「やりたいことをやれ!」に潜む誤解

先が見えない時代ともなると、どうせ何が起きるか分からないのだから”やりたいこと”のみやる方が得策。こんな論調が世間にも浸透してきているかのように最近感じます。

自分だけのワクワクを探すことがキャリアデザインの第一歩目であるとは、企業研修の世界でも見聞きすることが増えてきました。

ただね、この言葉が曲解され、ややもすれば単なる自分勝手で軽薄な解釈をされている気もするんですよね。

どういうことかといえば、「やりたいことだけ」をやって「やりたくないこと」は”やらなくてもいい”という論調にすり替わっている帰来があるという意味です。

仮に、ワクワクする自分らしい仕事や生き方を見い出したとしましょう。それはそれで素晴らしいことです。当初はモチベーションのスイッチも大きく入ることでしょう。しかし、だからといって「やりたいこと=楽なことだけ、嫌なことは避けて」という解釈にすり替わってしまうと、幻滅とストレスだけが残ってしまう悲惨な現実だけが横たわります。

どんな仕事でも、楽な仕事、嫌なことが皆無、不条理がない世界なんて存在しないはずです。

僕自身も迷いながら、試行錯誤しながらキャリアを積み重ねてきていますが、感覚的に仕事の97%は不条理でやりたくない面倒くさいことのオンパレードです。ただし、3%のワクワクや快感が強烈なインパクトを持つからこそ、トータルで見て「やりたいこと(方向性)」や「後味としてのワクワク」が実感できるだけの話なのです。

人は道に迷い不安になると、どうしてもキラキラしている他人の表面やどこかに落ちている宝のような論調・フレーズになびいてしまいます。しかし、どんな世界でも甘い世界はない、どんな世界でも嫌なことが皆無の世界はない。

そんな当たり前の基本に立ち返って物事は捉えるのが良いといつも思います。

優雅に泳ぐ白鳥も、さっそうと何食わぬ涼しい顔で水の上にいますが、水面下ではきっと足をバタバタとさせてもがいている時もあることでしょう。つまり、キラキラしている人やフレーズも実は水面下で猛烈に足をばたつかせる行為(圧倒的な泥臭い努力)の上に存在しているということです。

水面上だけを見るのではなく、水面下を見ることで、仕事や人生の本質を学び取りたいものですね。

世間や他人から学びを得るためには、「水面上」と「水面下」に整理して、それぞれからエッセンスを抽出すること。これぞ、インプットにおける思考の整理で大切なポイントであると考えています。

この文面があなたの新たな気づきにつながれば幸いです。

著者・思考の整理家 鈴木 進介

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