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性差別が強い社会では、女性を擁護する傾向が強くなってしまう 「女性は素晴らしい効果」

女性は素晴らしい効果

女性は素晴らしい効果(Women are wonderful effect)とは

人は男性より女性に対して、よりポジティブな属性を連想する効果

です。このバイアスは、女性に対する感情バイアスwp反映したものです。1994年にアリス・イーグリー(Alice Eagly)とアントニオ・マラディニック(Antonio Mladinic)が提唱したもの。彼らの研究によると男性と女性ともに、女性にポジティブな特性を割り当てる傾向がありました。とくに女性が女性に対してポジティブな特性を割り当てる傾向が強くありました。


女性は内集団バイアスが強い?

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内集団バイアスとは、「自分が属している集団には好意的な態度をとり、外の集団には差別的な態度をとるバイアス」というもの。2004年の研究で男女の性別の好みを測定を試みたものがあります(※2)。その結果、男女ともに女性に対して好意的な見方をしていることがわかりました。しかし女性は男性に比べて、自分の性別に対して贔屓目にみる内集団バイアスの傾向が4.5倍も強いこともわかりました。一方で男性には自分の性別に対しての偏好は見られませんでした。

この研究により、人は、父親よりも母親を自然と選びがちな傾向と、男性と攻撃や暴力を結びつける傾向があることがわかりました。その結果、男性より女性を好ましく思う傾向が現れているのではないかと推測しています。


性経験の豊富な男女は異性に対して全般的に好意的になる

上記の研究(※2)の他の実験により、性経験の豊富な男女は、異性に対して全般的に好意的な感情をもつ傾向があることがわかりました。つまり性経験が豊富ではない男女は、異性に対しての好意を、性経験が豊富な男女と比べて、持ちにくいということです。


男女平等な社会では男性に対して肯定的になる

2004年の別の研究(※3)によると「女性は素晴らしい効果」は、男女平等な環境では中和されることがわかりました。これは女性に対しての態度の変化ではなく、男性に対しての態度の変化によって起こっていました。つまり男性に対して否定的な態度が軽減されることにより、女性へのポジティブな特性を結びつける偏向が減少したということです。


対策・応用

(1)男性優位がどこにあるのか顕在化させて直す

「男女平等」という思想を前面に出すと不必要な平等が現れてきます。例えばトイレを分けることすら不平等だと考えるなど。平等を過剰に求めると世界が逆に歪む場合があります。なので、平等を推進するより、不必要な男性優位を顕在化させて、是正することが性差別の少ない環境を形成できることでしょう。

(2)本当に性差があるものを認めづらくなるバイアスにもつながる

男女に知性などセンシティブな特性に差が本当にあったときに、ジェンダー・バイアスなどへのカウンターが起動どうして、認めにくくなることがあります。これは社会的望ましさバイアスによるものです。


関連した認知バイアス

•ジェンダー・バイアス(Gender bias)
無自覚な性差別を行う傾向。例えば、性別を示すものがないとき、人や動物を男性と思い込むなど。

•社会的望ましさバイアス(Social desirability bias)
社会的に望ましい側面のみを報告し、望ましくない側面を報告しない傾向。


認知バイアス

認知バイアスとは進化の過程で得た武器のバグの部分。紹介した認知バイアスは、スズキアキラの「認知バイアス大全」にまとめていきます。


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参照

※1:Women-are-wonderful effect

※2:Gender Differences in Automatic In-Group Bias: Why Do Women Like Women More Than Men Like Men?

※3:Catching up with wonderful women: The women‐are‐wonderful effect is smaller in more gender egalitarian societies.

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