マガジンのカバー画像

書記の読書記録まとめ

1,291
今までに読んだ本についてのレビュー。 ブクログ:https://booklog.jp/users/9512a62a15b04973
運営しているクリエイター

2022年5月の記事一覧

書記の読書記録#504『解くための微分方程式と力学系理論』

『解くための微分方程式と力学系理論』のレビュー レビュー前半は求積法についてで,線形微分方程式の解法はやや詳しい。後半の力学系の話題は専門性が高い。 もくじ1 階の微分方程式/ 2 階の線形微分方程式(同次形) / 2 階の線形微分方程式(非同次形)/高階の線形微分方程式/線形微分方程式系と行列の指数関数/変数分離法/線形力学系の相図/非線形力学系の相図/ベクトル場の流れ/ベクトル場の標準形/ 1 次元力学系の分岐/くりこみ群の方法/中心多様体/周期軌道の分岐/離散力学系

書記の読書記録#503『宣教のヨーロッパ-大航海時代のイエズス会と托鉢修道会』

佐藤 彰一『宣教のヨーロッパ-大航海時代のイエズス会と托鉢修道会』のレビュー レビュー宗教改革や大航海時代を背景とした,カトリック勢力の世界的な拡大についての概説。同シリーズの他著に比べると自説が薄いが,特に読みにくさは感じなかった。 もくじ第1章 燃えさかる宗教改革の火の手 第2章 カトリック改革とトレント公会議 第3章 イエズス会の誕生と成長 第4章 托鉢修道会の動き―フランチェスコ会とドミニコ会 第5章 イエズス会のアジア進出 第6章 新大陸のキリスト教化 第7章 

書記の読書記録#502『詳説薬剤経済学―次世代に向けた医療経済学・地域医療学』

恩田光子,砂川雅之,森脇健介,柳澤振一郎『詳説薬剤経済学―次世代に向けた医療経済学・地域医療学』のレビュー レビュー薬剤経済学とは,医療経済学のうち薬物治療に特化した分野である。本書は経済学以外にも薬事法規やOTC薬の概要についてもまとめられている。 もくじ第1章 なぜ薬剤師が薬剤経済学を学ぶのか 第2章 社会保障制度における医療・介護保険制度の位置付け 第3章 医薬品市場と流通,後発医薬品の役割 第4章 診療報酬・調剤報酬,療養担当規則 第5章 薬剤経済分析の方法と実施

書記の読書記録#501『ランダムウォークと確率解析―ギャンブルから数理ファイナンスへ』

藤田 岳彦『ランダムウォークと確率解析―ギャンブルから数理ファイナンスへ』のレビュー レビュー本書のほとんどはランダムウォークに基づく離散的な系についての議論で,高度な解析学の知識を要さない点が特徴。竹居『入門確率過程』よりは難しいが,手を動かす効果は十分にありそうである。 もくじ第1章 ランダムウォークの定義と“red and black” 1.1 ランダムウォークの定義と基本性質 1.2 ランダムウォークのパスとそれが決める確率変数 第2章 コルモゴロフの確率空間と

書記の読書記録#500『贖罪のヨーロッパ - 中世修道院の祈りと書物』

佐藤 彰一『贖罪のヨーロッパ - 中世修道院の祈りと書物』のレビュー レビュー5世紀から12世紀,ベネディクト戒律〜カロリング・ルネサンス〜シトー派の誕生についての社会史を扱う。世界史では目立ちにくい領域を拾い上げてくれる。 もくじ第1章 ヨーロッパにおける修道制の崩芽 第2章 ベネディクト戒律の普及 第3章 フランク国家におけるアイルランド修道制の展開 第4章 欲望の克服から魂の贖罪へ 第5章 修道院の経済活動 第6章 筆写による古典作品の保存と写本制作 第7章 学知の

書記の読書記録#499『ストラング:微分方程式と線形代数』

ストラング ギルバート(訳:渡辺 辰矢)『ストラング:微分方程式と線形代数』のレビュー レビュー世界標準MIT教科書シリーズの一つ。求積法の説明は応用例が少し多いだけであとは普通。線形代数は同著者『線形代数イントロダクション』とほぼ同様だが,連立微分方程式や偏微分方程式への接続に重視。 意欲的な構成ではあるが1冊の教科書としては使いにくいため,補足として参照する程度で。 もくじ1.1階常微分方程式 2.2 階常微分方程式 3.図的および数値的方法 4.連立一次方程式と逆

書記の読書記録#498『禁欲のヨーロッパ - 修道院の起源』

佐藤 彰一『禁欲のヨーロッパ - 修道院の起源』のレビュー レビュー前半は古代ギリシア・ローマにおける禁欲に至る要素についての解説。当時の法体制および医学との関係が興味深い。後半は古代から中世までの修道院の成り立ちについて,これは神学の実践の系譜と捉えられるだろう。 もくじ第1部 古代の禁欲心性と史的系譜(古代ギリシアとローマの養生法;女性と子供の身体をめぐる支配連関;抑圧の社会的帰結;キリスト教的禁欲への道程;社会的禁欲における女性の役割) 第2部 ポスト・ローマの修道

書記の読書記録#497『わかりやすい核医学』

玉木 長良,真鍋 治(編集)『わかりやすい核医学』のレビュー レビュー放射線を用いた診断・治療に関して実例を交えながら解説した,よくまとまっている教科書。 もくじI 核医学で知っておくべき最低限の基礎知識  A.放射能・放射線の基礎  B.放射性医薬品  C.核医学装置  D.画像解析 II 脳神経   III 循環器  A.心筋血流シンチグラフィ  B.心臓交感神経イメージング  C.心臓脂肪酸代謝  D.心臓糖代謝イメージング  E.ピロリン酸イメージング  F.心

書記の読書記録#496『数と易の中国思想史―術数学とは何か』

川原秀城『数と易の中国思想史―術数学とは何か』のレビュー レビュー術数学の有名な例として,中国剰余定理が挙げられる。中国の思想において,科学と非科学を分けるのは困難であることがわかる。 もくじ術数学原論 1 中国の「計量的」科学  小序  1 術数学と数の二義性   1.1 中国科学と術数的思考   1.2 暦算と占術   1.3 算書中の占法と占書中の数理知識   1.4 算術と筮法の結合  2 経学と術数学   2.1 董仲舒の天人の学   2.2 劉歆の目録学  小

書記の読書記録#495『イラストで学ぶ 離散数学』

伊藤 大雄『イラストで学ぶ 離散数学』のレビュー レビュー離散数学というと範囲が広すぎるが,本書は集合論・論理学・数え上げ・グラフ理論の初歩をまとめている。流し読みして大体の流れを確認した。 もくじ第1章 離散数学の魅力――まず面白さを感じて下さい 1.1 ピックの定理 1.2 オイラー路とオイラー閉路 1.3 ハミルトン路とハミルトン閉路 1.4 ポーサのスープの問題 1.5 鳩の巣原理 1.6 エルドシュ・スズカーズの単調部分列の定理 第2章 集合――数学の大本 2

書記の読書記録#494『入門 確率過程』

竹居正登『入門 確率過程』のレビュー レビュー前提知識としては赤本レベルの統計学で十分で,本格的な確率論へのつなぎとしても使える教科書。 もくじ第0章 確率過程の世界へようこそ 第1章 マルコフ連鎖 第2章 ランダムウォーク 第3章 独立確率変数の和 第4章 分枝過程 第5章 マルチンゲール 第6章 離散時間確率過程の応用と発展 第7章 連続時間の確率過程 本記事のもくじはこちら:

書記の読書記録#493『暗号技術を支える数学』

長瀬 智行『暗号技術を支える数学』のレビュー レビュー暗号技術に用いられる数学の知識についてのまとめ。代数的整数論がどのように使われるかの確認。 もくじ第1章  基本事項と本書の構成 第2章  抽象代数学 第3章  ガロア体・代数拡大体 第4章  公開鍵暗号 第5章  共通鍵暗号方式 第6章  楕円曲線群 第7章  楕円曲線暗号 第8章  格子と暗号 第9章  ハッシュ関数暗号 第10章 デジタル認証 第11章 暗号学的擬似乱数 第12章 電子透かし 第13章 量子計算

書記の読書記録#492『振動と波動』

寺沢 徳雄『振動と波動』のレビュー レビュー古典力学,電磁気学,連続体力学などを繋ぐ分野としての振動波動論の標準的な教科書。とはいえ,あまり使い勝手は良くない気がする。 もくじ第1章 簡単な振動   §1 単振動   §2 減衰振動   §3 強制振動 第2章 多自由度の振動   §1 簡単な連成振動   §2 鎖状につながれた質点系の振動(1)   §3 鎖状につながれた質点系の振動(2) 第3章 1次元の波   §1 弦を伝わる横波と細い棒を伝わ

書記の読書記録#491『輸液ができる、好きになる―考え方がわかるQ&Aと処方計算ツールで実践力アップ』

今井 裕一『輸液ができる、好きになる―考え方がわかるQ&Aと処方計算ツールで実践力アップ』のレビュー レビュー自動計算ツール付きで,輸液に必要な計算式についてまとめられている。門川『電解質輸液塾』に比べ実践にのみ特化した構成,症例問題も簡単ではない。 もくじ第1部 体液 1.水の入ったコップがあります.メスシリンダーを使わずに 水の容量を測定するにはどうしたらよいでしょうか? 2.あなたの体液量はどれ位かな? 3.Watsonの推測式以外の簡便な体液量の計算法はないのです