見出し画像

顧客が買う動機は2種類!?

1.思考の整理は購買動機の解明に有効

僕は”思考の整理家”という肩書で経営者やリーダーの方々の意思決定をサポートしています。思考を整理すれば、本質が見え、雑念に捉われていた自分らしさも取り戻せるために意思決定には有効であるというコンセプトです。

これは、いかに顧客に買ってもらうか、前提としていかに集客(営業強化)するかという課題であっても有効で、この場合、まずは選択肢(打ち手)の整理をしていくアプローチをとります。

2.思考の整理の要諦は「仕分け」が鍵

整理というのは、発散(考えうる限りの選択肢を出し切り)された選択肢を、まずは「仕分け」し、どちらを極めるのか意思決定するプロセスを言います。

なお、整理の鍵ははじめの段階の「仕分け」にありということで、拙著ではありますが2冊本を出しています。

ここで、話を戻して、顧客にいかに買ってもらうか、いかに集客するかというテーマで「仕分け」の有効性についてご紹介したいと思います。

今回ご紹介する切り口は、2019年で個人的に一番ヒットした切り口です。

3.顧客は「役に立つか」「意味があるか」で買う

顧客の購買動機は、「役に立つ」を買うか、「意味がある」を買うかの2種類であるということです。

すなわち、あなたの会社の商品は「役に立つ価値」を売りにするのか、「意味がある価値」を売りにするのか事業ごとに、商品ごとに仕分けをしていき、そこから戦略や戦術を練りましょうということです。

もちろん、絶対的に顧客の購買動機はこれが正解であるというのは、100%言い当てることは難しいものです。

かつて野球の野村監督が「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けあり」と言われました。このように、失敗した時の成功要因は明確に分かっても、成功した時の成功要因は解読が難しいもの。時に偶然が重なって成果につながることもあるからです。

しかし、突き詰めていくと、勝ちにつながるポイントは、究極的には2方向に仕分けできるというのは、有力な仮説の気がしますね。

モノがない時代は、とにかく「役に立つ」「便利」「機能的」という欲求が強いものです。ところが、社会が成熟し、モノあふれの時代には、これだけでは顧客は振り向いてくれなくなっていますよね。しかも、役に立つ部分の情報もネットで無料で入手できるくらいですから。

そこで、役に立つかどうかは別だけど、自分にとって「意味がある」ものにはお金を払う分野があるかもしれません。

極端なたとえ話をすると、燃費も良くデザインもかっこういい最新の車より、昔、彼女とデートした時に乗っていた時代を思い出すマニュアル車に”意味を感じて”、高いお金を投じることがあるかもしれません。

これは、「役に立つ価値」ではなく、思い出という「意味のある価値」にお金を払っていると言えるでしょう。

では、ユニクロの服はどちらを極めているのでしょうか?おそらく前者の「役に立つ価値」ではないでしょうか?

スタバでコーヒーを飲むというのはどちらを満たしているのでしょうか?おそらく後者の「意味のある価値」ではないでしょうか?

つまり、どちらが正しいというわけではなく、あくまでも企業側が設定する価値の軸の話です。結局、どちらの方向に軸を設定するのですか?と。

このように、顧客がどこにお金を投じるのか、2つの方向性で仕分けをしながら、見極めをしていくこと。これが顧客にアプローチしていく場合の、基本的な整理法になるのではないか。ビジネスにおける大きな方向性の意思決定に有益な整理の切り口です。

4.コンビニの商品はどんな価値?

この件に関して、お笑い芸人の西野あきひろさんは、AbemaTVのニシノコンサルという番組で、秀逸なコメントをしていましたよ。

コンビニに売っている商品を、「役に立つか」「意味があるか」で仕分けしたとします。

すると、「役に立つ」商品は基本的に1種類しか売っていないと。(多くても2~3種類)たとえば、ホチキスは1種類だし、乾電池も2種類程度です。

逆に、「意味がある」商品は複数のラインナップが陳列されてあって、必ずしもNo.1(シェアや実績、認知度において)商品だけを置いているわけではないと。たとえばタバコの種類は複数あります。

タバコを例にとると、味だけではなく世界観も売っているので、”マルボロを吸っている格好いい俺を見て欲しい”という自分にとって意味がある商品を指名的に買う顧客に応えるために複数のラインナップが必要ですよね。あくまでもたとえばの話ですが・・・

こうして考えてみると、「役に立つ商品は1種類しかない=トップしか存在できない」ため、圧倒的に役に立つ部分での価値創出を目指す必要があります。

一方、「意味で買う商品は複数ラインナップがある=2番手以降であっても強く長く買ってくれる可能性がある」ため、どんな独自の世界観(文脈)を築けるかが大事になります。

こうして西野さんの発言も踏まえて考えると、一番いけないのは、中途半端にアレコレ価値が山盛りになっている状態です。山盛りになっている商品は、顧客に伝わらないばかりか、その前に見つけてもらえない(プロモーションすら難しい)という現実を抑えておく必要がありそうです。

5.役に立つ人より意味がある人の時代

役に立つか、意味があるかの切り口による仕分けは、『ニュータイプの時代』を書かれた山口周さんの提唱により、一部ではバズった2019年でした。

これを補完する書籍として、こちらも読むことをお勧めします。

山口さんの論調の本質を知るには、こちらのレポートを読むととても参考になりますよ。↓

さて、このレポートをお読みいただいたという前提で、人についても考えてみたいと思います。

ビジネスパーソンの特性についても同じことが言えるのではないでしょうか。

「役に立つ」ものを「ビジネススキル」、「意味がある」ものを「教養、哲学」だと定義したとしましょう。

ビジネススキルはある程度必須ですが、「役に立つから」「役に立ちそうだから」と盲目的に追求していくだけでは行き詰まる場面が出てくることでしょう。将来の保険的に闇雲にスキルアップをはかっても求められるスキルは時代によって変わりますし、一人でスーパーマン的に全ての分野に精通することは無理だからです。

むしろ、スキルを持つ人を巻き込む、スキルを持つ人をリスペクトして受けとめる力の方が大きな仕事と大きな効果をもたらします。

一方、教養や哲学など自分にとって肥やしとなるものは、自分の価値軸を形成し、信念を強化するうえで永続的に価値を生み出します。時代が変わっても、普遍的だからです。

こうして考えると、職人や専門家として「役に立つ」を極めるのか、「意味がある」を重視するのか。自分の今後のキャリアのあり方、学びのあり方についても2種類で仕分けしながら明確にしていくことは有効な策になるかもしれませんね。

「役に立つ」VS「意味がある」ではなく、「意味がある」ことも加味しましょうというのが本投稿の本質ですが、まずは2種類で仕分けすることから始めてみませんか?

これは今年最後に僕の心を一番捉えた思考の整理法となりました。

何かの参考になれば幸いです。

著者・思考の整理家 鈴木 進介

フォローしてくれたらモチベーション上がります! ◆YouTube http://www.youtube.com/user/suzukishinsueTV ◆メルマガ https://www.suzukishinsuke.com/sns/