章 比例ハザードモデルの拡張 第8章 パラメトリック回帰モデル 第9章 

書記の読書記録#784『相対性理論30講』

戸田 盛和『相対性理論30講』のレビュー レビュー特殊相対性理論と一般相対性理論が大体半分ずつ解説されている。理論に必要な最低限の知識を少しずつ身につけていく進行で,基準にしやすい機能。 もくじ1. 光の速さ 2. 時間 3. ローレンツ変換 4. 速度の合成則 5. 運動量の保存と質量 6. 質量とエネルギー 7. 特殊相対論的力学 8. 4元ベクトル 9. 4元運動方程式 10. 保存法則 11. 加速度運動 12. 光のドップラー効果 13. 電磁場の変換 14. 

書記の読書記録#783『量子化学 II: 分子学理解のための20章』

中田 宗隆『量子化学 II: 分子学理解のための20章』のレビュー レビュー分光学について簡単にまとめられた教科書で,量子化学との関連性を重視している。 もくじ水素原子の発光スペクトル/多電子原子の発光スペクトル/原子スペクトルと電子スピン/原子スペクトルと合成角運動量/分子の電子吸収スペクトル/電子吸収スペクトルと溶媒効果/分子の発光スペクトル/発光スペクトルと電子スピン/ラマン散乱スペクトルと分子振動/ラマン散乱スペクトルと分子の形/赤外吸収スペクトルと分子振動/赤外